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鶯谷 ・居酒屋にて

作品内に出てくるお店は全てフィクションとさせていただきます。

似た店舗があってもけっして感想などで名前を出さないでください。

内容と異なる可能性もあるためです。

あくまでフィクションのお店です。

今日も山手線に揺られ目的の駅で降りる。


『鶯谷駅』


上野駅の隣でラブホテルへのアクセスの良さが有名な駅だ。


北口の改札を出れば徒歩1分からホテルの乱立する町。


実は鶯谷という地名はない台東区根岸。


そんなことを言っていたらまもなく17時になってしまう。


私は足早に目的地に向かう。


駅近くの気に入りの店。


この猛暑のなか、開店前だが5人ほど並んでいる。私もその後ろに連なる。


平日とはいえ人気店。予約が出来ない為確実に席に座るには開店前に並ぶしかない。


今日はこれでも少ない方だ。


店ののれんが掛けられ店員が先頭から中へ招いていく。


カウンター8席、テーブル5席の細長い作りになっている。


多くても4人掛けしかないため団体には向かないな。


私はいつも1人の為カウンターに座る。


前のお客はテーブルに座ったためカウンターの一番奥へと座れた。


お気に入りの席。


さて今日のごはんは何にしよう。


この店の特徴は、なんと言っても日替わりメニューだろう。


季節の食材を使って和洋問わない内容に店主の遊び心が楽しい。


定番メニューももちろん美味しいのだがその日しか出会えない料理たちに心躍る。


私はウーロン茶と数品頼む。


すぐに飲み物が運ばれる。


酒は飲めるが酒を飲むとあまり食べれないのでここは避けておこう。


お、一品目がもう運ばれてきた。


「いただきます」


【山形だしの冷や奴】


絹豆腐に手製のだしがかけてある。市販のものより少し大きめになす、キュウリが切られており歯ごたえがよい。刻み昆布が良い味をだしている。


暑い日にぴったりの一品。


子供のころは苦手だった茗荷も今となっては好物だ。


そういえば私の子供のころは山形のだしなんて地元のスーパーで見なかった。


というよりだしという存在さえ知らなかった。


山形のほぼ真反対、九州の片田舎だから仕方ないのだろうか。


今は地元のスーパーにもときおり置いてある。


父はよく晩酌に冷や奴になめたけをかけて食べていたな。


冷や奴を食べ終わるころには2品目が運ばれてくる。


【あじの海苔巻き】


細切りにしたキュウリと大葉、あじの刺身をのりで巻いてある。


わさびが添えられているがつけずに醤油のみで一口。


あじの脂が口の中に染みる。


この店は刺身系も都内なのに新鮮で美味しい。


個人的な好みだがわさびとからしは嫌いなのでつけない派だ。


刺身のほどよい甘さをかき消してしまう気がする。


断じて子供の頃から嫌いなのがそのまま続いているからではない。


昔回転寿司に行くと弟はわさびありを食べれて私だけが板さんにさび抜きを注文していたのも懐かしい。昨今はタッチパネルでしかもさび抜きベースなのが個人的にはありがたい。


冷たいものが続いたが次は暖かい揚げ物だ。


【塩麹漬けのチューリップ唐揚げ】


2個盛りで一人客には助かります。


種類を色々食べたいのでお腹との相談は重要です。


塩麹で柔らかくジューシーなからあげ。


チューリップは手羽元を骨と筋からはずし、骨先でまとめてあげたものだが最近は昔ほど見ない気がする。


手間だからだろうか?


もちろん食べやすさはあるがチューリップにしてあるだけでこれまた童心が喜ぶ。


さてとりあえず最初に頼んだものは来てしまった。


もう一つ二つおかずを食べるかしめのうどんを頼むか悩みどころ。


実はこの店は店名にうどんがついているうどん居酒屋なのだ。


味は言わずもなが。


ただ問題なのは私がそこまで食べれないことも多いことだ。


次はいつ出会えるかわからない日替わりメニューについつい惹かれてしまう。


今日もうどんか日替わりか葛藤する。


【れんこんとえびのしんじょう揚げ】


しんじょうとは魚やエビのすり身に山芋などを混ぜたものだがそれをレンコンで挟みあげてある。


ふわふわのしんじょうをレンコンで挟み、みじんのレンコンも混ぜてあるようで食感も良い。

しんじょうの柔らかな甘みが揚げてあることでさつま揚げのようだがもちもちとした食感が違いをみせる。


今日もやはり日替わりの魅力に負けた。


いやどちらも負けではないのだけれど。


好みじゃなくても選ぶワクワクとどんな味だろうと想像するのは大きな楽しみなのだ。


【ズッキーニといかのパン粉焼き】


今日の締めは洋風にしよう。


脂をたっぷり吸ったズッキーニがうまくないわけないだろう。


パン粉には粉チーズが混ざっているのか主張の激しすぎないほのかなチーズがうまさを増している。


ズッキーニは高校生の時に初めて食べた。


某カラオケで友人と食べたピザに乗っていた。


瓜を思わせる食感だが色合いはキュウリのよう。


自分の出会ったことのない食材だがあまりの美味しさに感動した。


キュウリなのかと自宅でキュウリを焼いたが味はご想像にまかせる。


その後ズッキーニを知り、自炊でもよく使うラインナップに。


「ごちそうさまです」


店内はすでに満員。待ちの一組だけは外で立ち飲みで待てるカウンターも埋まっている。


食事が済めばすぐ帰るに限る。


会計を済ませ外に出る。飲み物2杯と5品で三千円弱。コストパフォーマンスもよい。


お腹が苦しいがそれすらも心地よい。


時刻は18時15分。帰宅の学生やサラリーマンとすれ違いながら駅へと向かう。


ホテル街へと入っていく男女もチラホラ。


私は再び電車に乗って帰路につく。


さて次回はどこへ行こうか。

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