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第7話

   

 再び蝉の声を耳にしながら、炎天下のアスファルトを一人で歩いて、年老(としお)いた母が待つ家へと戻る。


 帰宅後。

 山の中で考えた「そういえば私も小さい頃、何度か女の子に間違われた」という件が、改めて頭に浮かび……。

 庭の片隅にある物置の中を探してみた。田舎の家屋には似つかわしくない、スチール製の物置だ。


「あった。これだ!」

 私が引っ張り出してきたのは、昔のアルバム。私の幼少期のものだった。

 まだ実家には、当時の私の子供部屋も残されたままだったので、ちょうどその部屋でアルバムを開いてみる。

 ほんの軽い気持ちだった。

 しかし……。


「ああ……」

 目にした途端、私の口から漏れたのは、なんとも言えないような変な声。

 同時に、頬をジトッと脂汗が伝わるのも、はっきりと感じられた


 一般論として。

 特別頻繁に鏡を見る習慣があれば別だが、そうでなければ、自分自身の顔をまじまじと確認する機会は少ないのが普通だろう。

 ましてや数十年も昔、小さな子供の頃の外見なんて、私の記憶から完全に消えていたのだが……。


 写真の中で笑っていたのは、先ほど山で助けた子供の顔、そのものだった。




(「山で遊んじゃいけないよ」完)

   

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