表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第4話

   

 最初に「野生の(けもの)たちの専用道ではないにしても」と表現したけれど、ここはいわゆる獣道(けものみち)

 道は途中で、いくつかのルートに分岐していた。


「なるほど。小さな子供なら、これは迷子になってもおかしくないな……」

 しみじみと呟きながら、私は歩き続ける。

 子供の目線ではそこまで見えないかもしれないが、大人の目の高さならば、分岐地点からでも「こちらはすぐに行き止まり」と見えるルートがいくつもあった。

 それらを()けながら、基本的には上へ上と、なるべく太い道を選んで進んでいくと……。


 前方が明るくなる。

 開けた場所に出たようだ。


「ほう……」

 思わず感嘆の声が漏れる。

 山頂ではないけれど、それに近い場所だった。小さな部屋くらいの広場で、見晴らしも良い。

 ちょうど反対側らしく、うちの家は見えないが、似たような民家や畑が眼下に広がっていた。


「ある意味、ここが山登りの終点かな?」

 なんとなく開放的な気分にもなり、私は無意識のうちに、例の歌を口ずさみ始めた。

「山で遊んじゃ、いけないよ。迷子になって、困るから。山は危険が、いっぱいだ。クマにイノシシ、悪いひと」

 ちょうど二番まで歌い終わった、その時。

 どこからか人の声が聞こえてくる。

 すすり泣くような子供の声だった。

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ