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第2話

   

「何を言ってるんだい。この土地の歌じゃないよ、あれは。お前が勝手に歌ってた歌じゃないか」

 と年老(としお)いた母に訂正されたのは、久しぶりに実家に帰省した時だった。


「私が勝手に歌ってた、って……?」

「ほら、あの山で迷子になった時さ。そこから戻ってきた頃から……」

 窓から見える裏山を指し示しながら、母は私に説明する。

「……よく口ずさむようになったからねえ。迷ってた最中(さいちゅう)に、何か見るか聞くかしたんだろうさ」


 山で迷子。

 言われるまですっかり忘れていたけれど、そういえば小さい頃、そんな出来事があったような気もする。

 私がよく覚えていないというだけでなく、母の気軽な口ぶりから考えても、大騒ぎするほどの「迷子」ではなかったはず。ほんの短い時間、私の姿が見えなくなった……という程度に違いない。


「ああ、そうだったっけ」

 軽く相槌を打ちながら、母が指さす方へ改めて目を向ければ、小高い丘のような緑の山が視界に入る。

 うちの土地ではないが、おそらく親戚あるいは近所の知り合いの山だろう。私が足を踏み入れても特に(とが)められる心配はなく、だから小さい頃も何度かあそこで遊んでいたのかもしれない。

 そんな幼少期がふと懐かしくなり、さらに「もう一度行けば『迷子』の件も思い出すのではないか」とも考えて……。

 問題の山まで()ってみることにした。

   

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