メカ妻、離婚する。1
あれから暫くたった休日の、のんびりした朝、私は練りに練った計画を、浩介さんに説明を始めた。
「浩介さん、私と離婚してください。」
「おおう、藪からスティック。どうした正気に戻ったのか?」
最近、浩介さんの私に対する反応が、あまりよろしくない気がします。
「よよよ。妻に対してなんという言い草。いったい私のことをどのようにお思いで?」
「一目惚れを暴走特急のパワープレイで世の中のすべてを押し通した狂人。」
「知らないんですか?愛は地球を救うんですよ?」
「余計なところで炎上しそうだな、それ。」
「まあそれは置いといて、離婚したら結婚してください。
「おまえは何を言ってるんだ?」
あ、やっぱり話が通じなかった。そりゃそうよね。
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「ハーレムの件ですが、私の28歳を変更するのは面倒で。」
「面倒で済ます話じゃないよね?」
「日本に圧力をかけて重婚を認めるように働きかけるのも考えたんですが。」
「それは本当にやめて。」
「一番手っ取り早いのは25歳以下の第一夫人を作ることで。」
「ほほう?」
「丁度いい人材が生体化したので、私は一度離婚して、その娘を第一夫人にして、我々が第二・第三夫人ということで改めて結婚すればいいのです。」
「ひどいことをするね?」
「そんなわけで離婚してください。」
「できるかぁ!!!」
あれ?浩介さん、なんでそんなに怒ってるんです?なんで?
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なんだか浩介さんがえらく怒り出したので、べりぃさにも説明に参加してもらうことにしました。
「浩介さん、少しは頭が冷えましたか?」
「なんで俺が下らないことにブチ切れた奴みたいな扱いになってるんだ?」
「いや旦那さん、男の夢が手に届くところまで来てるのに、拒否して怒り出すから・・・」
「ほら、これは偽装離婚のようなものですし・・・」
「余計悪いわ!!」
うーん、浩介さん、変なところでナイーブなんですねぇ。そんなところもなんかいいですね♡・・・ちょっと方向性を変えてみましょう。
「・・・浩介さん、これは善行なのですよ?あなたが一度離婚するだけで、あなたに脳を焼かれた哀れなスーア人女性三人を結婚という方法で、救済することが出来るのですよ?」
「なあ、一人巻き込まれとるぞ?」
「そういえば社長、その25歳以下って誰の事?」
「こすもの事よ。」
「・・・ああ、こすもかぁ・・・旦那さん、それは是非とも救済してあげてくれ・・・」
「夜空さん、不穏な空気がするのだが、もう少し話を伺っても?」
「やだなあ旦那さん、私のことはべりぃさと呼び捨てがいいなあ。私も夫人になるし。」
「あ、本人が来たみたいよ?」
だいたい時間通りにこすもが到着しました。こすもは、眼鏡で小柄でぽっちゃりした体形で、伏し目がちな、今まで浩介さんが見てきていたスーア人にはいなかったタイプだろうと思います。私たちも生体化した彼女を初めて見たとき、少々イメージが違うので驚いたのは彼女には秘密です。
「こすも、いらっしゃい。じゃあ、よろしく頼むわよ?」
心なしか緊張しているような彼女を連れて、部屋に戻ってきました。さあこすも、ビシッときめるのよ!!
「あ・・・あの・・・私・・・星空こすもです・・・あなたの第一夫人になりに来ました・・・」
湯気でも出るんじゃないかってくらい真っ赤になりつつ、ぼつりぼつりと言葉を紡ぐこすも。
むむっ、あやつ、考えたな?この方向性で攻めれば、浩介さんを納得させられるかもしれないですね・・・