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メカ妻、社員寮を始める。1

「浩介さん、早速ですが今日、入居者一人と会ってみて欲しいんですが。」

「・・・昨日ここに住み始めたばっかりなんだけど。」

「一人どうしても早く、住処をどうにかしないといけないのがいまして・・・」


                ・・・・・・・・


 話は少しさかのぼる。


「ああー社長、またダメだったよぉ。」

「んーダメだったかぁ。大家さん、好意的だったのにねぇ。」

「他の住人の反対にあったって・・・」

「それは仕方ないわねぇ。変に圧力とか掛けちゃうと、余計にややこしくなるからねぇ。」


 夜空べりぃさは、重装サイボーグながら、早くに生体化の順番が回ってきてしまった。そうなると、生身の生活をしなければならない。

 他のスーア人だとそこまで悩むほどではないのだが、得体の知れない異星人という印象はどうしても付き纏う。それに加えて私と同じ理由で、彼女は完全な生体化をすることが出来ない。尚且つ仕事内容が荒っぽい。・・・と悪条件が重なって住居が見つかっていない。


「なあ社長、もしかして生体化する前に家探した方がよかったんじゃね?私、ちびっ子に大人気だったんだよ?」

「それ、日曜朝のヒーローものと一緒くたにされてるわよ?」

「だから、ちびっ子が両親に一緒に住みたいって言いだしてくれたりとか・・・」

「・・・最後まで生き残ってる、敵幹部みたいになってるわね。」


「ホテル暮らしも悪くないって、はじめは思ってたんだけど・・・私、サイボーグ適正があっただけの、ただの庶民だから、ちょっとなあ、って。」

「私もそうよ。」


                 ・・・・・・・・


「私以外にもう一人、生体ボディを持つ社員がいまして・・・生体ボディじゃない他の娘たちは、会社の点検ポッドに放り込んでおけばいいんですが・・・」


浩介さんには、ちゃんと説明した方がいいわね。


「私たち、そもそも大多数の人間は元々データのみで地球までたどり着いたんです。それでDNAデータを基に生体を地球でランダムで順序を決めて、順次再構成していってるんです。」

「ほうほう。超光速とかワープとかは開発できなかったから、長い時間をかけてたどり着いてって言ってたから、それはそうだろうな。」


こういう事の理解が速くて助かる。さすがは私の旦那様。


「例外が私たち。長期間行動可能な高度サイボーグ数体。基本自動運転の宇宙船のトラブルシューティング要員。まあ、大部分は休眠状態でしたけど、実体が与えられていました。あのヒロイックな姿見たことあるでしょ?」

「ああ、地球に初めて来たときに会見してたのを見た。」


それ、たぶん私も一緒に映り込んだりしてます。その場にいたので。


「私たちはサイボーグの自分の身体の運用に長けていますし、戦闘力も高い。おいそれと完全な生身に戻すわけにはいかなくて。でも機会は均等なので、こんなことに・・・」

「いや、そいつ後に回せよ。」

「国の都合でサイボーグ化して過酷な仕事に従事していた個人に対し、正当な方法で得た生体化の順番を無条件であきらめろ、っていうヘイトを溜めるような不当な事をしろと?」

「・・・すいませんでした。」


まあ、理屈は分かるし正しいんだけど、人の心は正当性だけで動くものじゃない。当事者じゃない人に理解を求めるのも酷よね。ちょっときつい言い方をしてしまったかしら?


「まあ、私と同じで見た目ではわかりませんよ。同じく武装もしてますが。」

「武装は着いたままで、変に頑丈だったりしますが、おいしいものも食べれるし、子供も産めるので、意外と不利益はありませんよ?」


まあ、説明はそんなところで。・・・今、とても重要なことを思い出しました。


「そういえば、私は子供は三人ぐらいは欲しいなって思うんですが♡」


「・・・話を戻して、その彼女に住む所がないと?」


明確に話をはぐらかされましたが・・・ふふふ、まあいいでしょう。まだまだ慌てるような時間じゃない。


「ええ、私もそうだったんですが、土地なり部屋なりを買ったり借りたりしようとすると色々難航しまして。でも、私には土地・家付きの素敵な旦那さまと気前よく土地を譲ってくれたご近所さんが。」

「かぺらの関係者が困っているなら、それに手を差し伸べるのにやぶさかではないよ?」


ああ、さすがは心優しい私の旦那様♡♡♡


「そんなわけで、管理人としての初仕事お願いします、浩介さん。・・・ああ、事務手続きとかややこしい事は、私が管理会社を立ち上げたのでお任せ下さい♡」


「・・・で、その彼女に会いに行けばいいの?」

「いえいえ、昼過ぎにここに来るように言ってあります。」


          ・・・・・・・・・・・・・


 約束の時間付近で静かなマシン音がした。どうやら来たようだ。


 あらかじめ渡してあった書類を見ながら、浩介さんが聞いてきた。


「かぺら達の名前って地球に来てからつけたの?」

「名字の概念がなかったから、そこは後付けですね。」

「言語とかの差もあるだろうから仕方ないけど、スーア人はどうしてこう、きらきらした名前なんだろう・・・」


 ???きらきらした名前って何ですか?

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