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メカ美女、妻になる。1

 ああああ!!!!

 えらいこっちゃああああああああ!!!!!


 うちの会社の戦闘艇が民家に墜落したああああああ!!!!



 ・・・こんな時こそ落ち着かねば。

 私は大空かぺら。S.S.C.(Suua security company)社長。この生体に近いボディになってから五年くらい経つ。この会社は私を含め、数名のスーア人のサイボーグで構成されている、対パワードスーツ警備会社だ。


 私たちスーア人は、自分の星が滅んだので、女性のみ千人で地球に移民してきた宇宙人だ。私たちの境遇に同情してもらえた事、こちら側の技術の提供等の条件を地球側が魅力的に捉えてくれた事で、私たちは好意的に受け入れられた。そもそも、今となっては確認のしようがないが、私たちは地球人とルーツを基にする種族だ。一応地球にも、箱舟伝説とかいう、かすかな記録は残っていたようだが、我々は「それとは別口で他所に逃げた一団」だ。


 よし、頭は動く。・・・良かった、被害は思ったより少ない。人気がなくて空地の目立つ郊外の分譲地で、事故した地域に住宅が計三軒だけだった。尚且つ平日の昼間で人が出払っていたのも幸運だった。・・・そもそもあの戦闘艇、地球側からのごり押しでうちがテストしてる機体やないかい!!これを理由に突っ返してやる!!


 しかし、一人重傷者がいた。松田浩介、30歳、男性、会社員。彼は何としても助けなくてはならない。スーア人の会社のせいで、地球人の犠牲者が出るのは非常にまずい。


 調べたところ、彼は独身で数年前に両親を事故で亡くしており、親戚付き合いもなく、天涯孤独の身の上で、交際している異性の噂もなく、あの家で一人暮らしをしていたようだ。勤めている会社は、規模こそ大きくないが優良企業で、役職こそついていないが勤務態度も良好、人当たりの良い好青年だったようだ。

 社会的影響が比較的少ない人物であったのは幸運だった。こういった事故の時、最も対応に苦慮する、感情的に理屈抜きで暴れる親族がいなくて本当に助かった。会社については金銭での解決が可能だろう。親会社のそういった部門に頼ろう。


 彼をこちらの研究施設で確保できたのは幸いだった。本来なら手の施しようがないが、サイボーグ化すれば・・・他所に借りを作るのは良くないが、今はそれどころではない。打てる手はすべて打とう。


 後は、少々気が早いが回復した本人への対応だ。金銭的な賠償も勿論のこと、サイボーグ化した今後の生活ついてはどうしたものか。軍用部品を多数使用したとのことで、もし回復したとしても、一般企業への復帰はまかりならんとの通達がすでに非公式ながら政府より届いている。こちらで再雇用するのはやぶさかではないが、彼はそれで納得してくれるだろうか?

 いっそのこと、こちらの関係者と結婚でもしてくれないだろうか?私たちスーア人はその境遇から結婚願望が強い。少し段取りを整えれば話が良い方向に進むこともあるかもしれない。一応リストアップぐらいはしておいてもいいかもしれない。


                ・・・・・・・・


 二か月経った。サイボーグ化手術は成功した。色々な偶然が、すべて良い方に傾いてくれた。あと一か月もすれば彼は目を覚ますだろう。私の運、一生分使い果したかな・・・


「ふひ、ふひひ、ふひひひひひひひ」

「気持ち悪い笑い方してどうしたの?こすも。」


この娘は星空こすも。データ処理に特化したサイボーグで、うちでは後方支援担当である。


「ああ、かぺらさん。例の松田浩介さんなんですけどね。見てくださいよこれ。」


ああ、今まで色々とデータは見てきたが、実際に会ったことは当然ない。安定したら映像を送ってくれるって研究所が言ってたが今日だったか。


「ひひひひひひああ変な笑い声が思わず出てしまったわちょっと引いてますかでもすごいわそんな人実在するんですねああもう体の奥から熱くなってきたわ誤動作かしらいや原因は浩介さんよ顔もしっかり整ってるし男の色気にあふれてるし充分イケメンの部類よ何よりこの厚い胸板筋肉質な太い腕がっしりとした足絶対にバランスいいわよ私が飛びついても平気で抱き留めてくれるわよ最高じゃないああもちろんお姫様抱っこよほらもうすぐそばにいるだけなのにあまりに充満する男のフェロモンにやられてそんな機能もないのに妊娠してしまいそうだわああもう妊娠したわ何人がいいのかしらそのうえ性格も良くて勤勉とか何これ私の煩悩の具現化なのそれがこんなに素敵なのに実在するんだもの何か規制とかいるんじゃないかしらええ規制物を見放題触り放題の特権が私にも転がり込んでくる可能性があるんですか」

「落ち着きなさい、こすも。」


「・・・ああ、私の生体化の順番がまだだろうから、それは無理ですね・・・うう・・・でも見てくださいよこれ・・・」


 私たちは、光速の壁を破ることはついにできなかった。宇宙を気が遠くなる時間をかけて移動するしかなかった。対策として大部分の人々をデータ化して輸送、宇宙船は自動運転、トラブルシューターとして稼働時間が長いサイボーグを用意したのだ。そう、そのサイボーグが私たちだ。

 地球に受け入れてもらえた私たちは、順次データから生体へと戻してもらっている。順番さえ回ってくれば、サイボーグである私たちも例外ではない。しかしながらサイボーグ適合者は希少だ。だから、完全に生身になるなんてできない。地球側と折衝の機会が多く、優先的に生体化された今の私もあくまで生体風ボディだし、もう一人順番が回ってきた夜空べりぃさもそうだ。

 こすもに順番が回ってくれば、武装の必要がないので、生体部分が多いボディになるだろうな。ああ、こすもが生体化していれば、彼に紹介してやることもできたのに。そうすれば問題がいくつか解消するのに。

 なんで生体化しているのが、よりにもよって威圧感がすごい重装型の私とべりぃさなんだろう。私らが求婚すれば下手をすれば彼に脅迫と捉えかねられんよね。なんてことを思いながら映像を見た。


「あああああ・・・・いやん何これすごい・・・素敵・・・かっこいい・・・うあ・・・私ぃこの人と結婚するぅ・・・」


私、こんな知性が低かったっけ?もうちょっと、こう、なにか、他に言い方があるだろうに・・・


                ・・・・・・・・


 松田浩介さんが目を覚ましたと連絡があったので、彼のもとに向かった。


「はじめまして松田浩介さん。私は大空かぺら。S.S.C.を代表して参りました。この度の事、大変申し訳ございません。」


 その後、彼が三か月前に弊社の事故に巻き込まれ大けがした事、生命を守るため止む無くサイボーグ化した事、使えそうなのが軍用の素体しかなかったので使ったが、流石に軍用機を一般企業に戻すわけにはいかないので、弊社に転職させる事に国が決定(拒否不能)した事を伝えた。


「やめろぉショ●カ-」


と彼が言っていたが意味は分からなかった。


 その後も色々混乱してそうだったので、今後の事の説明に加え、こちらから一つ提案した。


「目が覚めたのなら退院ということになりますが、松田浩介さん、あなたの自宅は全壊してしまいました。対応として近くのホテルにあなたの部屋を取ってありますので当面そちらでお暮しください。ああ、もちろん費用はこちらで負担します。」

「あと、全く畑違いの仕事に転職にもなりましたし、色々不安や疑問もあるでしょう。ですので、私とディナーをご一緒して頂けませんか?私にわかる範囲でしたら色々お教えできると思いますよ?私もそのホテルに泊まってるんですけど食事が美味しいんです。リハビリを兼ねたデートぐらいの感覚で、いかがですか?」


 彼は快く提案を受けてくれた。うふ。うふふふふふふ


                ・・・・・・・・・・


 彼は何やら居心地が悪そうにしていたが、私は彼の質問に真摯に答え続けた。

 そろそろいいだろう。

 私は自分がかわいく見えるように上目遣いで聞いた。


「あのぅ松田浩介さん、あなたのことは色々調べましたが、彼女とかいませんよね?」

「うっせぇな、いねえよそんなの。」


 彼は憮然として答えた。よおおおおーーーし


「やったぁ私、あなたに一目惚れしたんです。じゃあ結婚しましょう浩介さん。」

「ああ、でも、体の相性とか調べないと。」

「もうディナーも終わりですし、このまま私の部屋で・・・♡うへ」


やったあーーーーーーー!!!彼を自室ホテルに連れ込むことに成功したぞぉーーー!!!


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