40. エイミーが行く
ほっそりと美しい若い令嬢が船から島を眺めている。
「ううーん、塩の匂い、最高ね」
艶やかな黒髪をゆるくまとめ、パッと目立つ赤のベレー帽をかぶったエイミーは上機嫌だ。
「今日のオシャレはここに注目。まずは小粋な赤のベレー。潮風で髪がバサバサになるのを防ぎつつ、オシャレ上級者感をかもしだす必須アイテム」
エイミーはバチンッとウィンクした。カモメがビビッて飛んでいく。
「ベレーに合わせた赤と白のシマシマシャツ。とろみ感と適度なハリ感で、こなれ感を演出」
ちょっと何を言っているか分からないかもしれないが、いいのだ。オシャレはノリと雰囲気。勢いで押せ押せだ。
「寒さ対策は野暮にならない緑のジャケットで。スカートはジャケットに合わせて鮮やかな緑。シャリ感があってもたつかないのが今っぽ」
エイミーは満面の笑顔で階段を降りていく。
「足元は黒のパンプスで上品に。歩いても足が疲れない優れもの」
エイミーの大きなひとりごとに、島の人たちは若干ひきつった表情をしている。エイミーはいつも通り、愛想よく声をかけた。
「こんにちは。エイミーよ。新進気鋭のオシャレ作家。代表作は旅行記『エイミーが行く』。アタシがオススメするとエイミー売れするってもっぱらのウワサ。ユグドランド島にオシャレ女子が殺到するかどうかは、アタシのペンの乗り具合にかかっていてよ。よろしくね」
「は、はあ」
変なお客様だ。でも、お客様はオモテナシしないと。荷運びスキル持ちの女は、精いっぱいの笑顔でエイミーを馬車に案内する。エイミーは女のひきつった表情を気にすることもなく、ウキウキとしゃべり続けている。
「緑がいっぱい、猫もいっぱい。いいわね、こういうの、女子は大好物よ」
ヘソ天で寝っ転がっている野良猫に、エイミーはたくさんの投げキッスを送る。猫たちはギョッとした様子で逃げて行った。
「馬車は、普通ね。ここはもう少し改善の余地アリだと思うわ。例えば、お花をたくさん飾るとか。車体をピンクにするとか。馬に大きなリボンをつけるとか」
ご領主様に提案してみましょう。エイミーは小さな手帳を開き、鉛筆でカリカリと改善事項をしたためる。
「トキメキ、それが流行の肝よ。もっとトキメキを、もっと胸キュンを」
エイミーは馬車の外から朗らかに叫ぶ。道行く人たちが、なにごとかといった様子でエイミーを見るが、エイミーは気にしない。それは、エイミーにとって日常茶飯事。人に驚かれて二の足を踏んでいては、最先端の位置にはいられない。
「前進あるのみ、アゲアゲよ」
熱狂、高揚、興奮。気持ちを高ぶらせないと、いいものは見つけられない。
「ホテルにイイ男がいるといいけれど」
イイ男がいるかどうかで、売上が十倍以上は変わってくる。エイミーの持論だ。
「イチに顔、ニに体、サンに声よ」
あくまでも、エイミーにとっては、だが。でも、おおむね、どの女子もそんな感じだと思う。
「結婚するわけじゃなし。心の美しさは二の次三の次よ。最低限、邪悪じゃなければいいのよ」
ホテル業なわけだから、接客はしっかりしてほしいけれど。見た目がよければ、多少のアラには目をつぶる所存だ。しばらくすると、世界樹が見えてくる。エイミーは窓から身を乗り出して、世界樹を凝視する。
「すごいわ」
これ、どうやって文章で表現すればいいのかしら。とても大きいんだけど、見てない人には想像しにくい巨大さなのよね。
「ビックリするぐらい大きいの、でいっか」
エイミーはあっさり決めた。エイミーの旅行記は気軽に読めるのが売りだ。オシャレ女子たちは、小難しい言葉をあんまり好まない。響きがよく、ポンポンと小気味よく、軽やかな文体がいい。重厚、権威、歴史、そういった仰々しいのは敬遠される。
「みんなオシャレに恋に忙しいから。読むのに頭を使う本は勘弁って感じよね。分かるわー」
エイミーは重々しい本も好きだが、忙しいときはお手軽、お気楽な本を手に取ることが多い。
「世界樹の下に立つオシャレ女子エイミーの絵でも載せておけば、大丈夫でしょ」
エイミーは忘れないように、自画像と世界樹を手帳にササッと描いた。できる女子エイミーは文章だけじゃなく絵も描ける。
「かわいくてオシャレで才能もありあり。謙遜しないのがアタシのいいところ」
エイミーの前向きなひとりごとを、御者は聞き流すことにした。真面目に聞いていると、頭が痛くなりそうだから。世の中には色んな人がいるもんだ、御者は青々とした世界樹を見つめて頭をスッキリさせる。
若いオシャレ令嬢たちに大人気のエイミーが訪れるとあって、ホテルの前には島の若い女性たちが今か今かと待ち構えている。
エイミーは馬車から軽やかに降り立ち、気さくに手を振った。キャーッとどよめきが起こる。
「エイミー人気、キテるわね」
エイミーはご満悦。そうでなくては、困るのだ。旅行はほぼ招待されるとはいえ、オシャレでいるのはお金がかかる。旅行記を飛ぶように売りさばかなくては。歓声を上げている人たちは、お客様だ。愛想をふりまくるエイミーであった。
「エイミー様、部屋は最上階をご用意しております」
「ありがとう。でも、階段を上るのは疲れてしまいそうね」
「もしよろしければ、コボルトがご案内いたします」
羽をバサバサさせた二足歩行の犬たちが現れた。どう見ても、犬だ。人に犬の耳としっぽがついている人化型ではない。純然たる、犬。羽がついてるけど。
「コボルトかあー」
エイミーにしては珍しく、不満げな声が漏れてしまう。
「なんすか、なんか悪いっすか」
一番近くのコボルトがムッとした声を出し、他のコボルトから小突かれている。エイミーは少し考え込む。エイミーもモフモフは好きだ。ちっこいワンコたちにパタパタ持ち上げられるなら、ワクワクするかもしれない。いや、でも絵的に美しくないのでは。ちっこいコボルトたちに吊り上げられるエイミー。ダメだろう。オシャレ感が皆無。釣り上げられたマグロみたいではないか。その点、この野性味あふれるコボルトなら。美女と野獣的な。
「悪くないわね。でも、服が毛まみれになるのは困るわね」
毛をとるの、大変。
「ちょっとあなた、人化してみてくださらない?」
エイミーはオシャレ女子代表として、堂々と要望を出す。郷に入ってはというが、乙女だもの、線引きは必要でしょう。
「人化か。数回しかやったことねえんだけど」
「がんばって」
エイミーは手を打ち合わせ、上目遣いで応援する。たいがいの男子は、これに逆らえない。
「参ったな」
コボルトも例外ではなかったようで、うんうん頭をひねりながら、人化を始めた。全身のフワフワの毛が消え、ツルッとした人肌が現れる。
「あ、下半身はコボルトのままで大丈夫です。上半身は人。でも、犬耳と羽は残してください」
「注文が多いなあ」
コボルトはぼやきながら、なんとかエイミーの期待通りの姿になる。たくましい胸板に割れた腹筋。エイミーは周りで見守っている従業員に声をかける。
「どなたか、男性用のシャツをくださらない」
「どうぞ」
すぐさま、ピンッとたたまれた青いシャツが手渡される。
「シャツを着てくださいな。バーンッて胸をはだけさせない方がよくてよ。オジサマたちはね、女子がバーンッて胸出してたら喜ぶけれど。女子は男子の胸が露出してたら目のやり場に困るの。ちょい見せがいいのよ」
シャツのボタンをある程度とめ、胸がはだけないようにする。
「胸はちょい見せ、腕は惜しみなく見せてちょうだい」
グイグイキュッキュッとシャツの袖をまくり上げ、二の腕をさらけ出す。
「あのね、腕はね、常に力を入れておいてくださる。そう、それ。その二の腕の筋に女子はトキメクのよ」
コボルトはソワソワしながら、エイミーにされるがままになっている。
「かあちゃーん、とうちゃんが変なことされてるー」
ちびっ子コボルトがエイミーを指差しながら叫んだ。母コボルトは、子どもの口をガバッと手で押さえ、小声でささやく。
「しっ、見ないの、聞かないの。大人の世界には色々あるのよ」
ちびっ子コボルトは素直に目を閉じ、耳をペタッと伏せた。
「今さらなんすけど、俺でいっすか? 女のコボルトもいますけど」
精悍に人化したコボルトにニッコニコなエイミーは、手を軽く振った。
「あなた、妻子持ちですわよね?」
「そうっす、あれっす」
コボルトは口を押さえているママコボルトと、目を閉じているちびっ子コボルトを指す。
「あなた、人間の女性に興味ないですわよね?」
「まったく、ぜんぜん、毛の先ほども、ないっす」
「なら、あなたでお願いしますわ。男性の方がたくましくて安全だもの。アタシが先陣を切れば、他の令嬢たちも男性コボルトに気兼ねなく運んでもらえますしね」
貴族令嬢には建前が必要。運ばれるなら、かっこいい男性がいいわ、なんて口が裂けても言えない。はしたないではないか。ところが、オシャレの伝道師エイミーが、妻子に一途で人間の女子には露ほども興味がない、イケてる人化コボルト男性に運ばれたのであれば。もう、なんの問題もないのだ。コボルトにとっては仕事、お客様にとっては接客の一部。そういうこと。
「貴族のお嬢さまっつーのは、なにかと大変っすね」
「そうなのよー。色々と言い訳がいるのよね。では、お願いします」
エイミーは軽々と最上階の部屋まで運ばれた。
「どうもありがとう。とても素敵な体験だったわ」
エイミーは銅貨をシャツの胸ポケットに入れる。コボルトは最高の笑顔を見せた。
「いつでも呼んでください、エイミー様。部屋の中のベルを鳴らしてもらえれば、いつでも飛んできます」
愛想が五倍増しぐらいになったコボルト。何度も手を振りながら下に降りていく。
「いいわあー、とても、いいわあー。あの素朴なのにたくましい感じ。妻子持ちだから、線引きもできるし」
下手に恋に落ちたらお互い面倒だもの。エイミーは、不倫はしないと決めているのだ。
「不倫したら、乙女たちを一気に敵に回すからね」
女子を敵に回したら、エイミーはおまんまの食い上げである。
「さて、景色を楽しみましょう」
エイミーはカバンの中から双眼鏡を取り出した。旅行記に紹介する素敵な景色と、恋バナ用のイイ男を探さないといけない。
「従業員ではなくて、宿泊客がいいのよねー。後腐れがないもの」
ホテルの従業員をたぶらかしたら、もう招待されなくなってしまうかもしれない。それは困る。話題のホテルには、二度三度訪れ、どう変化したかも記したい。仕事第一のエイミーである。
「アタシが働いても、ウダウダ言わない男子がいいわ。そういう人、どこかに転がっていないかしら」
働く女子エイミーにも婚約者はいたのだ。
「仕事と僕と、どっちが大事なのって聞かれちゃあねえ。どっちがっていったって、どっちも大事だけど。あの人は、恋人である自分を一番に考えて欲しかったってことよね」
でも、そんなことを望まれても、困るのだ。恋人とイチャイチャしたいときもあれば、バリバリ仕事をしたいときだってある。大きな案件があるときは、デートどころではない。取材、調査、執筆、修正、打ち合わせ、売り込み。ボケッと待っていたって、旅行記は売れないし、お金は勝手にどこかから降ってきたりはしない。
「そもそも、家で夫の帰りを健気に待つ、みたいな伝統的な貴族女子像をアタシに求められても困るのよね」
そういうのは、豊かな領地があり、家賃収入で潤ってる一部貴族にしか無理な話だ。収入がそこそこな貴族家の女子は、せっせと働いている。
「王宮でメイドやったり、家庭教師やったりね。アタシは文才とオシャレな見た目があったから、旅行記の作家になったのよね」
オシャレと旅行とおいしい料理が大好きなエイミー。今の仕事は天職だと思っている。仕事を辞めて家庭で夫を待ってほしいと言われたら、全力でお断りするしかないのだ。
でも、恋はしたい。旅行記に恋バナは必須。お金持ちで旅行する余裕があって、エイミーと一緒に色んなところに旅行デートしてくれて、エイミーが働いても温かく見守ってくれる懐の大きい男子がいいな。そんな野望を抱きながら、エイミーは望遠鏡を眺める。
「あら、果樹園にイイ男が」
残念ながら、宿泊客ではなさそうだ。宿泊客は枝の剪定などしないだろう。
「あら、あらあら。あれは、マーゴット王女殿下では」
超重要人物については事前に調査済みだ。華やかな金髪、海のような青い目、大きな草刈りハサミ。間違いない。
「ということは、あの男性はトムさんね。やったわ、早速話題のふたりを目の当たりに」
自分自身の恋バナを書ければそれが一番だが、無理なら高貴な方々の愛だの恋だのについて入れたい。
「まあ、堂々とイチャイチャされているわ。わーお、やったー」
いいもの見ちゃった。エイミーはいそいそと手帳に一部始終を書き留める。
「なんとしても、マーゴット王女殿下とお話したい。取材しないと、帰れないわ」
王女と庭師の身分違いの恋。そこんところの事情を載せないことには。読者にガッカリされてしまう。
それに、マーゴット王女は働く女子たちの憧れの的であり、希望の星なのだ。働くってかっこいい、貴
族だって王族だって働くのが普通、そういう機運を作ってくれている素敵女子だ。
「でも、手ぶらでは行けないわ。なにか贈り物をしなきゃ」
エイミーは旅行カバンを広げて、小物類を吟味する。世界各国の珍しいものを持ってきているのだ。
「伝説の女王が好んだと言われるバラの香油。舞台上の妖精と名高い踊り子がつけていた髪飾り。爪をイチゴ色にできる新しい化粧品。髪の色を一日だけ青色に染められる粉」
どれがいいかしら。さっぱり分からない。分からないので、ありったけ持って行くことにした。
チリンチリンッとベルを鳴らすと、すぐにさっきのコボルトが飛んでくる。
「マーゴット王女殿下に贈り物を持ってきたのだけれど。ひょっとしてお会いできたりなんて、しないかしら」
ダメ元でも聞いてみる。図々しくないと旅行記なんて書けないのだ。
「大丈夫じゃないすかね。聞いてきますよ」
コボルトは驚くほど安請け合いして、ピューンッと飛んで行った。エイミーはすぐさま望遠鏡で観察する。コボルトは空を旋回しながら、イチャイチャしているふたりに声をかけているようだ。コボルトがエイミーの方を見て拳を振り上げる。そして、あっという間に戻ってきました。
「今からでもいいってことでした」
「えっ」
「それが贈り物っすか? タオルに包んじゃいますね」
「えっ」
コボルトはザザーッと小物たちをタオルに入れると、クルクルと包み、「じゃ、行きまっす」エイミーを抱きかかえ、窓から飛び出す。
「ええーっ」
エイミーの叫びは風にかき消された。いつもビシッと決めているエイミー。どこから見ても、完璧にかわいいエイミー。コボルトに運ばれ、王女と恋人の前に立ったときは、ヨレヨレだった。涙ぐみながらも、エイミーはしっかり礼をする。
「エイミーさん、初めまして。マーゴットですわ。こちらは、恋人のトムです。さあ、お立ちくださいな。遠慮は無用ですわ」
マーゴットに促され、立ち上がったエイミー。がんばって笑顔を作る。
「あら、飛んできたから髪がちょっと。ツァール、ブラシを出してくださらない」
マーゴットは、コボルトにコラッという顔をし、エイミーの髪をささっと整えた。エイミーはあまりのことにカチンコチンに固まる。
「さあ、これでいいわ。ごめんなさいね。乙女心に疎いコボルトで」
「あのっ、ありがとうございます。これ、お土産です」
動転して、気の利いた言葉が頭の中から消え去ったエイミー。やっとの思いでタオルに包まれた小物たちをマーゴットに渡す。本当だったら、一つずつ素敵に包装してリボンなんかをつけて、渡したかった。心の中のエイミーは滂沱の涙。
お世話猫がマーゴットの代わりにサッとタオルを受け取り、ギュッとモフッとエイミーの手を握ってくれた。エイミーは立ち直った。せっかくの機会なのだ、しゃんとしなくては。
お世話猫が広げたタオルの中にある小物を紹介する。
「こちら、バラの香油です。砂漠の国の女王が愛用していたものと同じです。湯あみの後に、体に塗ると、バラの香りに包まれてグッスリ眠れます」
「あら素敵」
マーゴットは人差し指に一滴落とし、自分とトムの首にこすりつける。
「どう?」
マーゴットが首をそらす。マーゴットの真っ白な首に、赤面したトムが顔を近づける。
「うん、いいね」
「エイミーさん、ありがとう」
ふわあー、いいもの見たー。エイミーは歓喜の表情を必死に抑える。
「この髪飾りは、花の都で一世を風靡した踊り子が、最後の舞台で使ったものです。伝手があって手に入りました」
「まあ、そんな貴重な物を? いいのかしら? ありがとう」
お世話猫がマーゴットの髪にパチリと止める。キラキラした流れ星がマーゴットの髪に降り立った。
「どう?」
「いいね」
今度は、普通の顔色のトムが笑顔で言い、マーゴットの頬にチュッとする。
ぐああー、ありがたきー。エイミーは心の中で五体投地。
マーゴットのイチゴ色の爪にもトムはキスを落とし、マーゴットの青く染まった毛先を指でクルクルする。
ががが、眼福ー。目の保養ー。エイミーはうっとりと仲睦まじいふたりを眺める。
「お礼に、明日お茶会を開きますわね。果物をたっぷり使ったジュースやケーキをご用意いたしますわ」
「ありがとうございます」
夢見心地のエイミー。部屋に戻ってから、ふたりの愛溢れる場面を思う存分描いた。
「これを、新作の挿絵に使いたい。許可いただけるかしら」
普通に考えたら、王族の絵を権威のかけらもない旅行記に使えるわけがない。でも、翌日マーゴットはあっさり「よろしくてよ」と言ってくれた。
「本当ですか」
ケーキを大急ぎで飲み込んで、エイミーは紙の束を取り出す。
「あの、どれなら使ってもよろしいでしょうか」
「まあ、なんて素晴らしいの。部屋に飾りたいので、一枚いただけないかしら」
「もちろんです、どれでもどうぞ」
「では、このバラの香油を試している絵にします」
マーゴットは嬉しそうに、絵をじっくり見ている。
「あ、そうでした。絵はどれでも使っていただいて大丈夫ですよ。バラの香油の絵も、もう一度描けるのでしたら、どうぞ」
王女にあるまじき太っ腹と気安さ。エイミーは感激した。
エイミーの新作『エイミーが行く~ユグドランド島編~』は世界中のオシャレ女子にバカ売れしたのであった。数々の挿絵の中でも、エイミーとマーゴットが色鮮やかなジュースを持って微笑んでいる絵は評判となった。世界中のカフェでその場面を真似する女子が後を絶たなかったとか。
旅行記で儲けたお金で、エイミーはユグドランド島に長期滞在することに決めた。
「まだまだネタがいっぱいある島だもの。イイ男もきっと、そのうちここに来るはず」
エイミーは旅行記の続編を書きながら、素敵な出会いを待ちわびるのであった。




