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短編集

異世界帰りの勇者は、元の世界に戻って身の回りにある問題を片付けていきます

作者: よぎそーと

「お、戻ってきたか」

 懐かしい自分の部屋。

 異世界に転移してからかれこれ30年ぶりだろうか。

 薄れていた記憶のままの自分の部屋がそこにあった。



 突然の召喚による異世界転移。

 世界を救う素質のある者を呼び出したという異世界の連中によるものだ。

 何をいきなり、と思ったが言われるがままに活動していった。

 そうしなければ生きていけなかったからだ。



 そんな異世界で30年ほど過ごし。

 何とか魔王を倒し、そんな勇者を危険視する召喚した連中をも殺し。

 異世界の人類全て、および女神を名乗る存在をも消滅させた。

 異世界そのものも制圧し、支配下においた。

 そうして得た巨大な力で、勇者と呼ばれた英雄は元の世界に戻ってきた。



 未練があったわけではない。

 むしろ、元の世界なぞさっさと滅べばいいとすら思っていた。

 それほどろくな思い出がない。

 毒親によるモラハラ・パワハラの日々。

 イジメという学校犯罪の標的になった毎日。

 そんな毎日にどうして戻りたいと思うのか?



 だが、力をえた勇者は考えが変わってきた。

 異世界を制圧したあと、ふと思い出したのだ。

 あの連中はどうしてるのかと。



 そう思った途端に怒りが沸騰した。

 自分を虐げて楽しんでいた連中。

 そいつらを放置して良いのかと。

「良いわけないよな」

 即座に結論にいたった勇者は、元の世界への移動を決断した。



 そうして戻ってきた元の世界。

 30年ぶりに戻ってきた自室には、特に何の感慨もなかった。

 そんな自分を見て思う。

 本当にこの世界に何の未練もないのだと。



 早速行動にうつる。

 時計と窓からの光を見れば、今が早朝なのが分かる。

 学校に通う時間より一時間ほど早い。

 親もまだ家にいる。

 まずはそいつを処分しにいく。



 部屋から出た勇者は、台所にいた両親を叩きのめした。

 最初は朝早く起きてきた勇者に少し驚いていたが。

「おお、とうとう早起きしたか」

「ようやくなの、本当にどうしようもない子ね」

 そういって喜んでいた。

 そんな親を吹き飛ばしていく。



 外見こそ若い頃のままだったために、親も変化に気付かなかったようだ。

 異世界でレベルをあげ、能力を高めていくうちに、外見の変化が少なくなった。

 成長も一定段階を超え、霊的な部分が高まったためだ。

 霊魂の影響が肉体にも及んでいた。

 おかげで、肉体の老化がほぼ消滅した。

 勇者の場合、それが15歳程度で止まったのだ。

 転移直前の年齢とさほど違いは無い。



 しかし、見た目はともかく中身は別人と言えるほど変わってる。

 身体の能力だけでも桁違いに向上している。

 それこそ、以前に数百倍という能力を備えてる。

 そんな勇者が叩きのめしたのだ。

 無事で済むわけが無い。



 両親はめでたく廃人となった。

 息も絶え絶え、そのまま放置すれば死ぬという状況に。

 そんな親から霊魂を抜き出して吸収する。

 自分のエネルギーにするために。

 輪廻転生が出来ないようにするために。

 異世界でもやっていたことだ。

 元の世界でもためらわずやっていく。



 ただ、予想していたことだが。

 両親はなんでこうなったのか分かってなかった。

 彼らからすれば、勇者に対する態度は当たり前のものだったからだ。

 普通と思ってることを普通にやった。

 それでなんで痛め付けられねばならないのか?

 そんな想いしか抱いてなかった。



 しょうがないことではある。

 人間、自分が当たり前と思ってることを実行する。

 当たり前なのだから疑問を抱くこともない。

 むしろ、それを遮られる方が不思議なのだ。



 両親にとってそれがパワハラ・モラハラというものだった。

 我が子への虐待だった。

 親からすればそれが当たり前なのに、なぜ糾弾されるのか、ということでしかない。

 クズと言うしかない。

 そんなクズを片付けることに躊躇いはなかった。



 ゴミはゴミ箱へ。

 これまた当然のことである。

 クズというゴミなのだから、ゴミとして処分するのが正しい。

 それが勇者にとっての当たり前だった。



 その調子で学校に行き、クズを片付けていく。

 不良から偽善者まで、全てを破壊していく。

 ことが終わったら、やってきた警察も叩き潰していった。

 それが終われば、学校犯罪をおかしていた連中の家族のところへ。

 残さず全てを破壊していった。



 警察については、自分に反攻するとどうするかを示すために。

 学校犯罪者の家族は、そんな犯罪者を育てた元凶だ。

 遺伝子的にも養育・教育環境的にも間違ってるのは目に見えている。

 責任を取って滅亡してもらった。

 非は個人にあるなどという戯言には興味がない。

 関連する連中全てに問題がある。

 一族皆殺しは処分の基本だ。



 それからは各地のクズ共を滅していった。

 自分に直接関係がないからと放置はしない。

 生かしておけば、必ずどこかで悪さをする。

 そんな連中を放置しておけば、治安が悪くなるだけだ。

 先んじて潰して、後に生まれるだろう悲劇を消していく。



 途中、仲間になる者も見つけていく。

 えてしてそういう者は虐げられてる者達の中にいた。

 それらを仲間に引き入れていく。

 能力を開花させ、レベルを上げていく。



 あちこちでそうした活動を実施していった。

 クズがそこかしこから消えていく。



 人口が一気に減少していった。

 激減といってよい。

 何せ、対象となる者が多いのだ。



 直接的に虐待をしている者だけではない。

 それをかばう者もいる。

 消極的に参加していた者もいる。

 それらを全て根絶やしにしている。

 大幅な人口減少になるのも仕方がなかった。



 そういった者達の言うことはたいてい同じだ。

 このような虐殺は良くないと。

 そういう偽善者を根こそぎ排除していった。

 人に負担をかけて虐げてる者をかばってるのだ。

 生かしておくわけにはいかない。



 とはいえ、それで困るのかというとそうでもない。

 日頃無駄なことをしてる人間が消えたのだ。

 むしろ、贅肉が消えて効率が上がっていく。

 それに、人口が大幅に減っている。

 それによって、最低でも維持しなければならない諸々も減っている。

 減ったなら減ったなりに世の中を保つことが出来た。



 それを日本だけにとどめてるわけではない。

 世界各地で行っていく。

 各地にいる不当な虐待にあっていた者達を助けていく。

 助けた者達の能力を引き上げ、更に各地の問題を解消していった。



 各国政府はこの動きに対して無力だった。

 というより、先んじて帰還した勇者とその仲間動いていった。

 いずれ敵になることが分かっていたからだ。

 なので、先手をうった。



 まずは核兵器を確保。

 これらを基地で爆発させて全ての兵器を消滅させた。

 これにより核兵器を除いた通常兵器で対抗せねばならなくなった。

 そして、通常兵器で勇者と仲間を倒すことは不可能だ。

 もとになる能力に差がありすぎる。



 かくて数年で地球人類は人口を1億人にまで減らした。

 まともなのを残したらこの数しか残らなかった。

 残りはろくでなしと、その協力者・擁護者だったので処分するしかなかった。

 それでも勇者は驚いた。

「こんなにまともな人間がいたのか」



 なにせ、召喚された世界には、まともな人間が一人もいなかったのだ。

 なので神を含めて殲滅することになった。

 それに比べれば大きな差だ。

 生き残る者が何人かいたのだから。



 そこまでやれば神々も動き出す。

 さすがに見逃すわけにはいかないからだ。

 だが、それをも難なく排除していく。



 召喚された世界を掌握し、その世界にあるあらゆる力を吸収したのが帰還した勇者だ。

 その力は神々すらをも超える。

 挑んできた神々は全て勇者に霊魂ごと吸収されていった。

 そうして強くなった勇者は、更に多くの神々を吸収・消滅させていく。

 理由がどうあれ、邪魔する連中に容赦する必要がない。

 むしろ、今まで外道共を放置していたのだから罪は重い。



 作業が粗方終わると、世の中は大分過ごしやすくなった。

 人口が減った分、必要になる食料や燃料・原料なども減った。

 おかげで様々な問題がかなり解消された。

 技術や知識の発展も、レベルを上げて能力を高めた者達によって埋めることが出来る。

 むしろ、今まで地球になかった魔術という要素が増えたので、長期的に見れば利点の方が大きい。



 なにより、発展の邪魔をする者が消えた。

 これが最大の収穫である。

 不要な虐待、それ以上に罵詈雑言が消えたのは大きい。

 誰もが不毛なストレスを感じる事無く生きていける。



「ようやくか」

 やりたいことを全て終えた勇者は、ようやくくつろぐ事が出来た。

 異世界で人間も神々も皆殺しにした時にも残った後悔。

 元の世界での様々な思いで。

 それをようやく拭うことが出来た。



 問題を起こした連中は全て消滅させている。

 今は勇者の養分となって勇者の霊魂に溶けている。

 それらが復活する事は二度とない。



 それだけで勇者は幸せだった。

 もう何かにわずらわされる事は無い。



 問題があるとすれば今後だ。

 どうしてもどこかに問題を起こす要素をもった者は生まれる。

 こればかりはどうしようもない。

 見つけて即座に処分していくしかない。



 幸い、そういった者が生まれる確率は低い。

 生まれたのを見つけて処分してまわるだけで充分だった。



 世界は特に問題もなく時を刻んでいく。

 人がより上位のなにかに進化し、全ての存在が神々と言えるようになるときまで。

 そのきっかけを作った異世界からの帰還者は、そんな者達に大神と呼ばれて敬われていった。

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