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踏み台令嬢はへこたれない  作者: 三屋城 衣智子
第一章

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8 遠巻きと友人

 それからひと月は平穏な日々が過ぎた。

 ちらほらと視界にキラキラしたものが見え隠れする気がするけれど――気のせいにすることにした。

 平穏は大事、ですもの。

 相変わらずまわりからはなんだか遠巻きにされている気もするけれど、同じクラスに見知った顔があることもあり、気にせず授業を受けている。

 遠巻きにされている理由は昨日チラッと漏れ聞こえた「踏み台令嬢が……」という言葉から、なんとはなしにわかったので、少し溜息は出たものの落ち込んではいない。


 いないったら、いないわ……。


 お昼前の授業終了のベルが鳴った。

 各々お弁当を持ったり、仲の良い人と声をかけながら食堂へと向かうはしゃぐ声に教室がざわつく。


 少し集中の欠けた、けれど充実した時間に固まった肩をほぐしながら昼食のメニューを思い浮かべていると、後方から声がかかった。


「春告げる君、私と中庭でデートでもいかが?」

「! メメット…! お久しぶりね!」


 かけられた声に見知った顔を浮かべ嬉しさのあまり破顔しながら振り向くと、そこにはもう何度も目にした、けれどちょっと珍しく畏まった表情をした黒曜石の瞳があった。

 ただ……はて、わたくしは最近メメットと言葉を交わしたかしらと首を傾げる。

 同じ公爵家令嬢ではあるけれど、わたくしとは違ってとても闊達な目の前の彼女は、だいぶ前に約束を取り付けなければ会うことが出来ない。

 入学前の準備で手紙も滞りがちだったはず。

 不思議そうな顔をしたわたくしを気にもせず、彼女は手をひくと手際良く食堂へと向かい食べやすいメニューを選んでから、中庭まで足を運ぶのだった。

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