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現実主義者の俺が青春ラブコメに巻き込まれる  作者: 小西 悠人
アスリート氷織鈴華編
83/91

【73話】決着!


 「頑張れ!笹原!」


 声の方を振り向くと、観客席に鈴華の姿が見えた。


 花菜のやつしっかり連れてきてくれたんだな。


 鈴華の前なんだ、しっかりと戦って勝たないとな。


 

 鈴華、たぶん花菜から聞いただろう。


 俺の足が完治しなかったこと。それでサッカーをやめたこと。


 お前は俺にひどい言葉をかけたと後悔しているだろう。


 だけど、それは違う。


 俺は確かに、サッカーに未練を残していた。


 サッカーをやめると決めても、どうしても諦めきれなくて、ほんとはまだできるんじゃないか?足の怪我も良くなるんじゃないか?


 皆には隠れて一人、自主練をしていた時もあった。


 でも、どうしても思うように動けない、ひざに違和感を感じる。


 あの輝いていた自分にはもう慣れないと分かってしまう。


 お前は俺がお前のことを思ってサッカーをやめたと思っているけど、それは違う。


 俺は単にお前にこんな惨めな姿を見せたくなかった。


 かっこ悪い自分をさらけ出したくなかった。


 だから、俺は戦うことから逃げてサッカーをやめることにした。


 それでも未練がましくまだサッカーにしがみついている俺に、お前は最後に戦う機会をくれた。


 本当に感謝している。


 鈴華だけじゃない。


 部活に来ない自分を気にかけてくれた晴人部長。


 半ば強引に俺にサッカーをする機会を与えてくれた三宅。


 こんな俺を信じてついてきてくれたチームメイト。


 それに、応援に来てくれた花菜、圭人、吉田、黒瀬。


 皆に感謝している。


 

 だから、絶対ゴールを決めてやる。


 俺は軸足である右足が踏ん張れないため、利き足である左足で思い切り、地面を踏みつける。


 その反動で俺の身体は宙を舞い、そのまま態勢を横に倒してシュートモーションに入る。


 これなら軸足は必要ない。


 浮いている右足で思い切り反動をつけて、空中にあるボールを左足で思い切りシュートを放つ。


 俺の渾身のジャンピングボレー!


 着地のことなんて考えていなかったため、そのまま地面に落ち倒れこむ。


 その間も俺の視線は自分の放ったシュートの弾道を追った。


 その弾道はキーパーの佐久間の脇の間をすり抜け、ゴールに突き刺さった。


 ゴールを決めた。


 そして同時に


 「ピッピッピー!」


 試合終了のホイッスルが鳴った。



 「うぉらーーー!」


 俺は雄叫びを上げる!

 

 見たか!お前ら、俺が笹原一真だ!


 俺は倒れながらも右拳を観客席にいる鈴華に向ける。


 鈴華は泣いているのか、笑っているのかわからないくしゃくしゃな顔で俺に右拳を突き出す。


 俺は戦って、勝ったぞ!


 


 

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