【7話】生徒会長先輩キャラの登場
なんとか、バイトの休憩中に書き終えました。
ぜひ読んでください
俺は、鈴華と会話?を切り上げ、勉強するために図書館に向かった。
俺は、勉強するときよく、図書室を使うようにしている。
この学校には、勉強するための自習室があるが、なんというか自習室は雰囲気が悪く、勉強に追い込まれている感じがして、あまり好きではない。
それに比べて、図書室は一年の時、図書委員だったこともあり、よく通っていて、過ごしやすく、俺にとっては勉強に集中できる環境だ。
息抜きに図書室にある小説を読むこともできる。
俺は図書室に着き、ドアを開けると、本独特の髪のにおいが鼻腔をくすぐる。俺はこのにおいが好きで、本に囲まれるように感じられ、暖かい心地になる。
図書室には、何人かいて、本を探している者、本を読んでいる者、勉強している者、様々いる。
俺はそこである人物を見つけ、その人物の正面の席に腰を下ろす。
その人物は、正面に座った俺に気づくこともなく、手にある本を集中している。
「咲空先輩、今日もここにいたんですね」
「ああ、笹原君か」
彼女の名前は、立花咲空。三年生で俺の一つ上の先輩である。
彼女は、すらっとしたモデル体型で、どこか落ち着いた雰囲気をしている。彼女の髪は黒いショートカットで、可憐でいて、大人びた顔立ちをしている。
先輩とは、去年から放課後や休みの日に図書室でよく会っている。
勉強の話や読んでいる小説の話をしたりしている。
「久しぶりですね。まぁ、春休みに何度か会いましたけど」
「そうだね」
俺は、春休み中は部活動に何度か顔を出していたが、部活後はいつもこの図書室を訪れていた。
そこで、たまに先輩と会い、勉強や進路、今読んでいる小説の話していた。
「今日は、もっと早く来ると思ったのに意外と遅かったね」
「ちょっと委員会に時間がかかってしまって」
そして、俺は先輩に遅くなった経緯を話す。
自分が楽をするために風紀委員になったが、その委員長が黒瀬になり、さらに俺が副委員長になって仕事が増えたこと。
「それは君にとっては災難だったね。しかも、委員長が黒瀬さんとはこれはもう運命なんじゃない?」
俺は、よく先輩と話しているため、俺が黒瀬のことを敵視していることを知っている。
だから、こんなふうに揶揄ってくる。
「そんなんじゃないですよ。もう嫌がらせですよ。黒瀬のは」
「あはは、確かにそうだね。もしかしたら、今後、委員会同士でからむことがあるかもしれないね」
先輩はこの学校の生徒会長であって、実際去年、黒瀬のいたクラス委員会と生徒会が共同で活動したことがあったらしい。
「黒瀬のことだから生徒会を巻き込むのはあるかもしれないね。すいませんね、うちの黒瀬が迷惑をかけるかもしれなくて」
「いやいや、黒瀬さんはこの学校を良くしようとしてくれているんだから、全然ウェルカムだよ。むしろ、生徒会長としては嬉しい限りだ」
「でも、先輩。今年は受験とかで忙しいのによく生徒会の活動もできますね」
「生徒会も好きでやっているからね。私は、誰かが喜んでいる姿を見るのが好きなんだ」
人の喜んでいる姿が好きか、俺のように自分のことを優先したい生きている人間には到底理解できない話だな。
これが先輩が生徒会長たる所以だな。
「それに受験の方に至っては、私は推薦枠をいくつかもらえているからそこまでっ切羽詰まってないんだよ」
先輩は生徒会長のうえ、学力も高く常に上位でいて、さらに運動神経もよく、助っ人として色んな運動部に顔を出しては活躍しているらしい。
また、先輩は文化部の部長であり、まさに文武両道、完璧な生徒会長である。
うちの学校では、成績優良者には学校が保持している大学の推薦枠が与えられることになっている。
もちろん、俺も狙っているが、先輩は簡単に推薦枠を獲得できるだろう。
「それに先輩、学力普通に高いですしね」
「まぁ、それでも勉強はしないといけないけどね」
「そうですね、じゃあ、僕は勉強を始めるんで」
俺は机の上に広がる、参考書やノート、筆記用具を片付け始める。
「分かった。私は今日の勉強はもう終わったから、後の時間は本を読んでるよ。わからないところがあったら言ってくれ」
先輩は俺の話を聞いてくれたり、勉強を教えてくれたりなど非常に感謝している。
人を喜ばせたいと思って、自分の時間を他人に費やすことができる人なんてなかなかいないと思う。
「ありがとうございます」
「よし、そろそろ帰るか」
「そうですね。その本はどうでしたか?」
「面白かったよ。思春期特有の悩みや不安が実現化するフィクション作品なんだけど、主人公がその悩みや不安に人目を気にせず、真っすぐに解決する姿に感銘を受けたよ」
「よかったら、今度読んでみて」
「はい、わかりました」
「どうする?昇降口まで一緒に行くか」
「いや、この後教室に参考書取りに行くんで先に帰って大丈夫ですよ」
「そうか、じゃあ、また今度。さようなら」
「はい、さようなら」
先輩と別れ、自分の教室に向かう。
すると、教室から一人の生徒が焦ったように出てきた。
すれ違ったその生徒は、大事そうにノートを抱えながら、少し涙目を浮かべながら俺の横を走り、通り過ぎて行った。
「確かあれは同じクラスの、誰だっけ」
なんか、見覚えがあったが、まぁいっか。
頭に無駄なリソースを使う必要はない。
教室に近づくと、何人かの話声が聞こえる。
こんな時間まで、教室にいるとかどうせろくな奴じゃないだろう。
そこにいたのは、男三人組で同じクラスになったやつだらだ。
彼らは、一度俺に視線を向けたが、すぐに視線は途切れ、また三人で会話をしだした。
俺は、すぐに自分の机から目当ての参考書を取り出し、リュックサックに入れ、教室を後にする。
三人組は、まだ会話を続けている。正直、話には興味がなかったが、声が大きいため自然と頭に流れてくる。
だが、どうでもいいことなのですぐに頭から抜けていく。
だが、一言だけ俺の頭に響き残った。
「あいつ、ほんといじめがいがあるな」
俺は、頭に残ったその言葉だが、自分には関係ないと頭から切り離した。