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現実主義者の俺が青春ラブコメに巻き込まれる  作者: 小西 悠人
アスリート氷織鈴華編
75/91

【65話】前半戦終了


 前半戦もそろそろ残り数分、


 俺たちはなんとか黒岩高校の攻撃を凌ぎ切って、無失点で抑えている。


 相手の攻撃スタイルは基本的に個人技。


 一人一人がそれぞれの持ち味、武器を全面的に出して、攻撃してくる。


 サイドの選手はスピードを生かした縦突破や切り返しによるカットイン。


 中盤の選手はシュート力のあるミドルシュート。


 そして、フォワードの鬼丸は高いフィジカルとスピードで相手をぶち抜きシュートを決める。


 試合前に何度も相手の練習や試合を見返して、スカウティングをして、チームメイトにそれぞれのマークする選手の特徴を教えて、守り方を指導した。


 もちろんそれでも抜かれて突破されることもあるが、今のフォーメーションは5人がディフェンス。


 相手の攻撃手4人に対し、こちらは常に1人、つまり俺が余っている状態を作り出し、危険な場面にはすぐさまカバーリングして、攻撃を阻止する。


 中盤の選手も下がり気味にして、ほとんど亀状態で守備をしてなんとか凌いでいる。


 「くそっ!べた引きしやがって。まだ一点も入らないぞ!」


 相手選手たちも苛立ちだす。


 苛立ちによってプレーも散漫になり、もっと攻撃率を下げることもできている。


 こっちの攻撃はほとんどが、中盤の三宅を経由して、フォワードの1年の林田1人によるカウンター。


 ただ、林田は一年生にしては上手い部類に入るが、本職はサイドハーフの選手だし、何よりセンターバックの古澤とキーパーの佐久間には敵わず、まだゴールは入らず。


 これでいい、


 前半はとにかく無失点で終えるのが重要。


 またも、相手にボールが渡る。


 だけど、試合時間からしてこれがラストプレー。


 これを凌げば前半は無失点で終えられる。


 「最後、止めて無失点で前半を終えるぞ!」


 「「「オー!」」」


 俺はチームメイトに的確な指示を出して、動きを統率する。


 高校からディフェンスというポジションをやって色々なことを学ぶことができた。


 中でも1番、誘導力が伸びたと思う。


 1番後ろの位置から指示を出して味方を動かして、組織的なディフェンスをする。


 その中に一つだけ、わざと穴を作って相手を誘導させる。


 俺はわざとサイドからフォワードの鬼丸へのパスコースを空けさせた。


 他にパスコースも無く、空いている鬼丸を見たらどうしても相手はそこに出してしまう。


 鬼丸にパスが入る。


 「ナイスパス!」


 しかし、そこにはパスを読んでいた俺と部長の2人でボールを奪いに行く。


 「くそ!またかよ」


 鬼丸はボールを取られまいとキープするが、俺のタックルで態勢が崩れたところを部長がボールを奪い取る。


 「部長、クリア!」


 「おう!」


 そのままボールをサイドに蹴り出して、前半終了。


 「くそ、ガチガチに守りやがって。まさかこのまま引き分けでPK狙いか?」


 「さぁ、どうだろうね」


 「ずいぶんとプレースタイルが変わったな」


 「こちとら色々あったもんで」


 「そうかよ、後半は絶対ゴール決めてやるからな」


 ここまでは作戦通りに進んでいる。


 勝負は後半戦。


 ベンチに戻って水分をとる。


 チームメイトは肩で息をして疲弊している。


 ずっと守っているのは体力的にもそうだが、精神的にもくる。


 ずっと相手の攻撃を耐えなければならないからだ。


 俺は1番後ろで、指示出しているだけだから、その分みんなが俺のために動いてくれているため体力を節約できている。


 俺は仕掛けるその時まで、体力を温存しなければ、


 ベンチに座り観客席を見ても、花菜と圭人、黒瀬と吉田はいるが、鈴華の姿はない。


 やっぱり来ないか、


 あいつめ、


 すると、俺が観客席に目をやっていると花菜と目が合った。


 手を頭の上に乗せて敬礼のポーズをとる。


 そのままグラウンドを離れて、どこかへと消えていった。


 俺の思考を理解したのか、


 さすが幼馴染。


 そっちはお前に任せるとするか、


 俺は勝つだけだ。


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