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現実主義者の俺が青春ラブコメに巻き込まれる  作者: 小西 悠人
アスリート氷織鈴華編
55/91

【45話】逃げた人間

こんにちは


今日も元気に投稿頑張りました!


通学時間が長いため、電車の中で書いてます


ぜひ、ブックマーク、評価、感想お待ちしております



 三宅の頼み事を断った翌日、それでも三宅は諦めず、しつこく俺に頼んできた。


 休み時間、昼休み、放課後、別のクラスだというのに何度も俺に迫ってくる。


 それが一週間も続き、金曜日の昼休み。


 俺は三宅から逃げるために、体育館に身を潜めていた。


 「ここまでくれば大丈夫だろう」


 ほんの息をつく。


 三宅は俺の能力を期待しているようだが、過大評価している。


 前にも言った通り、俺には約2年のブランクがあり、ボールタッチの能力は全盛期に遠く及ばない。


 それに、ランニングや筋トレをしていると言っても健康維持の範囲にすぎない。


 90分も動き続けるサッカーは、今の俺の体力ではきつい。


 やっぱり諦めてもらうのが妥当だ。


 しばらく身を潜めていると、


 ダン、ダン、ダン


 体育館にボールの弾む音が響き渡る。


 物陰から覗くと、発生源を見つけた。


 鈴華だ。


 同じクラスでバスケ部のエースである鈴華。


 中学からの同級生で、同じ運動部ということで仲良くしていたのだが、色々あって、今では冷たくされている。


 鈴華は一定のリズムのドリブルでボールを弾ませながら、いきなりギアを上げて切り込む。


 その鋭いドライブからゴール目がけて跳び、レイアップシュート    と見せかけてボールを持ち直し、ゴールを決める。


 ワンプレイ見ただけでも、鈴華のバスケの能力が高いことがわかる。


 相手を抜く、リズムを外してからの高速ドライブ、ゴール下の相手を嘲笑うダブルクラッチ。


 この高等技術を平然とやってのけてしまう鈴華は素晴らしい選手だ。


 さすが、県選抜に選ばれることだけある。


 

 その後も俺は鈴華の練習を眺めていた。


 何度ドリブルからのシュートを繰り返し、練習する。


 ドリブルにもいくつものバリエーションがあり、しかもどれもスピードの緩急がすごく、相手はそれを止めることは難しいだろう。


 見ている分にも飽きない。


 しかし、そんな颯爽と練習を繰り返している鈴華の顔が少し不安そうに、俺は見えた。


 何かを恐れているような、追い詰められているような、そんな表情。


 すると、いきなりボールがこちらに飛んできた。


 俺は驚いて、咄嗟に足でボールをトラップする。


 「さっきから何覗き見してんのよ。ストーカー?それにバスケットボールを足で使ったらいけない」


 練習を一通り終えたのか、タオルで汗を拭き、片手にはスポーツ飲料水が握られている。


 「別にいいだろ、練習見てても。てか、お前がボールを急に投げたから仕方ないだろ!」


「で、何で覗き見してたわけ?」


「別に理由なんてない。たまたま体育館通りかかったら、お前が練習してたから観てただけ」 


「たまたま?三宅から逃げてたわけじゃなくて」  


「うぐっ。何でそれを?」


「あんなに毎日追っかけこしてたら誰でも気づくって」


 マジか、また悪目立ちしてしまった。


 俺は平穏に学校生活を送りたいだけなのに


 「出てあげればいいじゃん?来週試合があるんでしょ?」


 「無理だよ」


 俺は諦めたようにいう。


 「ブランクもあるし、それに、力になれるとは思えない」


 俺は自分の左膝を触る。


 なぜか最近疼いて仕方ない。


「また、逃げるんだ」


「あ?」


 鈴華の『逃げる』という言葉に過剰に反応してしまった。


「また、逃げるのかって言ってんの?言い訳並べて、結局怖いだけでしょ」


「違う、俺は」


「違うわけないでしょ、中学の時もそうやって逃げて、諦めた。なのにまだサッカーにしがみついてみっともない」


「違う、サッカー部に入ったのは強制だから」


「なら、別に他の部活だってよかったわけじゃない」


 確かに鈴華の言う通り、


 部活に入るなら、別の緩い部活をいくらでもある。


 それなのに俺はサッカー部を選んだ。


 そんな俺の心の核心に何の躊躇いもなく、触れてくる鈴華に苛立ちを覚えた。


「そういうお前はどんなんだよ。思い詰めた顔しながら練習して」


「そんな顔、私はしてない!」 


「いや、してたさ。こっちまで気分が悪くなるっつーの」


 やべっ!


 つい苛立って子供みたいなことを、


「例え、何か思い詰めていたとしても、あんたには絶対話さない。あんたは逃げた人間。私は戦っている人間。逃げた人間に言うことは何もない!」


 そう言い残して、鈴華は体育館を後にする。


 俺は放置されたバスケットボールを片す。


 逃げた人間か、


 確かにその通り、俺は未来を恐れて逃げた人間だ。


 そんな奴が今も懸命に戦っている人間に何も言うことは出来ない。



 

 こっちも戦わない限りは、

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