【42話】決着
こんばんは!
毎日投稿を心がけ始めたのですが、昨日投稿出来なくてすいません。
これで、黒瀬編も終わりです。
次は誰にスポットライトが当てられるのか?!
お楽しみに
ぜひ、ブックマーク、感想、評価お待ちしております。
俺のスマホの画像を見せられ、驚き気が動転して、俺の胸倉をつかみ上げた黒瀬の父親、黒瀬雄一。
「どうしたんですか?そんなにお怒りになって」
「なぜ貴様がこんな写真を持っているんだ!」
呼び方が君から貴様呼び方に代わってるし。
どんだけ沸点が低いんだがな。
これは家庭内暴力が起こるのも必然だったな。
「なぜって、あなたが先週に行ってたっていう出張の写真をたまたま入手したからですよ。他にもいっぱいありますよ、ほら、」
俺はシャツの中に隠していた封筒を取り出し、その中からたくさんの写真や資料を部屋中にばらまくように投げた。
そこには、黒瀬雄一が他の議員や政党の有権者などに密会している場面や賄賂を渡している場面が収められていた。
他にも政治献金の不正利用、税金のちょろまかし、
彼は部屋にバラまかれた写真を必死に拾う。
その地べたに這いつくばって必死で拾う姿はなんとも滑稽なものだな。
「どうして、こんなものまで」
「いやあ、私の友人はとても使えるので。そちらの人間とは違って」
そう、この写真は親友の圭人と友達?の吉田に入手してもらったものだ。
吉田にはTwitterやインスタなどのSNSを駆使して、黒瀬雄一に関する情報を集めてもらった。
その吉田の情報収集能力は素晴らしく、先週の出張だけでなく、頻繁に会食が行われている場所の特定や行動パターンなども把握した。
ちょっとここまで調べられると、怖いが、本人が言うには、
「これぐらい朝飯前さ。僕がどれだけ声優さんの追っかけをしてると思っているんだ」
うん、吉田のことは敵に回さないことにしよう。
報酬で新刊のラノベでも買ってやるか、
彼は拾った資料を見て、疑問が浮かぶ。
「いや、だとしても、おかしい!君の友人がどれだけ優れていてもこんな詳細な資料を集められるはずがない!」
一学生では調べられない、政治献金の裏金を流していた証拠の領収書や地域開発の不正材料の資料など到底入手できるはずのない資料も混ざっている。
そんなものは俺や吉田では到底入手することもできない代物だ。
「それは俺がやったんですよ」
玄関から、もう一人の協力者が現れる。
大親友の圭人だ。
腕を組んで、背中を壁に寄りかけて、立つ様はもう主人公にしか見えないな。
てか、なんでかっこつける
「またか、今度は誰なんだ君は?」
「僕もそこの一真と一緒で娘さんの大親友の工藤圭人と言います」
はにかんだような笑顔でそう自己紹介する。
ぽかんと口を開けている黒瀬とその父。
おい、圭人すべってるぞ。
「工藤圭吾って名前聞いたことありません?僕の父なんですけど、」
「工藤圭吾?まさか、」
「そう、日本随一の大企業工藤コーポレーションの社長で僕はその息子です」
「え!そうだったんだの!」
驚きを隠せないのは黒瀬父だけではなく、黒瀬もだった。
工藤コーポレーションとは日本の様々な産業に関わっている大企業で、総資産は300兆円を超える誰もが知っている日本有数の大企業。
圭人はその会社の社長の息子で御曹司。
だけど、圭人はそれを隠して学校生活を送っている。
なんでも、小学生では社長の息子という色眼鏡で見られて大変だったらしい。
それに整った容姿も相まって、いろいろ問題も起きたらしい。
だから、中高では隠して学校生活を送っている。
なぜ俺が知っているかというと、俺がたまたまランニングしているとき圭人がデカい車でどこかに送り迎えされていたところを偶然目撃したからだ。
圭人には学校の人に言わないように口止めされたが、元々、言う気もないし興味もなかったから適当にスルーしてた。
それが圭人に「お前変な奴だなあ」、と気に入れられてこうして親友までになった。
「俺がちょちょいと協力すればこんなもんすぐに手に入るってわけ」
圭人には企業の力や人材を使って、このクソおやじの汚職や不正の証拠を集めてもらっていた。
ほんとは圭人はお父さんの力に頼るのは嫌いらしいが、こうして親友の頼みなら動いてくれるとか良いやつすぎる。
「そういうわけで俺の親しい友人の協力でお前の不正の証拠はたくさんある。これをもみ消すことはできるかなあ」
挑発しながら、クソ男の機嫌をうかがう。
「はっ!なるほど、お前たちの考えはよくわかった。俺が家庭内暴力を理由に離婚や慰謝料請求したところで、権力によるもみ消しや経済的側面から考えてできないから、この証拠で脅して離婚させようとしてるんだろ」
正解。
コイツ、権力もあるしなんだかんだ言って頭もいい。
例え、普通に訴えてものらりくらりと裁判を長くさせて、経済的困窮から黒瀬達が先に折れるのは想定できる。
だから、裁判を起こさせず、この不正の証拠を持って脅し、示談で離婚と慰謝料、接近禁止命令を求める。
もし、無視すれば、即刻不正をバラすし、この男にとってそれは一番嫌なはず。
少し接しただけだが、この男は立場や権力のためなら金や人間関係を捨てることができる人間だ。
これなら、要求は通るだろう。
「ハッハッハ!いい友人を持ったなあ。だが、一つその作戦には無視できない問題があるぞ」
「問題?」
「ああ、離婚するには妻の同意が必要なんだよ。だけど、あの女は俺の言いなりだ。俺が命令すれば、倒れるまで働くようなやつだ。離婚なんて同意させない」
離婚には夫婦双方の同意が必要。
例え、俺がこの男を脅して離婚を求めても、黒瀬の母が納得しなければそれまで。
「母は私が説得する!」
黒瀬が声を上げる。
母を侮辱された怒りだろう。
「お前のいうことなんて聞くか!あいつは俺の操り人形なんだよ!」
「貴様!」
揉めあってる親子?を遠目に俺は見る。
だが、それこそ間違ってる。
「そうらしいですけど、どうなんですか?」
俺は玄関に圭人の横にいつのまにか立っていた、女性に呼びかける。
黒瀬も父も俺の呼びかけに反応して、玄関の方を見て、驚いた。
そこに立ってるのは黒瀬の母親。
黒瀬の母は静かに家に上がって、黒瀬を腕で抱き寄せて抱擁する。
「ごめんね、沙羅。今まで大変な思いさせて」
そんな言葉を母親からかけられて、今までの緊張が解けたのか、目には涙が浮かんでいた。
黒瀬を抱きながら、視線を父親に向ける、母親。
「あなた、あなたに積み重なる家庭内暴力を理由に離婚と慰謝料請求をします」
彼女は強く言い切った。
その行為に一番驚きが隠せなかったのは黒瀬の父親。
「どうしたんだ、お前は俺の言いなりだったはず。どうして反抗するんだ」
怒号の声で威圧するように彼女に迫るクソ男。
しかし、彼女は動じない。
確かな信念と共に、ここにいるからだ。
娘を助けるために、
「もう、私はあなたの言いなりにはなりません。もう私たちに関わらないでください」
そうやって彼女は大きな封筒を見せる。
急いで彼女から封筒を奪い、中身を確かめるクソ男。
中には、何年も続いた家庭内暴力の証拠となる病院の診断書や暴言が録画されているボイスレコーダー。
そう、黒瀬の母親はあらかじめ離婚することを何年も前から準備していたのだ。
「ほんとは沙羅が三年生になったら離婚しようとしてたんだけどね。娘がそんなに追い詰められてたなんて。もっと早く気づけなくてごめんね。もう大丈夫だから安心して」
優しく娘の頭をなでる母親。
父親とは違っていいいお母さんだな。
「ふん、俺と離婚するってのか。でもいいのか?たとえ俺から慰謝料をもらっても、高校生の娘と病弱で家事もろくにできない女で暮らしているわけないだろ」
追い詰められたクソ男の最後の切り札。
経済力。
だが、これはもう解決している。
「私がいつ病弱だって言ったの?」
「は?だってお前、ずっと体調悪くて通院してただろ」
「違うわよ。私はその間ずっと働いてたのよ」
「何言ってる?」
戸惑いを隠せない、クソ男。
そんな彼に、黒瀬の母親は資料を見せる。
「あなたは私が通院している思っている間、私は就職活動をしていたのよ。そして、去年、ある企業に採用が決まって、働き出してたのよ」
そして、その企業が工藤コーポレーションが子会社の一つで、黒瀬の母親を調べるうちにそれが判明して、計画を実行する前に黒瀬の母親とコンタクトをとった。
そして、自分も夫と別れる計画を立てていたことを知り、協力してもらう形にしてもらうことにした。
「そういうことで私は安定的な収入が確保できるから、経済的問題は解決しているのよ」
しかも、黒瀬の母親はいくつかの資格を保有していて、もう即戦力として活躍しているらしい。
お給料もいいっぽい。
「だから、これで私たちの関係はおしまい。これからは沙羅と二人でやっていくわ」
もう記入済みの離婚届をクソ男に投げつける。
結局、俺が力を貸さなくても黒瀬の母親が解決できていたのだ。
だけど、俺が協力することで黒瀬が父親という強大な壁に立ち向かうという勇気をだすことができ、それに過去の自分と向き合うことができた。
さて、最後の仕事するか、
「そういうわけで、お父さん。この家から出て行ってください。この家は元々お母様の祖父母様氏所有のものなわけですし。女性の脛ばっかかじってないでいい加減自立してくださいよ」
おちょくるように、怒らせるように挑発する。
「貴様ー!」
怒りで顔を真っ赤にしながら近づいてきて拳を大きく振りかぶる。
「また、暴力振るんですか?子供じゃないんですから」
「チッ!」
舌打ちをして、ゆっくりと振りかざした拳を下ろす。
無関係な俺に暴力を振ったら、それこそ刑事案件だからな。
「分かったよ。出てけばいんだろ、出てけば!」
投げつけられた不正の証拠と離婚届を持って玄関に向かう。
そして、立ち止まり、黒瀬とその母親の方を向き、
「お前らいつか後悔させてやるからな」
と捨て台詞を残した。
よし、仕上げをするとするか。
右拳に力を入れる。
「お父さん、忘れ物ですよ」
俺の呼びかけに振り勝ってクソ男の顔面めがけて、俺は全力をこめた右拳を叩きこんだ。
「ぐぇ!」
なんともみっともない叫び声と共に道路に吹っ飛ばされるクソ男。
「な、何をするんだ!」
殴られた頬を手で押さえながら、聞いてくる。
俺はゆっくりと近づき、胸倉をつかんで、こう言ってやった。
「こんなもんじゃないからな、黒瀬と母親が受けた痛みは!傷は!後悔させてやるだあ、やってみろよ!そんなことしたら地獄の果てまでお前を追いかけて、潰してやるからな!」
俺の威圧にびびるクソ男。
「分かったら、もう二度と二人の前に現れるなよ。わかったな!」
「わ、わかったよ」
ビビりながら、腰を抜かしてダッシュでどこかに行った。
行く当てなんてないだろうに。
あいつの事務所はもう警察に抑えられているはずだしな。
ちなみに不正のことはもう通報済みです。
クソ男も追い払ったことだし、一件落着だな。
俺は完全に置いてかれた黒瀬の元に寄る。
「黒瀬、もうお前を縛るものはなくなった。これからは自分が思うようにやればいい」
「でも、私が過去に万引きした事実は消えない」
「確かにお前が犯した罪は消えない。だけど、お前はそれを反省して人のために役に立とうと思い、行動に移した。誰もができることじゃない。たとえそれが罪の意識からの自己満足だとしても、お前に救われた人はたくさんいる」
「笹原」
「だから、お前はもう大丈夫だ。それにお前がいなくなると勉強の張り合いもなくなるからな。そうだろ、ライバル。報酬は俺のライバルに居続けることだ」
「誰がライバルよ」
静かに立ち上がり、俺に右手を差し出してくる。
「でも、ありがとう。笹原」
「いえいえ、お気になさらずに」
俺は差し出された右手を右手で握って、握手を交わした。




