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現実主義者の俺が青春ラブコメに巻き込まれる  作者: 小西 悠人
いじめられっ子吉田拓郎
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【4話】完璧優等生キャラの登場

いやーようこそ実力至上主義の教室へアニメ二期決定おめでとうございます!!!


新巻が出る前のサプライズ発表嬉しすぎです!



 始業式が終わり、その後の新学期のテストも終わった。


 このテストは、高校一年までの学んだ範囲であり、国・数・英の三科目のみである。


 復習を目的としたテストで、そこまで難易度は高くないが、残りの二割は、応用問題や大学の過去問など難易度が高い問題が出され、ここで、成績上位者と下位者が別れる。


 前の座席の圭人がテストが終わり、凝った肩をほぐすように背を伸ばしながらこちらに振り向いた。


 「どうだった?一真。テストの手ごたえは」


 「まぁまぁだな。解けなかった問題はないつもりだ」


 もちろんケアレスミスや計算ミスが無かったらの話だが。


 特に数学の最終問題は難しく、時間ぎりぎりで解き終わったため見返しができなかった。


 俺は、高校一年時からしっかり勉強に励み、部活の後や放課後、家でも怠けることなく取り組んでいるため、非常に成績は良い方だ。


 学校の定期テストでも、学生機構が行う大学受験の模試でも常に上位者に名を連ね、ほとんどの順位が一桁台である。


 「さすがだなあ。俺は何問か解けなかったよ」


 圭人も俺ほどではないが、成績上位者である。


 なお、圭人はそれほど勉学に励んでいるわけでなく、部活や友達と遊んでいることが多いため、勉強しなくても勉強ができてしまう、たぶん何でもこなす天才肌なのだろう。


 羨ましい限りだぜ。


 「春休みに勉強をさぼっているからだよ」


 「いいんだよ俺はある程度の順位が取れれば。それより、その様子だと今回ははじめて学年一位取れそうだな」


 「わからん。俺の方はケアレスミスしてるかもしれないし」


 そ、圭人の言う通り俺はこの学校に入って一度も学年一位を取ったことがないのだ。どんなに勉強に励んでも2位止まりだ。


 「まぁ、なんといっても相手はあの黒瀬(くろせ)沙羅(さら)さんだからな」


 圭人は俺から視線を外し、前方の教団の真ん前の席に座っている人物に視線を向ける。


 そう、その人物こそが、俺の大きな障壁となっている人物だ。


 彼女の名前は黒瀬(くろせ)沙羅(さら)。黒髪ロングのストレートとすっと背が高く、すらっとしたプロポーションから可愛いというより美人という雰囲気を醸し出している。作られたかのように配置された大きな瞳、高い鼻、薄い唇、整頓された容姿は非常に綺麗に感じられる。制服をしっかり着こなし、背筋をぴんと伸ばしながら本を読んでいる様子からも大人っぽくて、とても絵になる。


 彼女は、実際にまじめな優等生であり、一年の時もクラス委員長を務めていた。校則違反している生徒を注意したりするなど正義感もうかがえ、男子相手でも物おじしない態度から気の強い性格をしている。また、とても学力が高く、高校入学時からずっと学年1位をキープし、その他の追随を許さない。模試では、俺とは圧倒的な差をつけ、全国で見ても高い順位にいる。


 俺は、基本学年2位を取り続けているが、調子の悪い日やテスト期間にあまり勉強に集中できない時、自分の苦手なところがテストに出たりなどしたとき順位を落とすことは何度かある。


 それに対して、黒瀬はどんな時でも学年1位を獲得し続け、どんな教科、分野でも弱点のないまさに完璧優等生。授業態度などもよく先生からの評価も高い。


 俺はよく、あまり意義が感じられない授業の時は効率化のため、授業に関係ない自分の勉強をすることが多々ある。いわゆる内職というやつだ。


 そこまでしても、俺は彼女に勝ったことない。


 他の人からしてみれば完璧優等生でも、俺から見れば完全無欠の要塞である。



 「正直、あいつとは学力で大きな差がある。だから、俺はそれを埋めるために勉強に励んだし、これからも励むつもりだ。あいつにテストで勝つのが今の俺の目標だ」


 俺にとっては黒沢はライバル。まぁ、あっちは俺のことなんてライバルとも考えていないのだろうがな。


 「がんばれよ、応援しているからな」


 「おう」


 テストが終わり、今日はあと一時間で授業が終わる。


 その授業とは委員会決めである。


 この学校では、委員会に入れば内申点がもらえる。


 俺は、リスクが少なく高学歴な大学に入れるように推薦入試も狙っている。推薦入試の学校内選考基準は今までの定期テストの成績、模試の成績、そして内申点だ。


 その内申点を稼ぐためにも何かしらの委員会に入る必要がある。


 ここで問題となるのはどの委員会に入るかだ。


 あまり活動機会が多く、忙しい委員会を選んでしまえば、大学入試に向けての勉強時間が減り、委員会を入ることで得られる内申点というメリットを勉強時間が減るというデメリットが上回ってしまい逆効果だ。


 「今年は何の委員会に入るんだ?一真。去年と同じ図書委員か?」


 俺は、去年図書委員会に入っていた。理由は単純で他の委員会と比べ、楽そうだったからだ。


 ところがどっこい、図書委員会は忙しかった。毎週放課後の一日下校時間までになるまでは受付をしないといけないし、月に一回、本の整理や搬入があるため重労働だった。


 正直外れだった。


 「いや、今年は違う委員会を選ぶつもりだ」


 そう、俺はこの日のためにどの委員会が一番楽か調査し、その回答にたどり着いた。


 「そういう圭人はどうすんだ。やっぱりクラス委員?」


 クラス委員会は忙しい委員会トップ3に入る外れだ。体育祭や文化祭などの行事ごとには、他の委員会ととみに活動しなければならないし、何かとクラスの頼まれごとをされるため非常にコスパが悪い。


 「うーん、どうしようかな。決めてなかったけど、やっぱクラス委員やるかな」


 「ということは黒瀬と一緒だな。気が強いかもしれないが頑張れよ」


 去年も黒瀬はクラス委員をやっていて、しかもその学年代表の委員長をやっていたため今年も恐らくそうだろう。


 「気が強い?何度か黒瀬さんと話したことあるけどそんなことなかったけど」


 「え、そうなの?俺一度話したときなんか、すごい嫌なこと言われたぞ」


 俺は一度、黒瀬に勉強について尋ねたことがある。学力を効率的に上げるには、自分よりも学力が高い人に聞くのが一番だ。


 だから、俺より学力の高い黒瀬に助言を尋ねたところ「たくさん勉強するそれ以外ないでしょ、そんなのも分からないから、私に勝てないのよ」と返された。


 いや、こっちが聞いてんのは勉強方法だっての!しかもなんでけなす必要があったんだ!?


 俺は、これ以降黒瀬に苦手意識を持っていて、絶対に負かしてやろうと決意した。


 「それは、単純に一真が黒瀬に嫌われてるか、学年に2位だから敵視されてるんじゃない」


 そんなこんな話しているうちに、委員会決めの時間が来た。


 「それでは、委員会決めするぞー。まずはクラス委員、やりたい人挙手」


 上がった手は一つ。


 圭人だ。


 今年もクラス委員をやると思っていた黒瀬は挙手をしなかった。


 「じゃあ、男は工藤で決定。あと女子は誰かいないか?」


 それでも、黒瀬は手を挙げなかった。


 少しの沈黙のあと、手が一つ上がった。


 それは、幼馴染である花菜のものだ。


 「誰もやらないなら私やりま~す」


 「そうか、なら女子は朝比奈で決定だな。それじゃあ、後は二人に任せた。進行よろしく」


 先生は教壇から降り、自分の席でだらけている。やる気のない教師だな~。


 クラス委員の女子が花菜に決まった時、クラスの男子らからは落胆の声や息が漏れた。どうやら、彼らは花菜と同じ委員会を狙ってたらしい。


 そして、代わりに圭人と花菜が教壇に上り、残りの委員会を決めるため進行を始める。


 順調に他の委員会が決まっていく。それでもまだ俺は動かない。なぜなら俺の標的は最後に残っているからだ。


 ちなみに黒瀬もまだ委員会が決まってない。今年は委員会に入らないつもりなのか。


 「えー、じゃあ、最後に風紀委員会に入りたい人挙手」


 そう、俺が狙ってたのはこの風紀委員会だ。


 風紀委員会といったら、生徒会などに次ぐ忙しい委員会に思われるが、この学校ではそうではない。


 具体的な活動はほとんどなく、定期的な集会もない。せいぜい、月に一回の生徒の身だしなみ、服装チェックくらいだ。


 この情報は、去年同じクラスだった風紀委員のやつに聞いた話だ。とても楽だったらしい。


 だから、俺はこの委員会をだれにも奪われないように素早く手を挙げる。


 上がった手は俺を含めて二つだった。


 それは、前方の席の黒瀬だった。


 「それじゃあ、風紀委員は笹原君と黒瀬さんで決まりだね」

 

 そうして、委員会決めが終わった。


 結果は、望んでいた風紀委員に入れたが、自称ライバルの苦手な黒瀬なため何とも言えないが、しょうがないか。

 

 



 

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