【41話】本当の作戦
こんにちは、
今日はいきなり暑くなりましたね。
半袖で大学行って正解でした。
黒瀬編もラスト2話の予定です。
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「ハーイ!カット!」
黒瀬と父親が俺のいきなりの声に驚きの表情を浮かべながら、俺のいる玄関を見る。
俺はスマホのレンズを二人の方に構えて、動画を撮影している。
「誰だ君は?そこで何してる?」
突然の俺の来訪に驚いている黒瀬の父親、黒瀬雄一。
俺はあまり地元の議員や活動に興味がないため、初めて彼を見たが、高い身長にがっつりと大きな体躯、黒ひげを生やし、いかつい顔面。
確かに威圧感があって、強そうだな。
こりゃあ、黒瀬が反攻できなくても無理はない。
「誰って、娘さんの友達ですよ」
「どうやってこの家に入って来たんだ!鍵は閉めていたはずだろ!」
「どうやってって、合鍵使って入ったに決まってるでしょ。俺と娘さんは合鍵を渡すほどの大親友なんですよ」
俺はポケットから黒瀬の家の鍵を見せる。
ハッとした表情をする黒瀬。
気づいたようだな。
そう、この鍵は黒瀬のカバンから拝借したものだ。
俺が花菜に頼んだのは、黒瀬のメンタルケアともう一つ、最終日に黒瀬の鍵を拝借することだ。
今週の火曜日、
俺の依頼に苦い顔をする花菜。
「えー、私に泥棒みたいなマネしろって言うこと?」
「頼むよ花菜。黒瀬に言ったところで意固地になって絶対渡すわけないからさ」
「仕方ないなあ。沙羅ちゃんのためだから仕方なくだよ」
「ほんとに助かる」
なんだかんだ言って、助けてくれるのが花菜だ。
「その代わり、今週の日曜日遊びに行こうね。カズのおごりでね」
「わかったよ」
ほんとは日曜日は一日、勉強に費やすはずだったけど仕方ない。
という経緯で、鍵を花菜から渡してもらって今に至る。
「そんなはずはない。こいつに親しい友人はいないはずだ」
娘をコイツ呼ばわりか、
聞いていた通り、なんとも良好な関係だな。
「なんでそんなことお父さんが知っているんですか?」
「当たり前だ。こいつが何か問題を起こさないように監視していたからな。こいつに親しい友人はいない。いつも一人で孤高を演じてるバカ女だ」
そんな父親からの言葉を聞いて、俯く黒瀬。
父親からそんな言葉を吐かれて、傷つかないはずがない。
こんな男が議員だなんて、世の中終わってるな。
「それじゃあ、お父さんは娘さんのこと何にもわかってないですね」
「何を言う。俺以上にコイツを知っているはずがない」
「あなたが見てるのはうわべだけですよ。黒瀬が学校を欠席したとき、たくさんの友人が彼女のことをとても心配してました。それに彼女はいつも誰かを助け、誰かを救い、誰かの生きる糧になる素晴らしい人です。バカ女じゃなんかありませんよ」
これは事実だ。
黒瀬は見返りを求めず、人に尽くすことができる人材だ。
将来、この国を背負っていくのは彼女みたいな人であるべきだ。
「何を言ってる?こいつが人のために行動できるだと。こいつはただ罪悪感から人助けをしてるだけだ。君も聞いてただろ。こいつが万引きしたこと」
「ええ」
「こいつは結局は俺と同じなんだよ。自分の欲のためにしか行動できないやつなんだよ。はっはっはっはっは!」
高々と笑うクソ男。
黒瀬は俺に万引きしたことを知られてか、絶望した顔をしている。
確かに人は自分の欲のためにしか行動できない。
それでも、
「お前みたいなクソと黒瀬と一緒にすんじゃねーよ!黒瀬はなぁ、しっかり自分の罪と向き合って、後悔して、悩んで、決心して人のために、そして自分のために生きてんだよ!私利私欲にまみれて、自分より弱い相手にしか攻撃できないお前と一緒なわけねーだろ!」
そう、例え罪を犯しても、そのことを後悔し、反省する、そして立ち直って前を向き、罪を償おうとすることは、罪を受け入れないず、自分を省みないこととは大違いだ。
どんな人間でも失敗することはある。
俺だって失敗するし、あの正義の女黒瀬だって罪を犯した。
それを反省して今後にどうやって生かすかが重要なんだ。
「お前みたいなクソと同じようなもんか!」
黒瀬は俯いていた顔を上げ、涙を浮かべる。
お前は、確かに間違いを犯した。
だけど、これから前を向けばいい!
「ふん、それで。じゃあ、どうする気だ。その動画を警察にでも持っていく気か。そうしたところで俺が上に話を持ち掛ければもみ消すことだってできる。それか、コイツのことを学校や近所に言いふらしてもいいんだ。何なら君の不法侵入罪もな」
そう、結局この問題にぶつかる。
黒瀬雄一の権力、最後にこれが立ちふさがる。
「それに、俺から逃げられたとしてこれからどうする?病弱な女と高校生の女、二人で生きていけるわけないだろ」
経済的な問題も発生する。
病弱な母親と高校生の黒瀬、大学に進学はおろか、生活していくのもやっとだろう。
家庭内暴力を理由とした慰謝料請求も考慮してもやっぱり心もとない。
だが、すでに解決策は見つけてある。
「それじゃあ、これを見てください」
俺はクソ男にスマホの画像を見せる。
クソ男は画像を見るなり、驚き、俺の胸倉をつかんできた。
「なんでこんな写真を君が持っているんだ!」




