【37話】黒瀬沙羅の決断
お久しぶりです。
土日は祖母のお葬式に出席していたため、投稿できませんでした。
少し短めですが、お楽しみください
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黒瀬が泣き終わるまで、コーヒーを一杯飲んで過ごす。
彼女にとって父親に歯向かうことはとても勇気のいる決断だった。
その決断を母親の、己が為に実行できたことに歓喜しているのだろう。
本題はこれからだ。
「もう大丈夫か?」
涙で赤らめた目で俺を睨んでくる。
「なぜ、睨む?」
「別に、ただあなたに泣き顔を見られたのが屈辱だっただけ」
「あ、そうですか」
やっぱり黒瀬は黒瀬だな。プライドの高さは変わらないな。
「それで具体的にどうする?」
「どうするって?」
「父親に反抗するにしてもなんの作戦もなくやっても今までと同じ結果になるだけだ」
そう、なにも考えなしに取り掛かっていい問題じゃない。
具体的な作戦を考え、しっかりと手順を踏み実行しなければ、最善の結果は得られない。
「それに母親の問題もあるしな」
「母の問題って?」
「母親は父親のことをどう思ってるのかってこと」
正直、やろうと思えば父親を社会的に抹殺することは可能だ。
だが、これはまだ娘、黒瀬沙羅の意見でしかない。
父親の妻である黒瀬の母親はまだ彼のことを愛してるかもしれない。
それにお見合い結婚と言ってたし、ご両親の家の関係にも影響するかもしれない。
何より、これからの生活もある。
父親を排除したから終わり、という話でもない。
彼女たちにはこれからの生活もあるのだ。
病弱な母とまだ高校生の娘、正直二人で暮らしていくのはとても大変なことだろう。
「はじめに、黒瀬。お前は具体的にどうしたい?」
はじめに黒瀬の意思を問う。
俺はこの件について部外者でしかないのだ。
決めるのは当事者のみ。
「私は、父親に言ってやりたい!私たちはあなたの思い通りになんかならないって!
そして、私は母と一緒に楽しく暮らしたい!難しいってことはわかってるけど」
「わかった。今日はもう遅くなるから家に帰れ。父親は家にいるのか?」
「うんうん、一週間前から来週まで出張だったはず。県知事に立候補するためとか言ってたけど」
黒瀬雄一の県知事出馬こ噂は本当だったのか。
まったく、DV男が県知事になろうとしてるとかこの国の将来も心配だなぁ
まぁ、明るい未来は黒瀬に任せるとするか。
そのためにもまずはこの件解決しないとな。
「それと言い忘れてたが、俺が協力するからには後で報酬をもらうからな」
「え、報酬って何?」
「まぁ、それはこの件が解決したらで」
「あなたまさか、私の身体を要求するとか言わないわよね」
身をよじらせながら、親の仇のような目で俺を睨んでくる。
「そんなことするわけねーよ」
「ほんとに」
「そんな疑わしい目で見るなよ。安心しろ。正当な報酬だから」
「それならいいけど」
そんなこんなあって、帰り支度をする黒瀬。
まだ制服は乾いていないため、花菜の服を借りて帰ることになった。
花菜には了解をもらった。
「じゃあ、また来週学校でな。ちゃんと来いよ」
「わかってるわよ」
「ちゃんと母親にも相談しろよ」
「わかってるってば」
黒瀬は俺の傘をさして、まだ雨が止まない外に帰ってた。
さて、具体的な決断は当事者たちに任せるとして、俺は下準備をしていくか。
社会的地位にある人間との対決。
あっちは知名度、地元民からの支持、有力者。
数多のカードを有している。
それに引き換え、こっちは一学生。立場的にも敗北は必須。
だが、やり方を工夫すれば勝てないことはない。
それにこっちには強力なジョーカーを持っている。
だから、ちょっとこっちもズルさせてもらう。
学生なんだから、大目に見ろよ!
クソジジイ!




