【20話】体力測定
今日も投稿させていただきました。
最近の天気は暑かったり寒かったりと気温の差が激しくて嫌になって仕方ないですね
これからも頑張っていくので応援よろしくお願いします。
ブックマーク、評価、感想待ってまーす
新学期から一か月ほど経ち、浮足立っていたクラスの雰囲気も落ち着き始めている。ある程度、グループやコミュニティが固まってきた。
圭人や花菜は相変わらず、クラスの中心でいるし、当初はぼっちでいじめられていた吉田もクラスに馴染んで、よく同じ趣味友達の阿部と話している。
その吉田をいじめていた清原と井野と大原の三人組はクラスの前で吉田に謝罪した後、誰をいじめることもなく、バスケに勤しんでいるらしい。
と、隣の鈴華から聞いた。男子が真面目にバスケの練習し始めて、少しやかましいと俺に文句を言ってきた。
お前が、三人をバスケ部に参加するように言っていたくせに、まぁ、そう言いながらも少しうれしそうな顔をしている鈴華を見ていると、いい結果になってよかったなと思う。
それに反して、相変わらず俺はぼっち継続中。窓から桜が散り、緑が芽生え始めた風景を一人寂しく眺めている。今は勉強の合間の休憩中だ。花菜や圭人、吉田に絡まれることはあるが、基本的には一人で勉強に取り組んでいる。
休み時間も昼休みも、部活をサボって放課後も。
これも中間テストで黒瀬に勝つためだ。
この前の進級明けのテストでは、惜しくも一問差で負けてしまったが、今度は万全の状態で黒瀬を倒して一位に返り咲いてやる。
その前にある行事が俺たち生徒の前に迫ってきている。
一限目のホームルームが終わって、クラスメイトが移動し始める。
この後の2,3,4限は二学年は体力測定のため、それぞれ体育館や校庭に移動し始める。
俺たちのクラスは、先に屋内競技を測定するため、体育館に向かう。
「午前中の授業は体力測定でつぶれるのは楽だな」
俺の首に肩を回しつつ話しかける圭人。
「それは、お前みたいな運動神経があるやつにとってだろ。俺は早く、教室で自習したいんだけど」
「まぁ、一真は授業があっても無視して自習してるしな。てか一真だって運動神経いいじゃん、サッカーやってたんだし、体育のバスケとかもうまかったじゃん」
「俺はただ球技全般が得意なだけ、スポーツも好きだしね。でも、単純な運動神経はそこまで高くないんだよ」
俺は運動神経がそこまで高くない分、スポーツでは戦略や頭脳戦でカバーしている。
「そういえば、去年の体育祭。お前種目全然出てなかったな」
「まぁ、それに関してはただ体育祭が時間の無駄だから教室で自習してたんだけど」
俺は学校の体育祭を始めとする行事には興味がない。
高校生はやたらと体育祭や文化祭、修学旅行などの行事で羽目を外して、バカ騒ぎをする。
高校生にとっては数少ない思い出だろうが、俺にとっては価値のないものだ。
そんなことに時間を費やすぐらいなら、一人で勉強したい。
去年は体育祭の種目は玉入れだけで、人数が多い競技のため俺が参加しなくてもバレなかった。
花菜にばれて、午後からは校庭に連行されたがな
「今年はしっかり参加しろよ」
「そうだな、上手くサボれるようにするよ」
「ほんとにお前は、ほら次、握力の測定に行くぞ
「オッケー」
俺の学校では、体育祭の種目は任意性だ。強制的ではなく、クラスや色組ごとに出る種目を生徒が決めるようになっている。
もちろん、任意性と言ってもどの種目にも全く参加しないのは、先生が許してくれないため、少なくとも一つの種目には出なければならない。
俺は、体育祭をサボりたいため、種目は一つにしたい。
そのために重要になってくるのは、この体力測定だ。
どのクラスも、体育祭は楽しむだけではなくて、勝つつもりで参加している。
だから、握力が強い生徒は綱引きに、足が速い生徒はリレーにと否応なくクラスから選ばれてしまうのだ。
だから、体力測定の記録は高すぎないようにしないといけない。
圭人には運動神経がそこまでよくないと言ったが、クラス内では高い部類に入るだろう。
かといって、手を抜きすぎると体育の成績にも響くため、いい塩梅を見定める必要がある。
俺は圭人に見られながら、握力を測定する。
高校二年生男子の握力の平均記録は41キログラムだ。その握力に近づけながらわずかに高い43キロをだした。
「握力43キロね、手を抜いたりしてないよな」
「してない、してない。そう思うのはお前がすごすぎるだけだ」
してるっちゃしてるけど、本気でやっても46キログラムぐらいだろう。
それに比べて、圭人はテニス部に所属しているため自然と握力がついて、なんと記録は70キロオーバー
俺からしたら、ゴリラ級だ。怒らせないようにしよ
「終わったから、校庭に行くぞ。ちゃっちゃと済まして早く帰ろうぜ」
屋内競技が終わったため、校庭に出て屋外競技を行う。
ハンドボール投げを終えて、 持久走は、今日ではなく、別の日にクラスごとに行われるためあとは50メートル走のみとなる。
次々と、50メートル走を測定していくクラスメイト達。
それらを見て、大体の平均を割り出す。100メートル走やリレーの選手に選出されないように記録を操作する。
7秒後半くらいがいいだろう。
俺は、少し手を緩めてゴールする。
「笹原のタイムは7.68」
予知通りに7秒後半で落ち着いた。このタイムならリレーなどの種目に選ばれることはないだろう。
そんなことを思いながら、さっさと教室に戻ろうする。
「先生、笹原君手を抜いてますよ」
後ろを振り返ると、次に50メートル走を測るクラスメイトの女子たちがいて、鈴華が先生に言ったらしい。
「それは本当か?笹原」
俺はチックった鈴華を睨みつけるように見ると、鈴華は嘲笑うような表情で俺を見てくる。
クソ、あいつめ
ここで噓をついたら、間違いなく鈴華が俺の本当の記録を報告するだろう。
先生に嘘をついて、評価を下がられるのはマズイ
「いや、ちょっとスターとミスっただけです。久しぶりに走ったもので」
適当にごまかすしかない。
「なら、もう一度走っていいぞ」
「いやいや、女子たちの迷惑だし、別に大丈夫ですよ」
「私はそれでも構いませんよ、ちょうど私の走るときレーンが一つ空いているので」
「ということだ。笹原もう一回走れ」
「はい、わかりました」
俺は観念したように、鈴華の隣のレーンに移動する。
「お前覚えとけよ」
「さぁ、私バカだからすぐ忘れちゃうかもよ」
「ちょうどいいし、勝負しようよ。50メートル走どっちが速いか」
「別に良いけど」
勝つ気ないし。
「私が勝ったら、今日の英語の課題の答え教えて」
「お前それが目的だろ」
「手抜くんじゃないよ」
ピストルの音と同時に颯爽と駆け出す、俺と鈴華。他の女子は相手にならず、すぐに距離を離す。
鈴華はバスケ部のエースであるため、さすがの速さだ。鈴華は身長こそそこまで高くない分、スピードに磨きをかけ、キレのあるドライブが鈴華の武器である。
だが、男の俺が負けるわけにはいかない。それに、課題の答え教えたくないしな。
少しギアを上げて、鈴華を突き放そうとする。
1メートルほど距離が開いたところで、俺は減速して鈴華に抜かれて、わずかに遅くゴールした。
荒い息を整えながら、鈴華が近づいてくる。
「あんた最後手を抜いたでしょ」
「抜いてねーよ、あれが俺の全力だ。約束通り課題の答え見せてやるから」
「嘘つけ、中学の時の方が速かったじゃん。先生にチクってやるから」
そういって体育教師の方に向かっていく鈴華の手を掴んで俺は止める。
「ほんとにあれが俺の全力だ。手を抜いてはない」
力強くそう言う。
「あ、そう。なら随分とダメになったものね」
そう言い残して、鈴華はクラスメイトの元へと駆けて行った。
俺も一人教室へと戻る。
記録は6.56秒。こりゃあマズイかも




