【18話】作戦四日目(上)
そろそろいじめられキャラ吉田編が完結です
ぜひ楽しみにしていてください。
ブックマーク、評価、感想待ってます。
木曜日になった。今日で吉田のいじめ脱出計画の四日目。
俺がいつも通りに花菜と登校すると、教室にはすでに吉田の姿があった。
吉田は阿部を中心としたクラスメイトと楽しそうに談笑している。
昨日、吉田がイラストを描くのが趣味で、たくさんアニメや漫画のイラストを描いてるのを知ったクラスメイトは吉田に興味を持ち、クラスのグループラインで「他にどんな絵を書いてるとか?」「いつ頃から絵を書き始めてるとか?」「どんなアニメが好きか?」と質問攻めにあって話題の中心となっていた。
男子生徒にはアニメや漫画好きな生徒も多く、それを話題に盛り上がっていた。
女子生徒には吉田のイラストの上手さ、綺麗さに感心し、他のイラストも見たいとせがまれていた。
もちろん、この注目は一時的なものに過ぎないが、クラスメイトに吉田という人間を知ってもらうことができた。
これで二つ目の条件、吉田のキャラの周知が完了した。
吉田はこの三日間で多くのクラスメイトと会話を通してコミュニケーションをして、クラス内で阿部などの同じ趣味を持つコミュニティを形成することができ、美術の時間を通して、自分がイラストを描くのが趣味のアニメオタクであることをクラスメイトに知ってもらい、クラス内でのキャラが確立した。
これで吉田はクラス内で初めて存在が確立した。
今までの吉田は自分のことを陰キャでコミュ障だと認識し、何をやるのも常に一人で、周りとの関りをシャットアウトしていた。
そんな人間に他人は興味を持たない。
人と繋がりたいのなら、不器用でも下手でも何でもいいから自分を知ってもらうことから始めなければならない。人に興味を持ってもらい、相手のことを知り、人と繋がることができるのだ。
なにはともあれ、これで吉田はクラスメイトと繋がりができた。
これで、例え吉田がいじめに遭ったら、誰かが認知し、助けたり、協力したりできるだろう。
これだけでも、十分だが、俺は三つ目の条件を達成するために作戦を実行する。
三つ目の条件とは、いじめが許容されている空気を換えること。
多くの学校では規模が小さいか大きいかの違いはあれどもいじめが存在している。現代では学校にはいじめが普通に存在しているものだと認識されている。
陰キャでは腹が立つからいじめる、後輩のくせに部活のレギュラーになったからいじめる、好きな人が別の人と付き合い始めたからいじめる、こんなどうでもいい動機でいじめが行われている。
そして、それを学校という空間は許容している。先生が全生徒を管理できるわけがないから、たくさんの生徒が共同生活を送っている以上衝突するのは必然だから、カースト上位の者が下位の者をいじめるのは仕方がないからといじめは許容されている。
前も言った通り、俺が吉田に協力するのはクラス、はたまた学校でいじめという問題が発生し、俺の成績に傷がつくことを防ぐためだ。
もし、このまま作戦が順調に行き、吉田があの三人組からいじめられることが無くなったとしても、他の人にいじめの標的を変えられたら意味がない。
だから、少なくとも俺はこの吉田の件を通して、学校内でのいじめをなくすように作戦を立てようと考えた。
この三日間でしっかり準備をして、今日それを実行に移す。
この学校では木曜日は七時間目まであり、その七時間目は基本的に自由でクラス内で出し物をしたり、学年で催し物を行ったりしている。
また、生徒会や委員会が主導で集会なども行うなど先生に申請すれば基本的になんでも行うことができる時間だ。
俺は、いつもこっそり教室を抜けて自習室で勉強している。花菜にばれて何度か学年の催しに強制参加させられたが、
ともかく、俺はこの時間を使っていじめが許容されている空気を換えてやる。
そして、七時間目になった。
吉田は昨日のこともあって注目を浴びていたこともあったが、常に誰かしらと会話をしていた。休み時間ではクラスメイトの男子とアニメの話で盛り上がっていて、昼休みは阿部と一緒にイラストを見せながら昼食を取っていた。
5限では英語の授業ではしっかりと隣の女子と会話をしながらペアワークに取り組めていて、6限の現代文の授業の4人のグループワークでもしっかりと話せていて、何よりも楽しそうに過ごせていた。
それに対して、俺は5限のペアワークでは鈴華を起こして、英訳のノートを写させ、6限のグループワークでは鈴華と同じ運動部の女子たちに囲まれがら、ひたすら俺が女子たちに問題の説明する羽目となった。
はぁ、早く席替えしないかなあ
そして、学校内でのアナウンスが校内に響いた。
「生徒の皆さん、七時間目は生徒会と風紀委員会主導の集会があります。生徒の皆さんは体育館に移動してください」
「えー今日集会かよ、だるい」
「ほんとそれ、今日は体育館でバスケしたかったのに」
「ああ、めんどくさいから寝よ」
そんな愚痴を言いながら、生徒が体育館へ向かう。
それはそうだ。俺も集会なんて面倒だしいつもならサボって自習室に行って勉強しているところだ。
だけど、今日は俺が主催でこの集会を開いたものだ。
よし、準備をするか、
「じゃあ、黒瀬行くか」
「分かってるわよ」
黒瀬は資料を持って、俺と一緒に教室を出て体育館に向かう。
「それにしても、笹原君が人のために協力するなんてね。意外だったわ」
「違うよ、黒瀬。俺は常に自分のために行動するだけだよ」
「あ、そう。まぁ、私としても私がいる学校でいじめなんか起こさせないからね」
そんなことを言いながら強く右手のこぶしを握る。
ほんとにこいつは正義感の塊みたいなやつだな。実際、俺が今回の件を相談して、協力するように頼んだら嫌いな俺からの頼みでも快く引き受けてくれた。
「じゃあ、集会よろしく頼むよ」
「あんたもしっかり協力するのよ、風紀委員会の副委員長なんだから」
「はいはい、わかってますよ。委員長様」
そんな軽口を叩きながら、集会の準備をして体育館に向かう。




