【12話】作戦実行の下準備
久しぶりの投稿になりました。
待たせてしまってすいません!
明日からは毎日投稿目指すので、これからも
よろしくお願いします!
土曜日になり、俺は月曜日からの吉田いじめられっ子脱出計画の一週間のために前準備を始める。
もちろん吉田にもある程度準備してもらうため、ラインを飛ばす。
連絡先はファミレスで話し合った際に交換した。
「明日の日曜日、協力してもらいたいことがあるから、高校の最寄り駅に午前9時に集合」
今日にいたっては、特に吉田は必要ないため、明日実際に来てもらって、作戦について話すつもりだ。
さて、午前中にサッカー部の練習に顔を出した後、俺は咲空先輩にメッセージを飛ばして生徒会室に向かう。
部活練習終わりには、嘉人が昼飯を同級生の部員と一緒に行かないかと誘ってきた。
部活にあまり出ていない俺をわざわざ気を使って誘ってくれる嘉人に感謝しつつ予定があると言って断った。
ちなみに、俺をサボり魔と馬鹿にしていた後輩どもは試合の中でコテンパンに叩き潰してやった。これで俺にもう舐めた口は聞けないだろう。
別に俺はサボり魔って言われていることに怒っているんじゃないよ。実際サボり魔だし。
ただ、舐められるのは腹が立つ。
実際、俺がサボるのを容認されているのはこの部活の中で一番サッカーが上手いし、入れの中学の時の俺を知っているからだろう。
俺は、生徒会室に着き、軽いノックをした後ドアを開ける。
教室には咲空先輩しかいなく、他の生徒会の生徒はもう帰ったみたいだ。
咲空先輩は耳にイヤホンをしながらテキストを開いて机に向かっている。咲空先輩は基本的に生徒会室で勉強をして、図書室では読書のために利用している。もちろん逆の時もあるが。
咲良先輩は、教室に入り近づいてきた俺に気づき、イヤホンを耳から外す。
「やぁ、笹原君。こんにちは」
「こんにちは、先輩」
咲空先輩との会話はいつも穏やかでゆっくりに感じられる。先輩はなんというか大人びているというかクールというか人とは少し違った雰囲気を醸し出している。
「すいません。生徒会の集まりがあったのに呼び出してしまって」
「気にするな。集まりといっても定期的な活動報告だけですぐに終わったしね。それに悩める後輩の相談を聞くのも生徒会長の仕事だしね」
「ありがとうございます。でも、毎回俺の方が先輩に頼ってるばかりの気がして、ちょっと申し訳ないです」
俺は、何度か先輩に悩みを相談して話を聞いてもらったりしている。
吉田の時もそうだが、頼ってばかりの人間は成長できない。人に依存することに慣れてしまうからだ。だから、俺は人に頼られたら、報酬を要求するし、人に頼ったら埋め合わせをするようにしている。
だが、この先輩に限っては何度も埋め合わせをしようとも「気にするな」と毎回逃げられたり、ご飯を奢ってくれなど簡単なもので済まされてしまっている。
「それは違うよ。前にも言っただろ。私は他人を喜んでいる姿が好きなんだ。私が君の相談を聞いてそれで君が満足すれば、それだけで私も満足しているんだ」
この人は聖人君主なのか。と思わされるような心が綺麗な人だ。俺が今後、この人以上に素晴らしい人に会うことはもうないのかもしれないと思わされる。
俺のような打算的で現実しか見れない利己的な人間にとって、彼女は俺の憧れのように感じられる。俺が一生なり得ない素晴らしい人間だ。
「で、協力して欲しいことってのは何なんだ?」
「それは、」
俺は咲空先輩に吉田のことについて話した。吉田がクラスの男子三人からいじめられていること、吉田がそんないじめられる自分を変えたいこと、それを俺が手助けすること。それにあたって、先輩、生徒会の力を借りたいこと。
「というわけで、力を貸してほしいんですが」
「もちろん、協力するよ。いじめなんてあってはならない問題だ。で、具体的な解決案はあるのか?」
「それはですね、」
俺は先輩に吉田いじめ脱出計画についての全貌を話した。そして、先輩、生徒会に協力してほしい具体的な計画も話した。
「どうです?これなら生徒会も巻き込んで協力できるしょ」
「そうだね、こういう形なら喜んで生徒会として協力できるよ。それにしてもこれを一周間以内に実行するのは無理があるんじゃんない?」
「その辺は大丈夫ですよ。風紀委員会も巻き込むつもりですから」
「なるほど、確かに生徒会と風紀委員会が協力すれば全然可能だね」
「月曜日に学校で黒瀬に提案するつもりです」
黒瀬には副委員長として、活動内容を考えるように言われていたし、ちょうどいいだろう。あいつに仕事も押し付けて一石二鳥だ。
「今日、ラインで伝えればいいじゃないか」
「俺、黒瀬のライン持ってないですよ」
俺と黒瀬はもちろん連絡先を交換なんてしていない。そんな仲良くないし、
クラスのグループラインにはお互い入っているため、連絡を取ろうと思えば取れるがなんか気が引ける。
「君たち、同じ委員会の委員長、副委員長なのに連絡先交換してないの?どれだけ、仲が悪いの(笑)」
先輩に揶揄われる。確かに、意識して交換してなかったわけじゃないが、同じクラスになって、同じ委員会になって連絡先を交換しないのはおかしいな。無意識でお互い避けていたのだろう。
「今後必要になってくるから素直に連絡先交換したら」
「そうですね」
確かに、今後も連絡が必須になってくると思うし、そっちの方が効率的だ。俺は心情より理論を優先する質なので、渋々、黒瀬の連絡先を追加し、計画の概要をメッセージにして飛ばす。
メッセージに既読が付き、しばらくして返信が返ってくる。
「「了解したわ。こっちも協力するから、生徒会との橋渡し役は任さたわよ。それにしてもどういう風の吹きまわしかな。いつも自分のことしか考えてなくて万年学年2位の笹原君が。まぁ、風紀委員の副委員長としての自覚が出てきたのは良いことね。これからも精進すること。そうすれば、私に勝てるかもよ」」
と、長々した上から目線なメッセージが届いた。
こいつほんと何様だ! まぁ、こっちが頼んでる立場だし、無下にはできないんだが。
腹が立つのは仕方なし。よし、このエネルギーを勉強にあてよう。
「黒瀬の協力もこぎつけたことだし、俺は帰りますね」
俺は荷物を片付けて帰る準備をする。
「今日は図書室に寄ってかないの?」
「はい、今日はもう疲れたので、家で風呂入ってから勉強するつもりです」
「そうか。じゃあ、また月曜日。さようなら」
「さようなら、先輩」
俺は、生徒会室を出て昇降口に向かう。
早くこの黒瀬への怒情を勉強に向けなくては、
「笹原君」
後ろから、生徒会室を出た先輩に呼び止められた。なんだろうか、忘れ物でもしたのだろうか
「笹原君はほんとにこれで吉田君がいじめられなくなると思う?」
先輩にそう尋ねられた。俺は先輩に吉田いじめ脱出計画を話した。しかし、先輩はそれだけでは吉田がいじめられるのは変わらないと考えている。
先輩は人のために行動する性格で、この作戦が吉田を助けるには足りないと考えて、俺に不安をぶつけてきた。
「いいえ、無理だと思います。これだけでは」
そう、この作戦だけでは吉田がいじめられるのをやめさせるのは無理だ。そうしても足りないパーツがある。
「ということは何か考えがあるっていうことね。じゃあ、任せるよ」
「ありがとうございます」
そう言い残し、学校を出て、俺は家路に着く。




