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 初心者の洞窟に入るには最低四人必要だという事で、一緒に行く仲間たちを探さないといけない。


 全員で一緒に入れば良いのではと思ったが、人数が多すぎると連携が取り辛いし、自分勝手な奴が多そうな冒険者では、人が多すぎると逆効果になる可能性が高い。四、五人くらいがベストなんだろう。


 俺も仲間を探さないと。


 最初にセリアが、


「スレイさんー。洞窟一緒に行きましょー」


 と誘ってくれたため、俺は快く受け入れた。


 すぐ仲間出来て、幸先は良かったがそのあとが良くなかった。


 器の数が少ないというのは、マイナス要因にならないと思っていたが、意外となったようで、俺はほかの初心者冒険者たちから、だいぶ下に見られていた。


 弱い奴と組む気はないと、断られ続ける。


 最終的に、俺はセリア以外の仲間が作れず、ほかの者たちはダンジョンに向かい、取り残されてしまった。


「こ、これはまずいですよー。二人じゃ入れませんよー」

「むぅ……」


 このままではまずい。初心者の洞窟に出てくるモンスターは弱いって言ってたから、まずはそいつらを倒して魂力を集めないと、ほかの場所のモンスターに勝てないかもしれん。


 焦った俺は周囲を確認した。

 よく見たら、俺たち以外に余っている奴がいる。


 黒髪の女シラファと、鎧を装備した大男ブロズだ。


 納得がいくと言えば納得のいく二人だ。

 一人は他人を徹底無視している奴で、もう一人は他人から怖がられて避けられてる奴だ。


 器の数が多くても、仲間を作ることは出来なかったようだな。


 まずはブロズに話しかけてみた。


「一緒に洞窟行かねーか? 二人しかいないから、このままじゃ入れなくて困ってたんだ」


 ブロズは鋭い視線を俺に向けてきた。声をかけられて、驚いているように見える。


「……行ってもいいの?」「もちろんだ」

「……なら喜んで行かせてもらうよ。話しかけられなくて、困っていたところだったんだ」


 少し話しただけだが、見た目ほど変わった性格ではなさそうだ。普通の奴に思える。


「よ、良く声かけられましたねあの人に」


 ブロズに聞こえないよう、セリアは小声だった。


「お前が思っているほど、やばい奴じゃなさそうだぜ。たぶん普通の奴だ」

「そ、そうなんですか?」


 疑いの眼差しで、セリアはブロズを見る。


「とにかく一緒に洞窟に行くことになったから、あんまり邪険にしてやるなよ」

「う……ま、まあそうですね……人を見た目だけで判断するのはよくないですし……しかし……」


 どうしてもセリアはブロズが怖いようだった。どこか怯えたように、ブロズを見ている。


 俺もちょっと会話しただけだし、本当にまともな奴かは分からないが、そんなにビビることもないと思うんだがな。


 あとはシラファだが……さっきから微動だにせず、ただ突っ立っている。四人いないと初心者の洞窟に行けないってこと、もしかして聞いていなかったのだろうか。他人を平気で無視するような女だし、町長の話も右から左に受け流していたのかもしれない。


「ここはわたしがシラファさんを誘ってきます!」


 一度無視されたのにも関わらず、セリアはシラファに話しかけに行く。中々の精神力の高さだ。


 内容は聞こえないが、今度は無視はされていないようだ。相変わらずシラファは無表情なので、話は弾んでいなように見えるが。


 しばらくすると、セリアとシラファが一緒にこちらに来た。


「今度は無視されませんでしたー。仲間になってくれるんだそうです~」


 仲間になるのか。自分から仲間を作ろうとしなかったのは、話を聞いていなかったらではなく、ポリシーの問題か何かだったようだ。


「仲間になるのではない。状況的に仕方ないから一緒に行ってやるだけだ。足を引っ張るなよ」

 

 冷たい視線を俺たちに向けて、そう言ってきた。

 シラファの態度が、あまりにもデカかったので、流石にイラっと来た。


「俺こんな態度の奴と上手くやっていける自信ねぇんだけど」

「上手くやっていく必要などない。貴様は私が戦うのを後ろから眺めているだけで問題ない」


 こいつ……

 口を開くたびに、人をイラつかせるような事を言いやがる。

 無口な奴であったが、喋ったらこんなムカつく奴だったとはな。


「シ、シラファさん。これから仲間になるんですから、あんまりそう言った発言は控えていただけると……」

「仲間になる気はないとさっき言っただろう」


 シラファは自身の発言を謝罪したり、直したりする気はないようだ。


 正直イラっとするが、四人いないと入れないとなると、こいつの存在は必須だ。ここは我慢しよう。


 ただ初心者の洞窟で戦いになったら、こいつの手助けはしてやるもんかと、思った。


「……一応人数もそろったし、さっさと初心者の洞窟に向かうか」

「そ、そうですねー。地図は広場にあるって町長は言ってましたね。あ、もしかしてあれですかー?」


 セリアが地図を発見した。

 確認してみると、初心者の洞窟はこの町の南にあるようだ。


 場所が分かったので、早速俺たちは初心者の洞窟へと向かって出発した。





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その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
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