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「さっぱりしましたねー」
温泉に入って上がった後、俺たちはファーストシティに戻るため、草原を歩いていた。
「そうだな。何か、色々と疲れが取れた気がする」
「私も体が調子いい感じ。これなら、戦いでもスムーズに体が動いてくれると思うわ」
ルナはぴょんぴょんと飛び跳ねて、体の調子を確かめている。
「来てよかったね。目覚めの神殿に挑む前に、調子上げられたし」
ブロズもだいぶ体の調子が良くなったようだ。
いつも体を張る役だから、彼が一番疲れていそうである。
回復できてよかった。
温泉って、そんないい場所かと思ったけど、気持ちよかったし、疲れも取れたし、何だかんだ来てよかった。
俺たちは上機嫌で草原を歩き、そしてファーストシティにたどり着いた。
それから残りの数日は、体が鈍らないように、ウォーミングアップをしながら過ごした。
疲れてしまっては、温泉に行った意味がなくなってしまうので、ほどよくウォーミングアップをした。
そして、数日後。
遂に、目覚めの神殿に行く日になった。
宿屋を出て、別の宿屋に泊まっていたルナとルイと合流。
一度広場に行き、目覚めの神殿の場所を地図で調べる。
すでに確認済みではあるが、迷わないように念のため再確認した。
以前に調べた通り、ファーストシティの北に目覚めの神殿はある。
「よし、じゃあ早速行くか」
俺がそう言うと、仲間たちは頷いた。
「お、よう奇遇だな」
と声をかけられた。誰かと思ったら、町長のレブロンだった。
「今から小悪魔の森攻略か? 仲間が二人出来たようだな」
「いや、小悪魔の森はすでに攻略したから、今から目覚めの神殿に行くところだ」
「ほう。中々いいペースじゃないか。君は器はもう一杯になったか?」
「まだだ」
俺の器は小悪魔の森を攻略しても、一杯にはなっていない。
ちなみにシラファの器も、まだ一杯にはなっていない。
すでに十個溜まったようだ。
シラファは、俺に比べると倒した魔物の量が少ないが、それでも後一個というところまで来ている。
俺は今何個分貯まったのだろうか。
「まだ貯まらないか。もしかしたら目覚めの神殿をクリアしても、溜まり切らないかもな」
目覚めに神殿をクリアしたら、どのくらい魂力が貯まるのだろうか。
それでもいっぱいにならなかったら、普通の器の数十倍くらい容量があるということになる。
そうなるとどれくらい強くなるのだろうか。
今でも、アウターに来る前に比べたら、物凄く強くなっている。
凄い期待感が湧いて来た。
「じゃあ、行ってくる」
「ああ、頑張れよ」
レブロンは笑顔で俺たちを激励してくれた。
町を出て北へ向かう。
だいぶ歩くと、草原の中に石で出来た建造物が、ポツンポツンと建っていた。
古い建物で、半分壊れている。
ファーストシティは木造なのに、何で石で出来ているのか疑問だったが、早く目覚めの神殿に行きたいので、特に調べず先に進んだ。
北に進むにつれて、建物は増えていった。
昔は街でもあったかもしれないというくらい、多くの建造物がある。
もしかしてファーストシティは、最初ここにあったのだろうか。
それとも、元の世界の人間がアウターを発見する前に、建てられたものだろうか。
ファーストシティは、木造だし後者のような気がするな。
だとしたら誰が建てたか疑問だけど。
まあ、今日はそれを調べに来たんじゃない。目覚めの神殿を攻略しに来たんだ。
俺はそれ以上考えるのはやめて、進む。
そして、一際大きな建物があった。
ほかの建物は崩れかけだが、その大きな建物だけ、しっかりしている
古くはなっているが、それでも崩れたりはしなさそうだ。
「もしかしてあれが神殿?」
「どうだろう?」
「近づいて調べてみましょうー」
セリアがそう言って、建物に近づいていく。
俺たちも後に続いた。
建物の大きな扉の前に俺たちは立つ。
床に何か書いてある。
「試練を達成しておらぬ者は、入れぬ故、引き返すべし……やっぱりここが目覚めの神殿だな」
目覚めの神殿は、試練を達成してないと、入れない場所っぽいからな。
俺たちは二つともクリアしたから、入れる。
「準備はいいか?」
俺の合図に仲間たちは頷いた。
俺は扉を開け、目覚めの神殿の中へと入った。




