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 ファーストシティで温泉の場所を調べた。


 ファーストシティから、南に行ったところにあるようだ。

 グリーン温泉という名前らしい。


 草原の真ん中にある温泉のようだ。


「温泉って火山の近くとかにあるイメージがあったけど、アウターのは違うかのかな?」


 ブロズが疑問を口にした。

 そういえば、俺の国の温泉も火山がある場所の近くにあったような。

 正直、あまり興味がなかったから、知らないけど。


「まあ、アウターなんだし、元の世界の温泉とはだいぶ違うんじゃないの?」


 ルナがそう答えた。


 行ってみれば多分わかるだろう。

 俺たちはグリーン温泉に向かう。



 しばらく歩き続けると到着した。


 グリーン温泉と書かれた看板を入り口につけている建物が、草原のど真ん中にあった。


 グリーンワールドらしく、木造の建物だ。普通の家よりかなり大きい。


 建物の中央から湯気が出ているのがわかる。温泉があるのだろう。


 俺たちは建物の中に入る。


 受付の人がいて、温泉に入りに来たというと、入浴料を教えてくれた。


 一人5ルバのようだ。


 思っていたより安かった。

 これなら全然痛い出費じゃない。


 男湯と女湯が分かれているので、俺たちは分かれて入った。


「俺、温泉って初めてだなぁ」


 ブロズがそう言いながら服を脱ぐ。

 ガタイがいいのは知っていたが、やっぱすごい筋肉である。


 俺ももうちょっと鍛えないとな。


 しかし、ルイが気になるな。


 ルイと会ってから、ルナがいない状態で一緒になったことはない。


 ルイは、全く喋らないタイプであるので、どんなやつかもほとんどわからない。


 仲間として親交を深めるべきだとは思うが、喋ってくれないんじゃ、深めようもないからな。


 こうして考えている間も、ルイは俺の方を見たりはしない。

 あまりに他人に関心がないタイプなのかもしれない。


 ルナと二人では、レッドエリアに入ることができないから、仕方なくほかの冒険者とも連んでいるのだろうか。


 それならそれで、無理に話しかけなくてもいい気はするが。

 戦いでの連携は割と取れていた。ルイは会話はしないが、人の動きに合わせたりするのは、結構上手だ。


 ただ、それでもこれから一緒にアウターを冒険すると言うのなら、仲良くしていた方がいいしな。


 俺は悩みながら服を脱ぎ、脱衣所を出た。


 温泉は外にあった。


 木で囲ってあるので、覗かれる心配はないが、外で裸になるというのは妙な気分だ。


 俺たち以外の冒険者は数名だけいある。


 安いし、もっといてもおかしくないと思ったが、何故だろうか。

 ファーストシティからそれなりに離れた場所にあるし、わざわざ入りにくる冒険者は少ないのか?


 俺は湯に浸かってみる。


 湯の温度はちょうど良く、入り心地は非常に良かった。ただのお湯に入るのとは、何か違う感じがする。

 全身がリラックスして、とにかく癒されるという感覚だ。


 これが温泉にある効果なのだろうか。


「気持ちいいねー」

「ああ」


 ブロズが言ったので俺は同意した。


 ルイも目を細めて、心地良さそうにしている。


「ルイ君はどう?」


 ブロズが話しかけた。

 俺も話しかけようかどうか迷っていたから、ブロズには感謝だな。


 答えは返ってこないかもしれないと、思っていたが、


「うん」


 とルイは呟きながら頷いた。


「ボク、一生ここに住んでもいい」

「そ、そこまで……」


 意外と普通に喋っていた。


 姉のルナがいないと、そこまで無口じゃないのだろうか。


 突如、ルイが女湯との仕切りになっている、壁を指さした。


「あっち女湯」

「だろうな」

「覗かないの?」

「覗かねぇよ! 何言ってんだ!」


 とんでもないことを尋ねてきた。

 ルイは、何で? と言うように首を傾げている。


「いや、覗いちゃダメだろ仲間なんだし。そもそも、仕切りが高すぎて、覗けねーよ」


 木で出来た仕切りは、やたら高い。それこそ城の防壁くらいの高さがある。絶対に覗くんじゃねーぞ、と言っているようだ。


「君の身体能力なら、登ることも可能」

「え?」


 思わず仕切りの一番上の方を確認する。


 確かに全力でジャンプすれば、届かないこともない。


 若干、心が動いてしまう。


「ス、スレイ君? 駄目だよ覗きなんて」


 と俺の心の動きを察したブロズが、そう言って止めた。


「の、覗かねーよ! 大体仮に登っても、湯気で何も見えねーよ。無意味な行動だ」

「そうか。じゃあ、君は妄想するしかないわけだ」

「妄想もしねぇ!」


 こいつ、無口で変なやつだと思っていたが、喋っても変なやつだ。


 ただ、ルナがいないときは、喋ることもあるということは分かった。


 基本ずっと一緒にいるから、一人でいることってほとんどないだろうがな。


 しかし、女湯か。


 仕切りが、ふと、目に入る。


 い、いや女湯がどうなってるとか、気になってないからな!



 ○



「温泉楽しみだなー」


 一方、女湯ではセリアと、シラファと、ルナが脱衣所で服を脱いでいた。


「むむむ……」


 食い入るような目つきで、ルナはセリアの胸を凝視していた。


「な、何でしょうか? 恥ずかしいのであまり見ないでください〜」


 顔を赤くして、セリアは胸を隠す。


「そんな立派なものを持っていて、隠すなー! ちょっとでいいから揉ませて!」

「だ、駄目ですよ!」

「巨乳を揉んだら、自分の胸も大きくなるって言い伝えが、私の国にはあったのよ」

「出鱈目ですよそんなの!」


 セリアとルナがギャーギャーと騒いでいるのを、シラファは冷ややかな目で見る。


 ルナの視線は、セリアからシラファに変わった。


「す、すごい綺麗な肌。それにスタイルめっちゃいい」


 シラファの肌は真っ白で、シミひとつなく、まるで芸術品のような綺麗さだった。


 背が高くて、肉も引き締まっており、スタイルも完璧に近かった。


「まあ、胸はセリアちゃんの方が大きいけど」


 唯一、胸がそれほど大きくないというところは、欠点だと言える。


「ふん。胸など大きくても、戦闘の邪魔にしかならん」

「そうですよー。弓を射る時とか、結構神経使うんですよねー」


 シラファの言葉に、セリアが同調する。


「スレイ君が巨乳好きだと知っても、同じセリフが言えるかな?」

「何?」

「え? スレイさん巨乳好きなんですか?」

「聞いたことはないけど……男はだいたい巨乳が好きなのよ!」

「えー? そ、それは偏見では?」

「そんなことないわ。私にはずっと一緒にいる弟ルイがいるけど、ルイは、十歳以上年上の巨乳のお姉さんが、好みのようね」

「さりげなくばらしてはいけない情報を、バラしませんでしたか今!?」

「スレイ君も、年上好きかは分からないけど、巨乳好きなのは絶対ね」

「ルナさんは男の人に詳しいんですね」


 ルナは内心動揺する。

 確かにルイと一緒にいるので、ルイという男には詳しい。


 しかし、それ以外の男性と付き合った経験などなく、男に全体に詳しいとはとてもいえない。


 しかし、見栄を張りたいという気持ちが湧いたルナは、胸を張り、


「ま、まーね。色々経験してるからね」


 と言い切った。


「スレイ……巨乳……」


 シラファは、セリアと自分の胸を見比べながら、そう呟く。


 大きさが明らかに違う。


 ジロっと、シラファはセリアの胸を睨んだ。


「ちょ、ちょっと……! あきらかにシラファさん不機嫌になってますよ!」

「うっ! シ、シラファちゃんは胸以外がめっちゃ綺麗だから、全く弱点になってないわよ! 総合的にセリアちゃんに完勝してるわ」

「か、完勝って酷くないですか!?」

「あ、いや、シラファちゃんを慰めただけで……その……セリアちゃんも十分魅力的よ!」


 三人は脱衣所で、しばらくわーきゃー言い争った後、ようやく湯船に浸かった。


「あー、きもちいわねー」

「ですねー」

「悪くないな……」


 三人は、気持ちよさそうに湯に浸かる。


 そのまま、ゆっくりと湯船に浸かり続けて温泉を堪能した。










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その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
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