表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/66

58

 何とか倒せたな……とどめはシラファに刺されたけど。


 しかし、ルナとルイは一回死んだが、大丈夫か?


「油断したわね……やっぱり死ぬのは慣れないわ」


 冷や汗をかいていた。どうやら一度死んだことがあるようだった。


 ルイは特にいつもと変わらず、ぼーっとしていた。


「しかし、一回死んで弱くなったのは、困ったわね……魂力が器一個分ないのは、結構きつい」


 確かにそうだ。弱体化した分は、何とか俺たちでカバーするしかないか。


「あ、さっきの魔物、魂石落としてますよ。ちょうど二個ありました! 結構大きいです!」


 セリアがそう言った。地面に大きめの魂石が二個転がっていた。


「ちょうどよかったな。これを食べてくれ」

「いいの?」

「ああ。これで失った分をある程度取り戻せるな」


 この大きさなら、器一個分のあるとは言わないまでも、結構補えそうである。


 二人は魂石を食べた。失った分の魂力を完全に取り戻したわけではないようだが、ある程度は取り戻せたようだ。


 それから気を緩めることなく探索を開始。

 少し暗くなってきて、そろそろ今日の探索はやめにしようかという時、


「あ、あれ!!」


 セリアが遠くを指さしながら叫んだ。


 大きな木の根元にラーマの実と思わしき赤い実があった。

 かなり大きいイチゴである。間違いなくあれがラーマの実だろう。


 俺はやっと見つけたラーマの実を取りに近付く。


 すると、突如ラーマの実近くの巨大な木が動き始めた。


 そして木に巨大な目が一個出現した。


 こ、こいつモンスターか!


 このデカさはヤバイ。今まで見たモンスターの比じゃないデカさだ。


 全長100mはあるんじゃなかろうか。巨大な一つ目で不気味さが更に増している。


 巨大木はいきなり体を揺さぶり始めた。すると、巨大な実が落ちてくる。相当高いところから落ちていたから、かなりスピードがあり、当たったら間違いなく潰される。必死で回避する。


 突如、地面から木の根っこが飛び出してきて、俺を薙ぎ払う。奇襲過ぎたので回避できず食らってしまった。少し痛いが死ぬほどの痛みではなかった。


 俺は防御力がかなり上がっていたので、その程度で済んだ。だが、仲間たちも同様に奇襲を受け、結構ダメージを受けているようだ。特にセリアは痛みが強いようで、小刻みに震えながらうずくまっている。


 地面から音が聞こえてきた。もう一度来そうだ。俺はうずくまっているセリアを抱えて、当たらないよう回避する。


「す、すみません。迷惑をおかけして」

「仲間だから助けるのは当たり前だ。それより大丈夫か? 歩けるか?」

「はい、当たりどころはよくありませんでしたが、歩くことは出来ます」


 そこまで重症ではなかったようだ。


「あの大きな目は狙わない手はありませんね」


 とセリアは弓で巨大樹の目を射抜いた。


 当たったのだが、あまりにも巨大すぎて、セリアの矢が当たったくらいでは、瞬きすらしなかった。


「ま、まじですか」

「どうやって倒せばいいんこいつ……」


 いくら何でもデカすぎるだろう。


「やっぱり焼くしかない! フレイム!」


 ブロズが魔法を放った。

 あんなデカい樹が燃えてしまえば、森全体に火が燃え移ってしまいそうで、もしかしたらやばいかもしれない。


 止めるべきかもと思ったが、止める前にブロズが魔法を使った。


 フレイムは巨大樹に直撃する。そのまま炎上すると思いきや、火は巨大を樹燃やすことはなかった。もしかしたら、火に対して耐性でもあるのかもしれない。


「火も利かないのか……」

「そもそもあれ倒す必要ある? 私たちはラーマの実を持ってくればいいんだから、ここは実だけとってくれば良いんじゃないかな?」


 言われてみればそうである。こんなデカいやつ無理に倒す必要はない。


 ただ、ラーマの実は巨大樹の根元に生えている。回避していくのは、果たして可能なのだろうか?


「これだけデカいと、倒した時の見返りは大きい。倒すべきだ」


 シラファは強硬策を提案した。相変わらず自信家というか……あんなデカいのにも勝てる気でいられるのは、尊敬の念すら覚える。


 ただ、やはり巨大樹は倒さずに、ラーマの実だけこっそり取るのが一番良いだろう。


 そう思っていたら、巨大樹が蔓みたいなものを操作し、ラーマの実を巻きつけて、樹の上に持ち上げた。


 もしかして、あの実は巨大樹にとっても重要なものだったのだろうか?

 こうなると奴を倒さないと取れない。


 あれは諦めて他のやつを探すという選択肢もある。

 巨大樹は歩いたりはしないようなので、逃げても追ってこないだろう。


 問題はそう何個もあるかどうかってことだ。結局あれを倒さないとどうしようもないという可能性がある。


「こうなったらもはや倒すしかないな。奴の弱点はやはりあの目だろう」


 シラファがそう言って、全力で走り出した。目的は目だろう。


 地面から出てくる根っこを全て回避して、樹に接近。そして、勢いよくジャンプ。


 途中にある枝を掴む。巨大樹は枝を揺らしてシラファをふるい落とそうとする。


 何とか耐えて再びジャンプ。また枝を掴んだ。あんな感じで登る気なのか。案外いけるかも。


 そう思っていたが、揺れる枝でジャンプするのは、中々困難であるようで、飛び上がるのに失敗。上にある枝を掴めず、真っ逆さまに落下した。


 結構な高さがあったが大丈夫か? と思ったが、普通に立ち上がり、もう一度トライし始めた。


 難易度は高いが、あれなら目玉までたどり着けるかも。うまく行けば、ラーマの実がある場所までも登れるかもしれない。


「よし、俺もいく!」


 そう宣言して巨大樹に向かって俺は駆け出した。


 シラファと同じように枝までジャンプ。俺が掴んだら、巨大樹は枝を激しく揺らしてくる。何とかジャンプして上を目指す。


 俺はジャンプ力ではシラファより上のようで、うまく跳びきれなくても、枝に手をかけるくらいの高度はでた。


 揺れているところでジャンプするコツも上手く掴んできたので、失敗する事なく上に登り続けて、何とか目までたどり着く。


 近くで見ると巨大で不気味な目玉だった。


 シラファも俺より後に到着した。


「くっ。先を越された……」

「勝負してたわけじゃないから。早速目玉をぶっ潰すぞ」


 俺たちは目玉を同時に攻撃した。


 すると、巨大樹が激しく揺れ始めた。間違いなく大ダメージを受けている。


 何とか振るい落とされないよう、踏ん張って何度も攻撃した。攻撃するたびに揺れが大きくなるが、徐々に揺れなくなる。


 どうやらこの目玉は、ただの目じゃなかったようで、本当に弱点だったようだ。魂力になりとどめをさした俺に吸収される。


 吸収されたのは目だけだった。大きな空洞があいた。どうも樹にモンスターが宿っていて、樹自体はモンスターじゃなかったようだ。


 ラーマの実を探して入手する。その後、地上へと降りた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
作品ページ
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ