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それからモンスターが何体か出現してきた。
多少の苦戦はすることはあったが、負けることはなかった。それどころか死ぬこともなかった。
相変わらずラーマの実は見つからないが、ここのモンスターのからめ手の感じにもある程度慣れ始めたので、何とか行けそうな気がしてきた。
「Sランクは難しいって話でしたけど、案外何とかなりそうですねー」
セリアが気楽な口調でそう言った。
「油断はしちゃだめよ。何が来るかわからないからね」
ルナが少し厳しい口調で、注意を促した。彼女は用心深い性格であることが、分かった。アウターで生き残るには、ルナのように用心深くなければ駄目だと思うので、俺も見習わないといけないな。
先に進んでいくと、巨大なモンスターと出くわした。
身長が4m近くある。横幅もデカい。
頭に巨大な白い花を咲かせている。目が四つあり、巨大な口を持っている。
棘の生えた二本の太い蔓が手のようになっており、8本の太い根っこを足にして歩いている。
何というか、これぞモンスターという感じの異形さであった。モンスターには結構元の世界にいる生物の特徴を持った奴はいるのだが、こいつに似た生物を思いつかなかった。
こいつもトリッキーな戦い方をしてくるのだろうか?
なんか見た目が変だから、そんな感じがするな。
俺は警戒していると、蔓を振り回してきた。
かなりの速度だった。しゃがんで回避する。
全員何とか避けていた。蔓は木に直撃。太い木だったはずだが、へし折られなぎ倒された。物凄い威力のようだ。
今度は巨体を動かして、突進してきた。八本脚があるためか、想像以上に速い。
これも威力がやばそうだと思ったので、受け止めずに回避。
当たらなかったものの木を数本なぎ倒した。
こ、こいつ。
絡め手を使ってくるタイプではないかもしれないが、普通にめちゃくちゃ強そうだぞ。
少なくとも攻撃力は、首なしに匹敵するかもしれない。当たったらやばそうな攻撃をしまくっている。
やはり簡単そうだと思ったのは間違いだったか。こんな化け物がいるとはな。
逃げてもよさそうだが……だが、こいつ意外と早いし、逃げ切れるか分からない。
そもそも、こんな何が出るか分からない森を、走って逃げるのは割と危険である。
戦うしかないだろう。
今のところ敵は普通に攻撃してくるだけだ。強いのは強いが、戦いにくくはないだろう。
再び蔓を振り回してきた。回避して中に斬りこむ。
まずは足を斬り、動けなくしてやる。そう思って、斬りかかったが、思ったより固く、斬り裂けなかった。足は木の根っこに見えるが、硬度はまるで金属のようだった。
これは簡単には倒せないぞ。どこか弱点になるような場所を見つけないと。
セリアが、矢で花を射抜く。あそこが弱点かと思って狙ったのだと思うが、特に効いているようには見えなかった。
突進をしてきた。攻撃パターンが単調だ。これも回避する。
威力は凄いし、スピードもあるが、攻撃手段が多くないためそんなに強くないのかもしれない。
こちらの攻撃さえ通せば、倒せるはずだ。
そう思っていると、今までにない攻撃をしてきた。
飛びあがって、勢いよく地面に着地する。踏みつぶされはしなかったが、地面が激しく揺れて、足元がふらつく。
その隙を敵は見逃さず、同じく隙を作っていたルイとルナを蔓で攻撃した。
二人は回避することが出来ず、まともに攻撃を食らってしまう。
蔓で心臓を貫かれていた。あれは間違いなく一回死んだ。
俺も隙を作っていたから、こっちに来たら回避できなかったかもしれない。
ルイとルナは復活するが、魂力を大幅に消費したので、動きが鈍くなっているだろう。これは早めに決着を付ける必要がある。
しかし、相手は固いし、どうすれば攻撃が通るか……
見た目は明らかに植物だ……植物に有効そうな攻撃と言えば……火だな。
火を使う攻撃をすれば倒せるか?
「ブロズ、フレイムを使ってくれ」
「分かった」
ブロズは頷いて、モンスターに向かってフレイムを撃ち込んだ。
足に直撃。火が付いて少し苦しそうだ。
暴れ出してめちゃくちゃに蔓を振り回し始めた。
乱雑な鞭を何とか動体視力と反射神経で避ける。
火が付いているところは、脆くなっていそうだ。もしかしたら、俺にも火が付いてしまうかもしれないが、俺は躊躇せず、火が付いている足に斬りかかった。
予想通り脆くなっていた。最初は斬れなかったが、今回は斬ることが出来、モンスターは体勢を崩してその場で倒れた。
熱くなってきたので、慌てて俺は後ろに下がり離れる。幸い焼かれることはなかった。
俺が離脱した直後、今度はシラファが燃えている箇所を槍で突き刺した。
すると、思いっきり苦しみだした。
もしかしたら、弱点だったのだろうか。
もがき苦しみ始め、しばらく暴れるが、徐々に動かなってきて、最終的に完全に動きを止めた。
そして、魂力となりシラファに吸収された。