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 俺たちは王冠を持って、洞窟を出た。


 小悪魔が洞窟の外で待ち構えていたので、王冠を見せる。


「くすくす、斬れてるけど、これは間違いなくスネークキングの王冠だねー。あんなに能力が下がった状態で倒すなんてやるじゃん」


 ずっと人を馬鹿にしてきた奴らだが、今回は褒めてきた。

 褒められても、別に嬉しくはないがな。


「くすくす、頑張ったのでいたずらを解いてあげる」


 小悪魔がそう言うと、白い光が俺たちに降り注いだ。

 セリアの髪の色が元に戻り、シラファの頬のグルグルがなくなる。ルナの服の色や、ルイの剣の色も元に戻っている。


 俺の爪の落書きもなくなっており、さらに動きも早くなっていた。いたずらされる前より早い。洞窟で稼いだ魂力分、スピードが上がっているからだろう。


「良かったー。髪の色戻りましたー。あと視力も治りました。よく見えますねー。安心しました……」


 セリアはほっとしたようにそう言った。


「私の頬にあった奴は消えてるか!?」


 よほど頬のグルグルが嫌だったのか、シラファは必死に聞いてくる。


「消えてるぞ。でも、面白かったし、今度から持ちネタにしてみたらどうだ」

「何だ持ちネタって!? 絶対にごめんだ!」


 俺の冗談に、シラファが怒る。


 そんな事より、依頼をクリアしたから、試練に行くための門の場所を、小悪魔に教えてもらえるはずだ。


 さっさと聞いて門まで行って試練をクリアしよう。このイラつくちっさい連中の顔を見るのはもううんざりだ。


「依頼をクリアしたし、門の場所を早く教えてくれ」


 俺がそう言うと、


「くすくす、うーん……一回だけじゃ、まだ門の場所は教えられないかな」

「何?」

「くすくす、次の依頼をクリアしたら教えてあげるよ」


 一回じゃダメなのか!?


 じゃあ、またクリアしないといけないのか。


 面倒だけど、いたずらは解かれた。Aランクの依頼も、いたずら有り状態で何とかなったし、手間はかかるかもしれないけど、大丈夫ではあるだろう。


 Sランクの依頼が出ない限りな。


 俺は楽観的な気分で考えていた。


 だが、今日の俺たちは想像を遥かに上回るほど、運が悪かったようだ。


「くすくす、そうだなぁ、何の依頼にしようかなぁ? そうだ。この森の東奥に、ラーマの実ってがあるからそれ取ってきて」


 ラーマの実……


 なんかどっかで聞いたことあるような……


 たしかそれって、


「最初に頼んできたSランクの依頼じゃない!」


 一番最初にその事実に気付いたルナが叫んだ。


「くすくす、あれ? 最初に頼んだっけ? 忘れたけど、難易度を知ってるってことは、頼んだんだね」


 最初に俺たちに依頼したのは数時間前の話だぞ。何で忘れてんだ。どういう記憶力してるんだこいつら。


 しかし、Sランクの依頼だと? ここにきて付いていない。


 まあ、でも一度依頼を達成して、いたずらも解いてもらったし、今回断ってもいたずらをしてくるだけで、次の依頼を受けられないくなるわけではないだろう。


「くすくす、これ断ったら、もう次の依頼出さないからね」

「な、何だと?」


 おいおいマジか。そうなると受けるか、三年間待つしかなくなるじゃねーか。


「どどど、どうします?」

「どうするも何も……受けなかったらまずいだろ」


 三年は待てない。


「俺は三年間は絶対に待てないな。Sランクでもやるしかない」


 ブロズは真剣な目つきでそう言った。怖がりなブロズの性格にしては、少し珍しい態度に思えた。何やら事情がありそうである。


「俺も三年は待ちたくない」

「私もだ。Aランクの依頼は、能力を下げられていた割には、普通に遂行することが出来た。私たちならSランクも達成できるだろう」

「うーん……もしかしたら死んじゃうかもしれないけど……」


 ルナは若干気が進んでいないようで、迷っている。


「でも私たちも三年は待てないよね」


 ルイに確認するように言った。彼は頷く。


「じゃあ私たちも賛成かな。セリアちゃんはどう?」

「皆さんが行くならお供します!」


 やる気ありげにそう言った。


 覚悟を決めて、俺はSランクの依頼を受けると、小悪魔に返答した。




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その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
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