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 間近で見ると、スネークキングはさらに巨大に感じた。俺の剣はだいぶ威力が増しているとはいえ、こいつを叩き斬る事は果たして可能なのだろうか。皮がめっちゃ厚そうである。


 攻撃を引き付けてくれているし、迷っている暇はない。さっさとやらないと。


 俺は背後からスネークキングを斬りつけた。


 思ったより皮は固くなかった。手ごたえはあったが、あまりスネークキングは苦しんでいる様子は見えず、血も出ていない。

 皮は斬れたが、もうちょっと深く斬らないと、痛みを感じさせることすら出来ないようだ。

 痛んではいないが、背後から斬られたという事には気づいたようで、尻尾を振り回してくる。


 腹の辺りに尻尾が直撃した。さっきのより威力が全然高く、俺は体勢を崩され地面に転がる。


 痛かった……が、怖がるほどの痛みではなかった。この程度なら余裕で耐えられる。

 俺はすぐに起き上がった。


 ルナとルイが先ほど俺が斬った場所を狙って、攻撃をした。スネークキングは、ルナとルイも追い払おうと、尻尾を振り回す。


 二人は何とか回避しているが、危ないなあれは……俺はちょっと痛いだけで済んだが、二人は防御力が下がっているので、当たったらまずいかもしれない。


 危ないというのは二人も感じたようで、一旦距離を取って攻撃が当たらない場所まで逃げた。


 しかし、スネークキングは二人をロックオンしていた。引き付け役は攻撃をしているようだが、二人をまず先に仕留めるつもりなのか、一向にターゲットを変更しない。


「こっちに来い!」


 俺は二人にそう言った。今の俺は防御力は高い。スネークキングの攻撃を受けても全然耐えられる。盾になって守った方がいい。それに、俺に向かってきてくれれば、攻撃も当てやすくなる。


 二人は慌てて、俺の後ろに来る。スネークキングは突進してきた。食べるのではなく頭で俺を突き飛ばす気だ。かなりのスピードが出ている。


 奴には王冠のようなものが頭についている。見る限りでは非常に硬そうだ。あれが、このスピードで当たったらやばいんじゃないか?


 いや、敵のスピードを利用すれば、斬りやすくもなるはずだ。ここは逃げ腰にならずに、立ち向かおう。

 スネークキングの突進に合わせて、俺は剣を振った。


 上手くタイミングを合わせることが出来た。予想通り頭についていた王冠は、硬い物質で出来ていたが、スネークキングの突進の威力をうまく利用できたため斬ることが出来た。

 王冠を斬りさらに頭まで斬り裂いた。真っ二つに斬り裂かれ、スネークキングは死亡し、俺の魂力となり吸収された。

 かなりの量の魂力を得た。体が明らかに軽くなる。それでも、俺の器が一杯になったという報告は来ない。


 床に魂石がいくつか落ちた。魂石だけではなく、俺が斬り裂いた王冠も落ちていた。これもを持って行って、スネークキングを倒したと小悪魔に証明すればいいんだろうか。斬ってしまったけど斬り口は綺麗なので、合わせれば王冠だと分かるだろう。


 しかし、何とか倒せたな。俺の剣もよく耐えてくれた。やはりこの剣はほかにはないくらいの名剣だな。


「何とか倒せましたね。流石スレイさんです!」


 セリアがニコニコしながらそう言った。


「いや、全員で勝ち取った勝利だろ。俺だけのおかげってわけじゃない」


 引き付ける役がいなければ、俺の攻撃は簡単には当てられないからな。


「最後のスネークキングを倒したのは凄かったわよ! 私、やられちゃったと思ったんだから!」


 ルナは興奮しているようだ。


 確かにあれは上手くやれたな。俺も魂力を吸収してだいぶ強くなった。

 今は器いくつ分の魂力が溜まっているんだろうか?


「魂石いっぱい落ちましたね」

「魂石は、引き付け役の三人が食べるって決めただろ」

「……ルイさんとルナさんは、スネークキングの魂力をゲットしていませんし。それに私は器が一杯なので」

「確かに現在器がいっぱいになっているセリアが食べても、魂力は上がらないか」

「それと魂石は白以外のもありますよ。白以外の魂石を食べるとスキルや魔法を習得できますし」


 確かに蛇をいくら倒してもスキルや魔法は身に付かないので、少し不公平になるかもしれない。

 色付きの魂石は、ルイとルナにも分けよう。


 ただ、俺の場合は魔法は習得しても使えない。スネークキングを倒したことで、魂力も大量に入手した。

 俺を除いた五人で分けるべきだろう。


 そう意見すると、


「赤いのはスキルを覚える奴なので、それは魂力を消費しないですし、赤い魂石を食べたらどうですか?」


 確かにそうだな。スキルは魂石を消費しないので、獲得した方がいいか。

 俺はセリアの言葉通り、赤い魂石を貰うことにした。


 全員で食べる。


 食べた瞬間、『スキル、息止め3を獲得した』と聞こえてきた。


 息止め? 息を長く止めてられるってことか? 


 試してみたら、確かに一分くらい経っても、全然苦しくならなかった。効果は俺の予想通りだろう。


 ……これ意味のあるスキルなのだろうか?


 息が出来ない場面なんて限られているというか。うーん、もっと面白いスキルが欲しかったかもしれない。


 まあ、1の奴だと効果が全く実感できない。俺は最初炎耐性1を貰ったが、普通に熱さを感じている。効果がないのよりはましではあるか。そのうち息を長時間止めなきゃならない場面がくるかもしれないしな。


「新しい魔法を覚えたが……私は槍で戦えばいいから、魔法は使わない」


 何らかの魔法を覚えたようだが、シラファは使う気が全くないようである。魂力のシステム的に、魔法を使ったら魂力を消費してしまうというデメリットがある。魔法を使わないというのも、一つの手ではあるだろう。特にシラファは器の数が多いしな。


「わたしは、『スチールニードル』って魔法を習得しましたよ。どうやって使うんでしょう? 矢だけだと威力不足だし、器もいっぱいになっているので、魔法も使っていきたいですね」


 セリアも魔法を習得したようだ。

 スチールニードルとはどんな魔法だろうか?


「攻撃魔法って手の平を前に出すか、もしくは人差し指を一本だけ立てて、それを前に向けるか、両手を前に出すかの、どれかでだいたい使えるって先輩冒険者さんが言ってたよ。困ったら試し打ちしてみれば?」

「そうですねー。魂力もいっぱいありますし、ちょっとくらい使っても良いですしねー。試してみましょう」


 セリアは手のひらを前に出して、スチールニードルと言ったが発動せず。


 ほかのやり方も試す。両手の手のひらを前に出して、スチールニードルと言ったら、発動した。大きな鉄の針が、勢いよく飛んでいった。


「おおー、使えましたー。結構威力ありそうですよ!」


 針も大きかったし、速度もあった。セリアの攻撃力不足を補う魔法になるかもしれない。


 ブロズはフライという魔法を覚えたようだ。


 どんな魔法なのか気になったようなので、ブロズも試しに使ってみていた。微妙に浮くくらいで、はっきり言って使えない魔法だった。


 魔法レベルをもっと上げれば、自由自在に飛べるようになるかもしれないが、今の状態では全く使えない魔法と言っていい。


 ルナとルイは、それぞれ赤い魂石を食べた。1の現状では役に立たないスキルが身に付いたようだ。


 それぞれ魂石を食べた後、スネークキングが落とした王冠を持ち、洞窟を出た。




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その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
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