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巨大な蛇が一体中央にいて、そいつの周りに先ほどまで倒していた大きさの蛇たちが囲んでいる。
「は、はっきりとは見えないですけど、普通の蛇より大っきいですし、あれがスネークキングですかね」
「多分そうだろ。あれを倒せば依頼完了だ」
さっさとこんな蛇だらけの洞窟からは出たい。
俺たちは戦闘の準備を行う。
決めていた通り、シラファとセリア、ブロズが引きつけ役になる。
「大っきいと視力が下がっても矢が当たりやすくていいですねー」
セリアは、あのスネークキングにも臆していないようだ。
蛇たちは三人にターゲットを移す。
その隙に俺、ルナ、ルイで攻撃をする。先ほどまでやっていたのと、全く同じ形で戦闘を行った。
しかし、問題が発生。スネークキング一体は引きつけられていたが、ほかの蛇たちは全部引きつけられておらず、何体かが、俺たちの方を向いて「シャー」っと威嚇をしてきていた。
俺たちはこのままいくか少し迷うが、時間をかけてしまえばしまうほど、引きつけ役の三人に負担をかけてしまう。
リスクを冒してでもいくべきだと判断し、正面から戦いを挑む。
ルナ、ルイはスピードは失っていないため、何とか避けながら蛇たちと戦っていた。
一方俺は、さっきまで蛇たちを倒していたので、魂力を吸収しており、僅かにスピードが上がっていたとはいえ、それでもまだまだ遅く、中々攻撃を避けきれずにいた。
蛇たちに噛まれたり、尻尾を鞭にして叩かれたりするが、正直全然痛くない。
毒があるかもしれないが、そもそも歯が俺の肉を貫けていないので、毒があっても体に入ってくるということはないので、心配はないと思う。
どうも防御力が高いので、効かないのだろう。
……こいつら相手には、わざわざ小細工を使って戦う必要はなかったようだな。
まず噛み付いてきた蛇を、あっさりと剣で切り落とす。
尻尾で攻撃してくるやつの尻尾を斬り落とす。その後、怒って噛み付いてきたので、一度噛みつかせてから、首を斬り落とした。
俺に来た蛇は割とあっさり倒し終えた。
ルナ、ルイはどうかと思ってみると、すでに倒し終えて、スネークキングの背後から斬りかかっていた。受け身で倒した俺より、二人の方が早く倒し終えるのは、当然の結果か。
何とか思う通りに動かない体を動かして、スネークキングの背後へと向かう。
ルナ、ルイの二人は同時にスネークキングに斬りかかった。だが、大きいため皮も分厚く、完全に斬り裂くことは出来なかったが、傷をつけることは出来た。
背後から強力な攻撃を受けて、スネークキングは振り返る。
ターゲットをルナ、ルイの二人に移した。
シラファたちが慌てて攻撃をする。
ただ、シラファの攻撃力はだいぶ落ちているし、セリアの矢の攻撃は、視力が落ちているせいもあり、当たってはいるが、あまり効果的な場所には当たらず、二人の攻撃ではスネークキングの気を引けていない。
防御に徹していたブロズが状況を見て、自分も攻撃に回った方がいいと、剣を振り回してスネークキングを斬りつけた。
あまり攻撃が得意でないというブロズだが、威力自体は中々高いため、スネークキングは苦しそうに呻き声をあげ、ブロズにターゲットを移す。
その時。ちょうど俺はスネークキングの後ろに到着した。
全力でスネークキングを斬りつける。
最初ルナ、ルイが攻撃した箇所を狙った。すでにある程度斬られているため、ここが一番脆い箇所であると判断した。
その判断は功をそうし、スネークキングは真っ二つになった。
魂力となり、俺に吸収される。
ほかの蛇たちも残っていたため、残りも倒して終える。
「良かった倒せた。ちょっと、ヒヤッとしたよ」
一瞬、ターゲットを移されて、ピンチになったルナが額の汗を拭いながら言った。
「あ、魂石です」
スネークキングは大きめの魂石を二つ落としたので、それは引きつけ役が食べる。
シラファが辞退して、セリアとブロズが食べた。どうやらシラファは先ほどの戦闘の働き具合に、満足いっていなかったようだ
「……ところで依頼を達成しましたけど、これどうやって証明するんでしょう」
「そうだな……死体は残らないからな……」
「一度戻って倒したって言ったら、確認するんじゃないかな」
そうだろうな。とにかく一回戻った方がいいだろうが。
「ちょっと待って。そもそも、さっきのは本当にスネークキングだったのかな?」
洞窟を出ようとすると、ブロズが引き止める。
「じゃないのか? デカかったし」
「うん、そうだけどさ……でも見て、この洞窟ここで終わりじゃなくて、まだ奥があるんだ」
確かにここが最奥ではなく、まだ奥があるようだった。
「奥があるから今のがスネークキングじゃなかったとは言い切れないけど、一応最奥まで行って確認した方がいいと思うよ」
「……確かにそうだな……奥の方にもっとデカイ蛇がいないとも限らないし」
すぐに出たい気持ちはあるが、中途半端に依頼を報告してしまったら、失敗扱いされてしまう恐れがある。
それはまずい。
俺を含めて全員が、一応最奥まで行った方がいいという意見に賛同したので、洞窟を出ず、さらに奥へと進んだ。