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 声は高かったので、恐らく女だろう。

 俺は振り向いて、声をかけてきた者を確認する。


 緑色の髪の女と、その女とそっくりな顔の男が立っていた。


「そっくりですねー。双子でしょうかー」


 セリアが小声でつぶやく。ここまで似ているなら二人は兄弟、それも双子だろう。どちらも背が低く、目が大きくて愛嬌のある顔をしている。


 髪型は違うので区別はつく。

 女がポニーテイルで、男の方はショートカットである


「ああ、小悪魔の森に行きたくてな」

「それならちょうどよかったです。私たちも小悪魔の森を攻略したいと思って、仲間を探していた所だったんですよ」


 女が表情を明るくしてそう言った。


 ありがたい申し出だが、俺の器の数をサーチしない可能性が高い。


「俺の器の数をサーチしたか?」

「してませんけど、多いんでしょ?」


 キョトンとしたような表情で聞き返してきた。何でサーチしてないのに、そんなことが言えるんだ。


「多くない。俺は器一個だけだ」

「「ええー!?」」


 大袈裟に驚いた。さっきまで黙っていた男の方も一緒に驚いていた。


「何でそんなに驚くんだ」

「えー、だって……そんなはずは……器一個だけど強いんですよね?」

「そうだけど……俺の器は一個だけど魂力が普通より多くはいるようなんだ。今、通常の器だと八個分に相当する魂力を持っている」

「は、八個分ですか! 凄いですねー。それでですかー」

「待て、信じるのか?」


 あっさり俺の話を信じた。ほかの冒険者たちは全く信じようとしないのに。

 あったばかりだというのにどういうことだ。


「いやー、実はこの弟の、ルイって言うんですけど、ルイは人の強さが見ただけで分かるっていう不思議な力があってですね。アウターに行く前から身に着けていた力なんですけど。あなたはこの場にいる冒険者たちの中で一番強いんだそうです」


 見ただけで強さが分かるとは、不思議な力だな。彼女は俺の言葉じゃなく、弟の力を信じていたようだ。精度がかなり高いようだ。実際俺の実力も見抜いているわけだし。


「ちなみに私とルイ君の器はどっちとも5つです」


 双子だから器の数も一緒なのだろうか。それとも偶然なのだろうか。

 とりあえず五個あるのなら、実力も特に問題はなさそうだな。


「嘘は言っていないようだ」


 シラファが小声でそう言ってきた。念のため二人の器の数を調べたようだ。サーチであっさりと器の数を調べることは出来るから、嘘をつくメリットなどないし、調べるまでもなかっただろう。


 とにかく仲間を探していたところだし、いい話なのは間違いない。受けよう。


「仲間になるってんなら歓迎する。俺たちも少し困っていたところだからな」

「ありがとうございます!」


 女の方が笑顔でお礼を言った。後ろの弟は何も言わずに頭を下げる。姉の方は結構喋るけど、弟はほとんど声を発しないな。姿はそっくりでも、性格は違うようだ。


「自己紹介まだでしたね。私はルナ・マルファーです。こっちはさっき言いましたが、弟ルイです。私たちこう見えても双子の兄弟なんですよ」

「スレイだ。双子だってことは見た瞬間に分かった」

「えー本当ですか! 凄い観察眼です」


 誰でもわかるだろ。そっくりって自覚がないのか?


 俺に続いてセリア、ブロズ、シラファも自己紹介をした。


「スレイさんと、セリアさんと、ブロズさんと、シラファさんですね。皆良い人そうで安心しました」


 ルナが笑顔で言ったが、シラファはさっきから若干二人を睨んでおり、良い人そうという評価を受ける態度には見えない。ルナはかなりポジティブな性格かもしれない。


「六人揃ったし、早速出発したいが……」

「あ、早速ですか。部屋から武器とか荷物持ってきますね。行くよルイ!」


 弟のルイはコクリと頷いて、二人一緒に準備をするため自室に向かった。

 数分後戻ってきた。


 ルナは体格に似合わない、大型の斧を背負っていた。ルイの方は、二本の剣を交差させて背中に背負っていた。二刀流の剣士のようだ。


 準備を終えたようなので、早速小悪魔の森に向かった。


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その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
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