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しばらく歩いて宿屋ロンダールに到着した。
宿屋の一階は酒場になっており、大勢の冒険者で賑わっていた。
「いっぱいいますねー。この人たち全員、仲間を探している冒険者なんでしょうかー?」
「全員じゃないだろうけど、これなら仲間も見つけられそうだな」
「ですねー。早速声をかけてみます!」
と、率先して冒険者たちに声をかけ始めた。相変わらず人当たりがいいな。こういう時は頼りになる。
セリアは二人組のちょうど男二人組の冒険者がいたので声をかけた。見た目は強そうだが、この世界では魂力の量で強さが決まる。見た目がいくら強そうでも強いとは限らない。
「奴らの器はどっちとも4つだ」
シラファがそう言った。器が一個の俺は、なるべく魔法を使わない方がいいので、サーチの使用はシラファに任せてある。
四つとなるとそこそこ強いだろう。仲間にしても問題はないはずだ。
セリアは結構和気あいあいと話している。性格的にも問題はないように見える。まあ、性格に関してはちょっと見ただけ判断は出来ないが。
「小悪魔の森の攻略相手は俺たちも探してたところだ。4人いるならちょうどよさそうだな」
「ほかの仲間は、あいつらか?」
男二人はそう言って俺たちを見た。
俺を見て、二人の表情が変わる。
「待て待て、あいつ器一個じゃねーか」
「器一個の奴とは仲間になれん。あいつを外すなら仲間になろう」
「え、えー? スレイさんは器一個ですが強いんですよ!」
セリアが必死で弁明しようとするが、
「そんなわけないだろ。器の多さが強さの証ってのは常識だろ」
全く信じなかった。
こいつら人の強さを器だけで判断しやがって……と思ったがさっき俺も器だけで強さを判断していた。
大方間違った考えではないんだろう。実際、器一個に入る魂力の量が人より多いのは、例外中の例外のようだしな。
「あの女は器がめちゃくちゃ多いが、それでも足手まといを連れて何とかなるほど、小悪魔の森は甘いところじゃない」
「そうだ。器が三つ四つあった俺たちの仲間が、あっさりと死んでいった。あの男も命が惜しければ、今すぐ冒険者を辞めるべきだ。冒険者になった理由は分からんが、命より大事なものはないはずだ」
どうやら心配しているようだ。余計な心配というやつだが、悪意があっていっているわけではなさそうではある。この二人は悪人というわけではないのだろう。
結局俺がただの器一個ではないという事は信じてもらえなかった。ほかの冒険者を仲間にしようとしたが、似たような反応が続く。
「ちっ……なぜスレイが強いと誰も信じない……」
とシラファが額に青筋を浮かべていった。かなりイライラしている様子だ。
俺のせいで仲間が見つからないので、申し訳ない気持ちになる。
「レブロンさんに強いってお墨付きをしてもらうってのはどうですか? 町長の言葉ならみんな信じますよ」
「それもそうだが、町長って結構忙しいんじゃないのか? なるべく手を煩わせたくはないけど」
まあでも、どうしても仲間が見つからない場合は、最終手段として使うしかないかもしれない。
「ふん、そんな回りくどい真似をしなくても、ここにいる連中をスレイが一人ずつしめていけば」
「怖い事いうな! 暴力沙汰はごめんだ」
シラファは、イライラして考えが暴力的になっているようだ。
シラファの意見はあり得ないとしても、やはり町長に聞きに行くしかないのだろうか?
どうしようか悩んでいると、
「あの仲間を探しているんですか?」
と後ろから声をかけられた。




