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「新しい仲間がいた方がいいって言ってたが、どう思う?」


 町長から話を聞いた後、俺は仲間たちの意思を確認した。


「わたしは良いと思いますよー」


 セリアは特に考えるそぶりを見せず、すぐに返答した。


「俺も良いと思う。確かに前仲間にした二人はあれだったけど、全員が悪い人じゃないと思うしね」


 ブロズも賛成した。


 問題はシラファだがやはりというべきか渋い表情で、


「私は反対だ。また裏切られたらどうする。今度は死ぬかもしれない」


 と反対した。

 結構意思は固そうに見える。これは説得できるだろうか。


「シラファの気持ちは分かるが、俺は仲間を探した方がいいと思う。六人いないといけない場所がある以上、先に進むには人を増やす必要があるからな」

「……お前がそう言うなら反対はしないでおこう」


 あっさりとシラファは考えを変えて、俺は拍子抜けした。何かやたら物分かりが良くなったな。俺の言葉をそれだけ信用するようになったという事だろうか。


「シラファさんが賛成なら早速仲間を探しに行きたいですが、どこで探せるんでしょうかー?」

「そういえばそうだな……町長に……」


 聞こうと思ったがもういなくなっていた。早く聞いておけばよかった。


「とりあえず酒場に行くのはどうかな? 情報を集める時は基本酒場に行くし」


 ブロズがそう提案をしてきた。

 ほかにあてもないし、酒場で仲間になってくれそうな人の情報を探すというのは悪い方法ではなさそうだ。


 全員賛同したので、早速広場付近に酒場がないか探した。

 すぐ近くのところに、ラックという酒場があったので、そこに入った。


 ビッツとガジットを見つけるために行った酒場に比べて、内装が広くかつ客の数も多かった。


 これは期待できるかもと思って、酒場の店主に、


「小悪魔の森に行くための仲間を探しているんだが、心当たりはないだろうか」


 と尋ねてみた。


「お前ら新入りか? じゃあ、ここで仲間探しはやめたほうがいいぜ。ここにゃ、冒険者を引退したしみったれた親父しか来ねぇからよ」


 そう言われて俺たち以外の客を見てみると、確かに中年の男が多い。若そうな奴は全然いなかった。


「どこに行けば仲間が探せるんだ?」

「ロンダールっつう町で一番大きな宿屋に若い冒険者が集まってる。この店からそう遠くはない」


 宿屋か……俺たちは近くにあった宿屋に泊まったが、ほかにもあったのか。そんなに大きな町じゃないので一軒で十分だと思ったが。


「ありがとう、俺たちはこれで」

「おいおい、人が親切に情報を教えてやってんのに、何もせずに帰る気か? それはねーだろ」


 無償で教えてくれたわけではなかったようだ。正直、そんなに珍しい情報じゃなかった気がするが、教えてくれたのは事実だ。ここは素直に金を払っておこう。


「そうだな。どれくらい払えばいい?」

「金を取ろうってんじゃなくて、何か頼んでいけってんだよ。酒か料理か、どっちでもいいぞ」


 どういうわけか、店で飲食をさせたがっているようだ。

 今、そんなに腹が減っているわけじゃないし、これから人探しをするのに、酒を飲むのもまずい。


「いや、腹減っていないし、酒も今飲む気分じゃないし……」

「腹が減ってねーのか。じゃあ、デザートを食っていけ。俺は料理なら何でも作れるんだ。適当な席に座ってろ」


 そう言いながら、料理を作り始めたので無視して出るわけにもいかず、俺たちは席についた。


 しばらくすると、果物がふんだんに乗っているタルトが出てきた。食べてみると、やたら美味しかった。アウターに来てから大した物を食べていなかったので、久しぶりに美味いものを食べて感動したくらいだった。


 これからはこの店で食事をしようと思わせるくらいだった。てか、それが狙いで頼んでいけと行ったのか。自分の腕によほど自信があるんだ。


 すぐに平らげ、タルトの料金を支払い店を出て、俺たちは宿屋ロンダールへと向かった。





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その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
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