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 首なしを何とか倒し切った。

 だが、油断は出来ない。一体倒した後、三体出てきたのだ。また出てきてもおかしくはない。五体とか同時に出てこられたら、勝てるかどうか。


 二体首なしを倒して、俺はだいぶ強化されているので、もしかしたら割とあっさり倒せるかもしれない。シラファも復活したことだし。


 警戒しながら待つこと数分。新しい奴が出てくる気配はない。


「も、もう出てこないようですね……」


 セリアがほっとしたように呟いた。

 流石に数分経過したし、もう出てこないと見ていいだろう。


「良かったー。あー、俺は盾も鎧もぶっ壊れっちゃった」

「わたしも矢がもうなくなっちゃいましたよー。これではもはや、何も出来ません。それにしてもシラファさんのおかげですよー。やっぱりシラファさんは強いですねー」


 セリアは感心したように呟いた。


 シラファは返答をしなかった。ただ、俺の勘違いじゃなければ何か言いたそうな表情に見えた。


「じゃあ扉を開けてみるか。ここで終わりならいいんだけどな」


 扉を開けたら出られると思いきや、首なし以上の敵が出てきた、何てことになる可能性もある。首なしより強いモンスターとなると、対応しきれないかもしれない。


 慎重に扉を開けて、先へ進んだ。

 小部屋に出た。宝箱が二つ置いてある。それから、梯子がかかっていた。上を見てみると、天井が見えなかった。この梯子を登ると外に出られるのだろうか。


「あの梯子を登ったら出られるんですかねー。その前に、宝箱が気になります」

「そうだな。ミミックじゃないのを確認したら、開けてみよう」


 宝箱を観察して、動いたり目が開いたりしないかを調べる。一分くらい見続けたが、異常はなかったので、本物だと判断する。


「こっちも本物みたいですー」


 もう一個の宝箱はセリアが確認していたが、そっちもミミックではないようだった。


 俺は宝箱を開いて、何が入っているのかを確認する。


 金の延べ棒が三つ入っていた。これは大金になりそうだと思って手に取ってみると、やたら軽い。まるで紙切れを持っているようだ。これ本当に金なのか? 魂力で強化されているため、軽く感じているだけかもしれないが、それを考慮してもこれはあまりにも軽い。ハリボテのような感じがしたのでチョップをしてみたが、砕けたりはしなかった。硬度は普通にあるような気がする。


「金だと思ったんですけど、やたら軽いですねー。こんなもんなんですか金って」


 セリアが不思議そうに謎の金属を持ちながら疑問を口にする。俺はその疑問に自分の考えを言った。


「金は軽くないぞ。魂力で強化されてるから軽く感じてるのかもしれないが、それを加味しても軽いし、アウター独自の金属かもな」

「そうですかー。金だったらお金持ちになったかもしれないですけどね」

「これがまだ安いって決まったわけじゃないし、ファーストシティで調べてもらわんとな」


 セリアの宝箱にも金っぽい金属の延べ棒は、三つ入っていた。


 六つなので分けることは出来ない。

 今回は全部売って、貰ったルバの方を山分けすることで決定した。


 延べ棒を持ち、梯子を登る。


 結構長い梯子だ。数分間登り続けてやっと一番上に到達した。出口は石のようなものでふさがれていた。石をどかすと、眩い光が差しこんで来た。


 登ると地上に出た。近くにからくりの塔がある。

 からくりの塔付近に出口が用意されていたようだ。


「出られましたー……一時はどうなることかと思いましたが、何とか出られましたねー」

「まあ、俺たちはみんな一回死んじゃったけどね。スレイ君は、死んでないし凄いよ。スレイ君がいなかったら絶対出られてなかったね」

「そうですねー」

「よ、よせよ」


 褒められて何だか照れ臭い気持ちになる。王宮では貶されはしても褒められたことはほとんどなかったので、俺はこういうのに全く慣れていなかった。


「この状態でからくりの塔に挑むのは無理ですし、ファーストシティに戻りましょうかー」

「だな。ビッツとガジットにお灸をすえてやる必要もあるしな」

「ですねー。悪い人は懲らしめないといけません」


 今奴らがファーストシティにいるかは分からないが、そんなに広い町でもないから、情報を知っている人はいるだろう。探し出すことは不可能じゃないはずだ。


 俺たちはファーストシティに戻ろうとする。


 すると、さっきまで口を開かなかったシラファが、


「待ってくれ、話したいことがある」


 神妙な面持ちでそう言った。俺たちは立ち止まって、シラファの方を見た。


「今回は何とか出られたが、足を引っ張ってしまった。済まなかった。返せるか分からないが、この借りはいずれ必ず返す」


 シラファは頭を下げてきた。大人しく頭を下げるような奴だと思っていなかったため、意外に思う。今回の件で少しだけ心を入れ替えたのだろうか。


「借りを返す必要はない。仲間だから当然の事だろ」


 俺はそう言い返した。セリアとブロズも、微笑みながら頷いた。

 シラファは間を置いて、


「仲間だから、返したいんだ」


 と言った。


 その言葉を聞いて、俺は耳を疑った。仲間って言ったよな今。とにかく他人が嫌いという感じの奴だったと思ったが。さっきの経験でそこまで心境が変化したのだろうか。


 まあ、仲間だと思ってくれて悪いことはない。もしかしたらシラファはいずれ抜けるかもしれないと思ったが、今後も一緒にいてくれそうだ。首なしとの戦いでシラファの戦闘技量の高さは再確認できたし、頼もしい限りだ。


 俺たちはファーストシティへと帰還した。





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