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 首なしが三体出現し、俺は言葉を失った。


 一体でも結構苦労して倒したが、それが同時に三体。

 先ほど首なしを倒し魂力を吸収したので、戦闘能力は上がっているが、それでも勝ち目があるか自信はない。


 弱点は分かっている。まずは、一匹削っておいた方がいいと考えて、俺はジャンプして首なしに乗り剣を突き刺した。


 引き抜くと青い血が吹き上がり、首なしは暴れまわる。何とか踏みとどまりもう一度刺そうとしたが、残り二体の首なしが、シラファに鉄球を投げようとしていることに気が付いた。


 慌てて首なしから飛び降りて、残り二体の首なしを斬りつけた。狙い通りシラファへの攻撃はやめて、ターゲットを俺へと

 変更した。三体に集中攻撃されることになる。


 首なしは結構動きが素早いため、三体同時に狙われて反撃をする余裕はなかった。避けるので精一杯だ。ブロズとセリアが遠距離攻撃で援護をしてくれるが、気を完全に逸らすことは出来ず、俺が狙われ続ける。


 一撃でも食らってしまうと、体勢が崩れて回避できなくなるだろう。首なしの攻撃は一撃なら耐えられるが、連続で殴られたら耐えきれる自信はない。


 一撃でも食らう事は出来ないため、俺は神経を研ぎ澄まして避け続けた。


 しかし、このまま避け続けても、そのうち疲れて動きが落ちたら一発くらい食らってしまうぞ。どっかで反撃しないとまずい。


 最初に攻撃した首なしの上に乗ってもう一度刺すか? 

 だが、上に乗るにはジャンプする必要がある。空中では動きが制限されて、攻撃が当たるかもしれない。リスクの高い行動だ。


 結局決断できず、どうすればいいのか悩みながら、俺は何とか攻撃を避け続けた。

 考えていたせいか、若干集中力が途切れ、首なしのパンチを避けきれず、肩にかすった。


 かすっただけだが、相当な威力なので、少し体勢を崩してしまう。


 ――しまった!


 体勢が崩れてしまって、次の首なしのパンチを避けることが出来なくなった。前からのパンチを防御姿勢を取ってガードする。強い衝撃が全身に走った。少し頭がクラクラする。頭が揺さぶられてしまったせいだろう。


 そのせいで次の攻撃に備えるのが遅れた。背後から殴られそうになる。食らったと思い、反射的に目を閉じた。数秒経っても衝撃は来ない。恐る恐る目を開けると、俺を殴ろうとした首なしは、ターゲットを俺から変えていた。


 セリアかブロズが助けてくれたと最初は思ったが違った。シラファだった。凛とした態度で槍を構え、首なしを睨み付けていた。


 一瞬見間違いかと思い、よく確認したが間違いなくシラファだ。正直、重症だと思っていたので、短い時間で恐怖を克服するのは無理だと思っていたが、この土壇場で復活するとは。

 とにかくシラファが戦えるようになったのは大きい。


「こいつは私が引き受けた! 残り二体はお前が何とかしろ!」


 シラファは叫ぶ。冷静に考えたら、シラファは器の数は決して多くない。果たして一対一で首なしに勝てるのだろうか。いや、勝てなくても俺が二体を処理するまで時間を稼いでくれればいい。それまで何とか死なずに戦ってくれるだろう。

 俺はそう信じて、残り二体の首なしと相対した。


 二体ならだいぶ余裕ができる。まずは一度剣で急所を刺した首なしを倒す。


 俺はタイミングを見計らってジャンプをした。二体ならば、攻撃の手数も少ないので、ためらわずにジャンプ出来た。上手く、首なしの上に着地する。


 剣で刺して、すぐに引き抜いて二回刺した。青い血が噴き出し、首なしは苦しむ。もう一体の首なしが、何の躊躇もなく俺を殴ってくる。


 素早く剣を引き抜いてジャンプして回避した。その拳が、首なしに直撃する。物凄い衝撃だったようで、拳を受けた首なしは、かがみこんで動けなくなった。


 俺は殴ってきた首なしの腕に降り、そのまま肩まで駆け上がって、そのまま弱点に剣を突き刺した。もう一体が行動不能になっている間に、こいつの処理を終わらせよう。首なしは体を揺らして、俺を振るい落とそうとするが、何とか粘って剣を刺し続ける。


 首なしは、振るい落とすのをやめて、攻撃することを選んだようだ。拳を振り上げて、自分の頭に振り下ろそうとする。


 あと一刺しで倒せそうだと思った俺は、避けるのではなく思いっきり首なしに剣を突き刺した。


 俺の予想は当たり、最後に苦しそうに大暴れした後、地面に倒れ死亡し、魂力を吸収した。


 もう一体はまだ動けないでいるようだった。これなら楽勝だと、ジャンプして弱点を突き刺した。だいぶ弱っていたようで、その一刺しで首なしは死亡し、魂力となって吸収された。


 残りはシラファが引き受けたやつだ。


 早く救援に行かないとと思い、シラファと首なしの戦いを見ると、意外と優勢だった。シラファは青い血を大量に浴び、首なしは苦しそうに拳を振り回している。


 セリアとブロズが、俺の援護をやめてシラファの援護をしているようなので、そのおかげでもあるが、シラファ自身の動きがかなり良くなっていた。


 器の数は特に増えていないはずなのになんでだ……?

 あ、そうか、最初に倒した首なしが落とした魂石を食べたのか。それで魂力が増えて、強くなったのか。


 ブロズの攻撃が首なしの足に直撃し、首なしは怯んだ。

 シラファはすかさずジャンプ。雄たけびを上げながら、首なしの弱点を一刺しした。


 首なしは苦しそうに動き回った後、死亡した。




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その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
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