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 その後、三階の迷路は無事抜けることが出来た。


 ビッツとガジットの二人は、順路を完全には覚えていないと言ったが、一度も行き止まりになることなく、スムーズに抜けることが出来た。


 その間、いくつか罠はあったが、どれも分かりやすい罠だったため回避した。シルバーフィッシュを倒してから、戦闘は一度もしていない。


 ガジットとビッツがいなければ、割と面倒な目に遭っていたかもしれないな。やはりこの二人は、信頼できると見える。


 ただ、シラファは相変わらず二人を睨みつけていた。


「今まであいつらの言った言葉は全部正しいし、別に信用してもいいと思うぜ」


 その様子を見て、俺は小声でシラファに話しかけた。

 シラファは「……ふん」と少し間を置いた後、鼻で笑った。


 どこか迷っているように見えた。信用してもいいかもしれないと、シラファも思って来たのだろう。


 階段を上り終えて、四階に到着した。


 今度は一階と同じく何もない部屋だった。


 いや、なにもなくはない。部屋の右隅に宝箱がある。正直怪しいので、あれは罠だろうか。


「宝箱ですねー」


 セリアがそう言って、宝箱に向かって歩き出すと、突如ゴン! と何かにぶつかったような音がなり、セリアは鼻を抑えて、その場でしゃがみ込んだ。


「い、痛~。こ、ここ何かありますよー」


 俺は調べて見ると、確かに目には映らないが、壁っぽい物がある。セリアはこれにぶつかったのか。


「この階も迷路なんだけど、三階と違うのは、壁が見えないって事だ」

「えー、先に言ってくださいよー」


 セリアは恨めし気な表情で、ガジットとビッツの二人を見る。彼女の鼻は赤く腫れていた。

 ガジットとビッツは少し笑いながら、言うのが遅くなったことを謝った。


「ところであの宝箱は、罠なのか?」

「ああ、からくりの塔にある宝箱は、基本的には罠じゃないよ。稀に近づいたら罠だって分かる事もある。宝箱が数秒に一回瞬きしたりしたら、それはミミックで間違いない。宝箱のミミックは、ロックミミックとは違ってかなり強いから、触るとまずいぞ」


 宝箱に摸してるやつもいるのか。俺ならそんなの気付かなくて、すぐ開けちゃいそうだな。


「この部屋の順路は、月ごとに変わるから、僕達でも分からないんだ。ぶつからないよう慎重に進もう」


 俺たちは壁があるのか、ないのかを触ってみて念入りに確認しながら、進んでいく。


 俺の手が壁に触れた時、カチッという音が鳴り響いた。何か押してしまったかもしれない。


 その音を聞いて、ガジットが焦り始める。


「罠だ! この罠は普通は気づかないだろうから……多分弱いモンスターが出てくると思うが、戦う準備をしてくれ!」


 どうも偶然罠を押してしまっていたようだ。壁が見えないから罠も見えないし、こんなん分かりっこない。


 天井が開いてモンスターが出てくる。

 大きな紫色のコウモリのモンスターが、六体出てきた。


「ポイズンバットだ。耐久力はないから簡単に倒せるが、噛まれたら毒になるから、絶対避けろ」


 さっきまでは銀のモンスターが出てきたが、今回は毒か。


 ポイズンバットは、ぱたぱたと翼をはためかせ飛んでいる。剣が当たらない位置にいるので、降りてくるのを待つ。結構早い速度で降りてきた。俺は剣を振るが回避され、噛みつかれそうになる。何とかそれは避けた。ポイズンバットは再び攻撃の届かない場所に行く。


 中々素早いな。しかもいちいち攻撃の当たらない場所に逃げやがって、面倒な相手だ。


 そこでセリアが、弓を放つ。見事頭に命中し、一撃で仕留めるのに成功した。


「やっと倒せましたー。次ですー」


 セリアはもう一度弓を引く。さっきまで倒せなかった鬱憤を晴らすつもりか。


「そういえば、俺はフレイムって魔法使えるようになったんだよな。当たるかな?」

「使う気なのか? 魂力を消費するぞ」

「分かってるけど一回試してみたいからね」


 ブロズは手のひらを前に出して、「フレイム」と言った。すると、炎の球がブロズの手のひらから発生し、ポイズンバッドに命中。一撃で燃え死んだ。


 おお、これが魔法か。

 俺の想像を超えるほど凄い魔法ではなかったけど、でも、やっぱ手のひらから炎を出せるようになるのは、何かいいな。

 自分で使ってみたい。今度紫色の魂石が出た場合は、ルバの事は考えずに自分で食べよう。


 今回はブロズとセリアだけが倒して、俺たちは倒せなかった。


 それからゆっくりと先に進む。

 宝箱が欲しいので、上階へ進むための道ではなく、宝箱に行く道を探した。


 透明な壁に戸惑いながら進み続ける。宝箱を見ながら進んだら、あと一歩進めれば到着するというところで、壁に阻まれてしまった。がっかりして肩を落とす。


 めげずに、引き返して正しい道を探す。


 悪戦苦闘しながら、何とか宝箱がある位置までたどり着いた。


 ガジットとビッツが、宝箱を調べる。


「ミミックではないみたいだな。じっと見てると、ミミックは瞬きをするから、分かるんだが。こいつはしなかった。ただの宝箱だろう」


 そう言ってガジットは宝箱を開けた。


 中から白い魂石が十一個、謎の黄色い石が五個出てきた。


「黄王石だな……これは防具を作る素材になったりするから、そこそこの値段で売れる」


 なら欲しいけど、五個しかないとなると割り切れないな。


「俺たちは二人で一個で良いから、残りの四個分ければいい」

「いいのか?」

「うん、君たちの方がアウターに来たばかりだし、お金には困っているだろうからね」


 お言葉に甘えて、俺たちは一個ずつ貰った。白い魂石はガジットとビッツ二人で三つ、残りの四人が二つずつ貰うという分け方になった。


 今回も魂石は食べずに、全て袋にしまう。


 それから、次の階へ行くために階段に向かう。宝箱と同じく苦労しながら向かった。時間がかかったが、階段に到着した。運が良かったのか、罠にはかからずに済んだ。


 五階へ到着する。


 部屋の真ん中の床に、何か丸い赤色の球体が置いてある。

 何だあれは? 確認してみると、絶対に動かすなと横にかかれている。


 何だこりゃ? 罠というか罠なら警告しないし、どういうことか不明だけど、多分言う通り動かさない方がいいんだろう。


「それは動かすと駄目のように見えるが、実は動かしたらめちゃくちゃ弱いけど、倒したら十個くらい魂石を落とす、レアなモンスターが出てくるんだ」

「ここはボーナス階みたいなもんだね」

「そうなのか」


 動かすなとというのはフェイクだったようだ。


「じゃあ、動かしますー」


 セリアがそう言って、球体を足で蹴って動かした。

 その瞬間、ガジットとビッツが不審な動きを見せた。いきなり球の近くから離れて、部屋の隅っこに移動したのである。


 どういうことか疑問に思っていると、足元の床が光を放ち始めた。嫌な予感を感じたので、光ってない場所に移動しようと思ったら、俺の足はなぜか動かなくなってしまっていた。





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その劣等生、実は最強賢者、ノベリズムで連載中です!
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