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 からくりの塔は、そんなに高い塔ではなかった。

 決して低いというわけではないが。俺がちょっと前まで暮らしていた、王城にはもっと高い塔があったので、そう思うのかもしれない。高さはないが、広さは結構あるようだ。


 外見は普通の石造りの塔に見える。特に壁に模様がはいったりもしておらず、シンプルな塔だ。


「この塔には六人しか入れねーから、先に誰かが挑戦していたら、中に入れなくなっちまうんだ」

「そうなると、出てくるのを待つしかないのか?」

「ああ。まあ、ファースト・シティは小さい町だから、誰かが挑戦しに行ったら、噂くらいは出るが、聞いていないし。仮に挑戦者がいたとしても、そんなに時間はかかる場所じゃないから、長時間待たされることにはならないと思うけどな」


 時間がかからない場所でも、中でグダグダやる可能性もあるし、長時間待たされることになったら面倒だ。

 食料もあんまりないし。


「とにかく中に入ってみよう」


 ガジットとビッツが中に入って行き、俺たちはそのあとに続いた。


 全員入る事が出来たので、先にレッドエリアに入っていた冒険者は、誰もいなかったようだ。


 中には何もなかった。殺風景な場所で、上階に続く階段があるだけである。


 ここだけ見ると、俺なら油断して何の気なしに先に進もうとすると思う。


「えーと一階の罠は……中央少し右の床を踏んでしまうと、モンスターが出てくるんだったな」


 中央少し右の床を確認してみる。何の変哲のない床だ。色が変わっているわけではなく、そこだけちょっと出ていたりもしていない。

 こんなの初見で罠だと見破るのは、難しいだろう。


「これ初めて入った人は気付かないですよー」

「そうだ。こういう、分かりづらい罠にかかった場合、出てくるのはそんなに強くないモンスターなんだ。だからわざと踏む場合もあるぜ。モンスターを倒せば、魂力になるからな」


 ガジットが説明し、そのあとビッツが「どうする?」と尋ねてきた。


 あえて踏んでみるかどうかを尋ねているのだろう。


「魂力は集めたいし、ここは踏んだ方がいいと思う」

「えー、なるべく戦いは避けたいですよー」

「俺も戦いたくはないけど、魂力は集めたいし、踏んでみるのもいいと思う」

「その二人の言葉が信用できるという根拠はない。ただ別に強いモンスターが来ようと倒せるから、私はどっちでもいい」


 それぞれ意見を言った。

 シラファは相変わらず二人を信用していないようだ。そして、相変わらず自信家である。


「うーん、わたし以外賛成ですかー。確かに強くなった方がこの先やりやすいのは、間違いないですしー。踏んだ方がいいんですかねー」


 セリアも渋々と言った感じだが、踏むのに賛成した。


 踏む役目はビッツがやる。真ん中少し右の床を踏むと「カチ」と音が鳴り、その直後、「ブ――――!!」という轟音が部屋に鳴り響いた。


『侵入者! 侵入者! 撃退せよ!』


 人間の声なのかどうなのか疑問に思う、不思議な声が部屋に鳴り響き、黒い靄が発生。


 その直後、モンスターが出現した。


 全身が銀色の金属で出来ている大型の犬だった。それが五体同時に沸いた。


「シルバードッグだ。あんまり強くはないが油断はするなよ」


 見た目的にはそんなに弱そうには見えないけど、結構弱いのだろか。硬そうだし正直剣で攻撃したくないけど、ここはするしかないだろう。俺だけ戦いに参加しないというわけにもいかない。


 俺は剣を構え、先制攻撃をした。

 シルバードッグの首を斬りつける。


 あっさりと首が斬れて、頭が地面に落ちた。

 シルバードッグは死亡して、魂力となり俺に吸収される。


 あれ? こいつこの見た目で意外と柔らかいのか?

 というより、俺の剣速が上がったおかげで、金属でもあっさりと切れるようになったのだろうか?


 ブロズとシラファも、あっさりとシルバードックを倒して行く。セリアの矢は流石に突き刺さらず、倒すことは出来なかった。


 五体のシルバードックはあっさりと倒しきった。ガジットとビッツの言葉は正しかったようだな。


「ちょっとー、わたしだけ倒せてないじゃないですかー。損しちゃいましたよー」

「まあ、お前巨大蜘蛛の魂力貰ったんだしいいだろ」

「あれは魂石をスレイさんにあげたからトントンですよ!」


 セリアは不満げな表情だ。シルバードックと弓矢では相性が悪いので、今回は運が悪かっただろう。ただ、もう少し魂力を貯めて、力を付ければ金属でも貫けるようになるかもしれない。


「君たち戦い慣れしてるね……」

「魂力がたまったら、全然俺たちより強くなると思うよ」


 ガジットとビッツが俺たちを見て驚いていた。


 俺は別に戦い慣れてはいないんだけどな。実戦経験少ないし。


 でも、思ったより自然と訓練の時と同じ気持ちで、戦えているので、それで慣れていると思われたのだろう。


「一階にはほかに罠はないし、二階に行こう。最上階までたどり着けば、試験を受けられるらしいよ」


 俺たちは階段を上り二階へと向かった。








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