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002 ちょっとだけだよ

女神様の話によれば、俺の身体は千切れてバラバラだそうだから、

もう戻るのは無理だろう。

ならば、素直に転生させてもらって特典を貰ったほうがいい。


「ということは、チート能力をもらえるんですか?!」

思わず敬語になる俺。


「それは無理」


「ふにゅ」

あっさり否定され、青菜に塩シオのパーの俺。


「チート能力はダメでしょ。キミが悪人じゃないのはわかってるけど、

何かの拍子に『世界征服してやる』とか言いださないとも限らないしね。

あげられる特典は、ちょっとだけだよ」


「どんな特典?」


「異世界で生きるための知識を得る力とそのために必要なINTを

少し上げてあげます」

『ドヤァ』という擬音が聞こえそうな口調で言う女神。


「知識はありがたいですが、INTを上げるというのは?!」


「だって、あんたアホじゃん」


「ア、アホちゃうわ!!」


「赤点とったくせに・・・」


「苦手教科で1点足りなかっただけだ~~い!

どうせ大学受験では、その教科とらないからいいんだよ!!」


「いや、あんたもう受験なんか関係ないし」


「誰のせいだよ!!そうか!もう俺は受験地獄が関係なくなったのか?!

ありがとうございます」

このとき俺は、少し精神状態がおかしくなっていたようだ。


「あと、キミが行く世界は魔法があるんだけど、使うためにはINTが

高いほうがいいというのもあるね」


「アホとかより、そっちを言え~!」


「まあ、何と言われても決定事項で変えられないので、

そろそろ行ってもらうよ」


「え?!ちょ、待て・・・」


「コウタくん!ボクの名前はティオリアンナ。

これから長い付き合いになるので、親しみをこめてティオって呼んでね」


部屋全体がぐにゅっと歪んだように感じた。

そして、す~っと全てが消えていった。




「んっ?ここは?・・・畑?!」


気がつくと俺の周りには一面、ナスのような実をつけた草が並んで立っていた。


畑ならば近くに人が住んでいるはずだ。

まずは、その人に接触して・・・。

などと考えていると、突然頭の中で声が聞こえた。


『基本ダウンロードヲ開始シマス』


「うごおおおおおおおおぉぉぉ・・・!!!」


いきなり痛みが襲ってきた。


頭が痛い!


割れるようななんて表現じゃすまない。

頭の中に無数の錐を差し込まれて、脳をぐりぐりとこねまわされて

いるんじゃないかとも思える痛さだ。


俺は立っていられず、膝をついて倒れこんだ。

そして畑の中で、のた打ち回った。




「あはははは・・・、苦しんでる苦しんでる。

いいよ~、かわいいよ~、コウタくぅ~ん。

おっとまだ気絶しちゃダメだよ~、最初からやり直しになっちゃうよ~。

ダウンロードが終るまでガンバレ~!」


苦しむコウタの様子を神界から見ているティオリアンナ。

実は彼女は、ドSである。

彼女は、コウタのことを気に入っており、そのお気に入りのコウタが

苦しむのを見るのは楽しくてたまらなかった。


何しろ、魂が神にくっついて神界にくるなんてことはありえないのだ。

それが、あったということは、自分とコウタはとんでもなく相性がよく、

運命のようなもので繋がっているとしか思えない。


どういう繋がりかは神である自分にもわからないが、きっと彼は

自分を楽しませてくれるに違いない。

そこで自分が管理する世界に転生させて様子をみることにしたのだ。


「うん、もう少しだよ~、よくがんばったね」


苦しむコウタを見て喜ぶティオリアンナの微笑みは、我が子の成長を

見守る母親のような、慈愛に満ちたもののようにも見えていた。





いったい俺は、どれぐらいの間、苦しんでいたのだろうか?!


『ダウンロードガ終了シマシタ。最適化ニハイリマス』


という声とともに痛みがスッとなくなり、やっと気絶できたのであった。

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