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収穫祭 2

収穫祭では多くの出店が立ち並ぶ。

僕の親父も、自慢の家畜である鶏や牛からとった卵、牛乳を販売してる。

僕も手伝う予定だったけど、今日村を出る予定なので楽しんでこいと自由行動していいって言われたんだよね。親父に感謝だ。


さっき会ったアーカスくんと共に出店巡りをしていると、ほかの出店と比べて人だかりがある店を発見した。

「あれなんだろうな。そんなに繁盛するやつ去年とかあったっけ?お前わかる?」

アーカスくんが聞いてきたけど、僕にもわからない。

とりあえず近くに寄ってみると、そこには見慣れた顔が忙しそうに、いや忙しく手を動かしていた。その反面、満面の笑みを浮かべているけど。

「あれ、ロイドくんじゃない?」

「お、ほんとだな。あれなに作ってんだ?」

「甘い匂いだね。ちょっと買ってみようか」

親父から渡された軍資金を手に、その行列に並ぶ。

そして、ようやく僕たちの番になったので、話しかけた。

「や、ロイドくん」

「よぉ、繁盛してるじゃん」

「ん?おぉお前らか。楽しんでるか?」

「勿論!それで、ロイドくんなに作ってるの?あ、一つ貰うね」

「おう毎度。これはな、旅人に教えてもらったんだが“クレープ”って言うらしい。甘くて女に評判なんだ。男にも人気だがな」

へぇ…旅人さんから聞いたのか。

この村では情報は主に商人か稀に来る旅人、あとは村が依頼した冒険者くらいしか仕入れられない。

そこまで辺境って訳じゃないけど、用事がなければ来ない場所だし仕方ないか。

「じゃあ邪魔しちゃ悪いしもういくよ。頑張ってね。」

「おう。またあとでな。」

ん?あとで?なんか用事あったっけ?

まぁいいか。気を取り直してこの“くれーぷ”だっけ?食べてみよう。

僕が食べる前にアーカスくんが食べてしまった。

一緒に食べようよ…

「おおこれ美味いな。お前も早く食って見ろよ」

中々の褒め言葉だ。割と食にうるさいアーカスくんが言うなら期待できる味なのか。

早速一口…

おぉ、食べた瞬間口の中で甘いものが溶ける感じがする!なんて言うんだろうこれ…卵に似てる感じがしないでもないかな…?

この生地も新しい味かつ舌触りで美味しいな。

あっという間に食べ終わってしまった。もう一度買いに行こう…と、言おうとしたがあの行列には戻りたくないな。いずれ村に帰るときに作ってもらおう。

村に少なくない名残が増えたことに嬉しく思いつつ、同時にそれを悲しむ僕がいる気がする。

収穫祭はもう1話続きます。

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