収穫祭
今日は年に一度の収穫祭だ。
うちの村は小規模だから、近辺の村との合同の収穫祭になって割と大規模だ。収穫祭といってもやることは食べて飲んで騒ぐことだけどね。
毎回大規模で自分の村で採れた物を持ち寄るから、交換したりしてる。それを狙って商人が来るから、僕はそこを狙って乗せてもらうつもりだ。
今日、村を出るのか…なら、思いっきり楽しもう。
そう意気込んでると、いきなり話しかけられた。
「おい」
「ん?なに?アーカスくん」
ヘンリーおじさんの息子のアーカスくんだった。
同い年なので仲はいいけどなんか雰囲気が違うな…
「俺さ、村を出ようと思ってるんだ」
「えっ!?猟師継ぐんじゃないの?」
「それも考えたけどよぉ…憧れだった職業があるんだ」
「それは?」
「…冒険者」
ここでヘンリーおじさんが苦い顔してたのがわかった。アーカスくんが冒険者になったら継ぐ人がいないからだ。いや、正確にはアーカスくんの弟に希望はあるけど…
しかしなるほど、冒険者か。アーカスくんなら似合いそう。
冒険者は主にダンジョンで生計を立てたり依頼を受けてこなすのが仕事。
アーカスくんの才能を持ってすれば戦闘面は強いのでダンジョン潜るのかな?
そう思ってるとアーカスくんが驚きの提案をしてきた。
「お前、今日村出るんだろ?俺も連れてってくれないか?俺の父さんやお前の父さんから話は聞いてんだ。俺もダンジョンに連れてってくれないか?」
「えっ?それは僕としては歓迎するけど…僕足手まといだよ?」
「そこは俺がカバーする。というか父さんから弓教わったろ?それに他の仲間もいれば大丈夫だろ」
「それならいいんだけどさ、他の人と組んだほうがいいんじゃない?」
「あーもういい!はっきりいう!村出が俺一人じゃ恥ずかしいんだよ!お前も道連れだ!」
「あ、そんなことなのね…悪かったよ。一緒に行こう」
アーカスくんの新しい一面を見てしまった…
あとで親父にこの話をしたら都会では“ツンデレ”というらしい。よくわからないな。