-女神の祈りと大鵬の啓示-
はい、如何も今日は。もう二十回目ですね。意外に続く物だ・・・。
今回はタイトルの通り、大鵬さんです。もう説明の余地もないですね。
要は馬鹿でっかい鳥です。鯤と言う此又大きな御魚さんが鳥に化けた物だそうです。どんな鳥かも分かっていません。取り敢えず大きいんです。一飛びに9万里も飛ぶそうですよ。もう地上には何も残らないでしょうね。
他にも大きな雲華の事を大鵬の翼だと言う事もあるので筆者の中では真皓な鴫の様な鳥だと勝手に思っています。ほっそりとした頸に長い足と尾・・・うむ、たまらん。
大きい鳥って他にも沢山居るので何だか色々と膨らみますよね。やっぱ大きいのが良いのかなぁ、もう蕭森から頭ちょこんと食み出してるじゃん!ってつい突っ込みたい子、沢山居ますもんね。
さてそんな一飛びで世界に甚大な被害を与えてしまう大鵬が乗せるのは誰でしょうか。どんな願いを託されるのでしょうか。
ある所に闘いの女神がいました
女神は未だ年若い者でしたから、人々の願いは全て叶えようと思っていました
人の身には余りにも重い誓い、でも女神にとって其は切なる願いではなく、只、取るに足らない祈りでした
どうせ叶うと思っていたのです
そんな女神に一つの難題が流れ込んで来ました
此の世界で最も大きいとされる二大勢力、鵠の国と鴉の国が戦争を始めたのです
闘いこそが女神の意義です
女神は戦争が起きたのを嬉しく思いました
女神は必要とされるのを待ちました
でも民の声は直接女神には届かないので、女神は一羽の大鵬を放ちました
多くの装飾を施した皓く眩い大鵬は、各国へ赴き、願いを集めました
そして勝利の女神は其を聞き入れました
でも其が困った事を引き起こしたのです
鵠の国は言いました
どうか我等を勝たせて欲しい、と
鴉の国は言いました
どうぞ勝利の微笑みを、と
両国が同じ神に同じ願いを掛けたのです
女神は困りました
如何したら良いのかと
片方丈勝たせても、自分の祈りが、契りが叶いません
何方も負けるのは尚更です
放って置く訳にも行きません
女神は両手を翳しました
すると両国の戦力が少し丈上がりました
女神は様子を見る事にしました
戦争を長引かせる事にしたのです
数年後戦争は激しさを増す許りです
女神は久方振りに大鵬を放ちました
両国の民は言いました
戦争を止めてくれ、と
大鵬は飛び立ちました
でも運悪く、何処ぞの国の民の矢を受けてしまいました
翼を穿った大鵬は飛ぶ事も出来ず、谷底へ真っ逆さまに落ちてしまいました
大鵬を失った女神、民の願いを聞けません
民の願い等露知らず、女神は両国共に勝たせる方法を見付けました
要は勝てば良いのです
敵国の民を皆殺しにすれば良いのです
女神は未だ年若かったので、負けると言う事を知りません
早速女神は指揮でもするかの如く手を振るいました
すると両国の兵が狂い、叫び始めました
そして行き成り両国の民を殺し始めました
抵抗しても殺しました
許しを乞うても殺しました
虐殺でした
そして数年にも及んだ争いは一霄で終わりを迎えました
両国の兵は、両国の王を討ち取り、国に火を放ち、狂い死んで行ったのです
両国は互いに望まぬ勝利を収めたのでした
女神は跳び上がらん許りに喜びました
そして自分で自分を褒め称えました。
何故なら自分を称える者は、もう両国にはいないからです
両国を燃やす光焔丈が、女神を祝福しました
両国が燃やされた事で、世界の大部分は死の地となりました
でも黔い地に一転丈皓く眩い所がありました
然う奈落へ落ちた大鵬です
そして大鵬の近くには、大鵬の装飾品であった種々の貴石が散っていました
でも其の貴石は実は種だったのです
大鵬の翼によって劫火から免れ、大鵬の紅鏡の様に眩しい翼の輝きによって照らされた種は、目覚しく成長しました
そして忽ち、深樹になりました
僅かに残った者達はもう争わないと深樹に誓い、祈りを大鵬の深樹に託し、互いに分け合って深樹に住み始めました
面白くないのは女神です
争いがなくなりました
闘いの女神である彼女の存在意義が失われたのです
困った女神、でも女神は直ぐに解決策を見付けました
此は迚も簡単でした
女神は手を打ち鳴らしました
其と同時に深樹に焔が灯りました
灯火は深樹を一色に染めて行きました
其の絳の綺麗な事
此の世の全ての絳を集めても劣らぬ程の煌きでした
女神は深樹を燃やしたのでした
あの両国と同様に
大鵬の深樹を燃やしました
誓いの深樹を燃やしました
深樹に取り残された民も一緒に燃やしました
深樹を創った大鵬も一緒に燃やしました
深樹を失った民は口々に言いました
鴿の国は桃花鳥の国が灯を放ったのだ、と言いました
桃花鳥の国は自分の国は死傷者が多いので、火を放った訳が無い、啄木鳥の国だ、と言いました
啄木鳥の国は少し大きい国である九官鳥の国がしたのだと、と言いました
九官鳥の国は鵜の国の民が深樹の奥へ行くのを見たから、彼等がしたのだ、と言いました
鵜の国は逃げるのが速かったので、鶉の国がしたのだろう、と言いました
国々は国々を虐げ、貶めて行きました
愚かな若い女神は気付いていません
自分が世から最も必要とされていない事に
女神から悪神に変わっていた事に
全ての国を巻き込んだ戦争が始まりました
其は世界の全てを破壊する迄止まらなかった然うです
-Fin-
御疲れ様です。今回はちょっぴり長かったですね。
実は此を書いた後、某漫画でちょーっと似ているシーンがありまして・・・や、やべぇ、パクリになるか?でもこんな無名な作品、だ、大丈夫だろ、自意識過剰だよ、うん。
と、何とか己を鎮める事で投稿に漕ぎ着けました。良かった・・・出してしまえば此方の物だ。(酷い理論)
さてと、今回は良い具合に世界滅亡エンドでしたが、次回は一応の一区切りになります。(書き溜めていたのが終わります。)
でも此の休みに偶々見ていた道路の白線の御蔭で新しい物語が五つ程舞い降りて来ましたのでもう少し御付き合い頂けたらと思います。
次は・・・筆者の愛して止まない、一番好きな幻獣です。もうべったべたの子ですけれど、可愛いのだから仕方ない、可愛いは正義、勁さは絶対。
では良い物語を。