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近未来ストーリーG  作者: 活動寫眞
近未来ストーリーG3
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天使と悪魔の協奏曲-前編-

【天使と悪魔の協奏曲-前編-】



 ここはアメリカ合衆国ニューヨーク州の北東にある小さな田舎町である。

今日12月1日は、カレンの10歳の誕生日だった。

カレンはこの日がとても待ち遠しかった。


1つ歳を取る事が大人へ近づく喜びでもあったが

他にも待ち望んでいた。それは“バースデイプレゼント”子供の頃は

誰もが期待に胸を躍らせて喜び、時としてがっかりした思い出もあったりする。



カレンの場合はそのプレゼントに赤い靴が買って貰えることが嬉しかった。

それは小さい頃からの憧れ...たまたまTVで見たモデルの女性が

履いていたのが赤い靴。カレンにとっては衝撃的な出会いであった。


ただ幼かったカレンにはまだ早いと両親は反対。

今回も学校の試験で良い成績を取ったらと条件を出され見事にクリアしたご褒美。

だから余計に長年の夢が自らの手で実現しようとしている、この日は特別だった。



カレンが学校にいる頃、母は夜のパーティーのために料理の下ごしらえを

行っていた。父は来るまで20分あまり先の設計事務所で働いている。


勿論、仕事は少し早目に切り上げて、娘のためにニューヨークの真ん中まで

行く事になる。それは「未来deデパート」へとプレゼントを受け取りに

行くからである。しかし、悲劇はここからはじまったのであった...



夕方、カレンは学校からの帰り道、友達とも別れ自宅への一本道を歩いていた。

すると道の途中、一人の男性らしき人がうずくまって何かをしていた。


少し警戒しつつ徐々に近づくにつれ後姿から近所に住んでいる

トミーおじさんだと分かった。


トミーーおじさんはいつもつなぎの服を着ていて、

頭のてっぺんが少し薄くなっていた。

警戒心が薄れたことからカレンはトミーおじさん近づき声をかけた。



「トミーおじさん何してるの?」



しかし、トミーおじさんらしき人物はカレンの問いかけに

全く反応がない。だが一心不乱に何かをごそごそと動いている。

カレンはもう一度問いかけてみた。



「カレンだよ?もしかしておじさんお腹が痛いの?大丈夫?」



トミーおじさんは突然、ぴたっと動きを止め微動だにしなくなった。

怖くなったカレンはおじさんが大変なことになったと思い

おじさんの顔が見える位置へと回り込みました。


その瞬間、カレンを突き飛ばし道から林の方へと走り去って行きました。

カレンは一体に何があったのか一瞬、理解することが出来ませんでした。

ですがただ事ではないと思い急いで、自宅に向かいその事を母に告げました。


母は急いでトミーの家族に連絡をし、

その後家族から州警察へと捜索願いが出され

近所は騒然とする事態へと発展しました。



カレンは楽しみにしていた誕生日、

そんな日に訳のわからないことを経験させられ少し落ち込んでいました。

母はその姿を見て、カレンが落ち込む事はないと励ましました。


父は未来deデパートに到着した頃にその出来事を聞かされることになった。

カレンを電話ごしで励まし、予約した赤い靴を受け取ると

急いで車に飛び乗り、自宅へと走り出しました。


そんな頃、政府が緊急記者会見を行っていました。

大統領が会場に現れると一斉にカメラのフラッシュがたかれました。

緊張の面持ちで大統領はマイクに近づき言葉を発しました。



「最初に、質疑応答は一切行いません。

 そして今回の会見内容はアメリカ合衆国内だけの問題ではありません。


 ですが予め先に報告しますが、既に策を講じています。

 なので安心してパニックを起さずに普段通りの行動を取るようにお願いします。

 

 1週間ほど前、ある化学薬品工場で実験が行われました。

 その実験で事故が起こり、特定の範囲内に化学物質が散布される事態に陥りました。


 以前から政府が監視下しておきながら

 実験自体を事前に止める事が出来ず、今回の事故が起こりました。


 その物質ですが、空気より軽いことから小規模ながら爆発で成層圏に達しています。

 大半の物質はその時点で死滅し、残骸だけが地上に降り注ぐことになる。

 

 だがある一部だけは、その日の天候などから低い位置で落下。

 被害が出る可能性がある。あくまで可能性であり、対策も行っている。

 

 政府はすでに軍を使い、アメリカ、カナダ、アラスカの一部を封鎖、

 ロシア、アイスランド、イギリス、北欧、EUなども対応を取っている。

 今のところ被害状況は出ていない。


 もし出るとすれば事故から1週間後の今日、なにか動きがあるかもしれない。」



「具体的に封鎖以外に対策は?」



「大統領は質疑応答はしません...」



「具体的に対応策は答えられないが、各国連携で行っている。

 あと国民には冷静な判断が要求されます。もしこれから出される

 地域に何かあればすぐに緊急連絡、もしくは地元の警察の指示に従って下さい。

 治安悪化など見られれば州ごとに軍が動きます。」



「あっ、大統領!待って!待ってくださ...」



まともな回答も無いまま、不安だけを残す会見となり

国民は恐怖する以外になかった。カレンの父は、自宅付近に差し掛かると

軍隊による検問で止められる事となった。



「この先の地域に御用ですか?」



「あ、はい。私の自宅があるもので帰るところです」



「そうですか、とりあえず車から降りてください。」



「わかりました。」



「このトレーラーに入っていただけますか?」



「これは一体何の検問でしょうか?」



「ご存じない?...これは最近、都心部の方で風邪のウイルスが流行ってまして

 かなり性質が悪いのでこの検査機で特定し駆除しているのですよ。

 まだ実験段階なのでデータ取るためにご協力お願いします」



「ああ、そういうことでした。どうぞ」



「はい、以上はないですね。どうぞお帰りください」



「そうですか。今日は娘の誕生日なんです。

 そんなウィルスをプレゼントにしなくてよかった...」



「ではお気をつけて!...はい、次!!」



「...おい、結果はどうだった?」



「1週間前から物質の降る中に居たんだろうが反応はなかったな。」



「外から持ち込むでなく、中から持ち出してなかったわけだ」



「娘の誕生日かぁ...明日からはここから出られないかも知れないな」



「所詮、住んでる住民は戻っては来るが出て行ったのには規制かけていない。

 これって既に手遅れかもな?それに戻る住民もただで済まないかもな...」




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