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近未来ストーリーG  作者: 活動寫眞
近未来ストーリーG
2/14

学校ノ怪談-給食室のシェフ-後編

【前回】

学生生活最後の月、悪魔が舞い降りた。

そいつは世にも恐ろしい“きまぐれシェフ”だった。

箸を通さず、スプーンで削り食うことが義務付けられている「冷製茶碗蒸し」

食べ切らないと明日を生きる希望も見えない。

そんな中、打開を図ろうと挑む生徒B、だが見事裏目に出てしまい

「追加注文」となってしまった。


-----------------------------------------------------------------


生徒B

「(なっ!結局、冷製茶碗蒸しを食せと促している!?

 その上、御代わり付きだ!これは!ただでさえ冷製が辛いのに

 その後待っているのは天国ではない・・・・・・地獄だ!

 や、やばい・・・俺の一言で自体が悪化したことで周りの生徒の目が怖い!

 ゆ、ゆ、許せ!お前らを救おうとやったことだ!分かってくれ!

 ああ、手の感覚も無くなってきたよ、どんだけ冷たい茶碗蒸しだ!

 目線も冷たいよ・・・いかん!これは何か俺を救う、全てを脱却する

 一発逆転打を出さねば、俺は残りの学生生活を!

 この冷たい牢獄という名の教室で過ごさねばならなくなる!)」


生徒A

「おばちゃん、入れてくれ」


生徒B

「(なっ!おまえ食ったのか!?やっぱ馬鹿だよ!

 いや、待てよ。これは奴が救世主に成り得るかも知れない。チャンスだ!)」


シェフ

「次からはシェフって呼びなよ、熱いから気をつけてね」


生徒A

「ありがとうよ、おば・・・ド----------ン!!」


生徒B

「(救世主伝説に幕が下りた・・・・・)」



生徒B

「(御代わりどころか皆のスプーンが止まっている。

 そりゃそうだろう。しゃりしゃり茶碗蒸しを食べるのも一苦労だが

 その後に待ち受けるは熱々茶碗蒸しだ。それもかなり盛られる。

 いつまでのこのこう着状態を維持するのも精神的にも肉体的限界だ。

 それにおばさんもいつまでニコニコしているか・・・

 そろそろ誰かが御代わりにいかねば)」


先生

「シェフ、御代わりだ!」


生徒一同

「(先生!!)」


生徒B

「先生が帰って来た!

 この暗黒時代において聖職者である教師、我らが担任が帰って来た!

 これほどまで存在感と眩い先生を見たのは初めてだ!見える!

 希望という光の先に未来が待っている!ああ、これほどまでに

 “御代わり”が心に響いたことはないなんと素晴らしい言葉なんだ・・・」


シェフ

「たんとお食べ♪」


先生

「ああ、食わして貰うよ、おば・・・ッドッゴォォォォォォォォォォォ-----ン!」


生徒B

「(救世主伝説に終焉・・・・・)」



生徒B

「(無理だ。完全に迷いの森に踏み込んでいる。

 見渡す限り俺を見る視線、そして殺意だ。

 このままでは飲み込まれて二度と這い上がれない闇に落ちてしまいそうだ。

 どうする?もう最後の手段に出るか?それしか無い・・・)


「シェーフッ!」


シェフ

「どうしたんだい?」


生徒B

「実は皆、昨日の家庭科実習で茶碗蒸し食べたんだよ」


シェフ

「そうなのかい?なんでそれを言わないんだい!」


生徒B

「だって、シェフの気持ちを考えると無下に断れないだろ?

 それにみんなシェフが好きなんだ!だから傷つけたくなくて

 でも、昨日あれだけの量の茶碗蒸しを食べたみんなが今日も食べるのは無理なんだ」


シェフ

「でも料理は同じでも味は違うわよ?食べれるわよね?」


生徒B

「(どんだけ食わしたいんだ!)

 いや、味が違うけどあれだけの量の後は無理だよ、あれだけの量は・・・」


シェフ

「そんなに量いったのかい?」


生徒B

「ええ、あんな量はまず有り得ない、あっては成らないってくらいにね!

 食べきらなくてテイクアウトして持ち帰ったくらいだよ。」


シェフ

「うーん、それは酷だわね。でもそれだけ好きなら食べれるでしょ?」


生徒B

「(耳の穴が貫通してるのか?

 初めから嫌がらせに来たのか?

 いい加減受け入れろよ!)


 確かに好きだよ、

 だけど最高の料理を前にして食べる側が最高の状態でないと

 その料理を楽しめないし、味わえないんだよ。

 シェフの料理を最高に感じたいじゃないか!」


シェフ

「そうなの?」


生徒B

「(少し迷いが出てきたアタックチャ---ンスゥ!)

 だから皆に悪いけど、今日はシェフのためにも食べないでくれ!

 その代わり、全て俺が食べる!」


生徒一同

「!?!?!?!?!?」


生徒B

「(ふっ、みんなすまない。さっきの失態を含め全て俺がこの積荷を背負う!

 希望を捨てるな!諦めるな!必ず勝機はある!

 そしてくれさえすれば、俺の最高のクラスメイトだったと俺の誇りだったと、

 あの世で自慢できる!俺の分まで生きてくれ!頼んだぞ!俺を裏切るなよ!

 ああ、みんなの目に希望という輝きに満ちている。

 俺は華々しく散ってくるぜ!)」


生徒A

「ちょいと待ちな!俺の分も食っちまう気かよ!」


生徒B

「おまえ・・・」


生徒A

「まだ暖かい茶碗蒸しを頂いて無いんでね、ねぇ、シェフ!」


先生

「それに一人で食うには多いだろ?俺にも食べさせやがれ!」


生徒B

「先生・・・」

先生

「お前、一人でこの量を食う気だったのか?」


生徒B

「男には戦わねばならぬ時があるんですよ」


先生

「ふっ」


生徒A

「俺は食いただけだ・・・ガツガツガツガツ」


生徒B

「やっぱお前、馬鹿だよ」


先生

「さっきから冷製茶碗蒸しと暖かい普通の茶碗蒸し食ってるが・・・マズイ」


生徒A

「俺は結構好きですけどね、母親よりマシです。」


生徒B

「どんな親なんだ?この味より酷いのか!?」


先生

「ところでお前ら、数時間経つが茶碗蒸し暖かいのは何故だ?」


生徒B

「確かに、いい加減、外は吹雪いてますね。なのに冷製にならない・・・」


生徒A

「そりゃ簡単ですよ」


先生

「ん?なんでだ?」


生徒A

「おばさんが感動した。良い食べっぷりだし、追加してやるって」


先生・生徒B

「おまえ、なんで言わねーんだよ!」


生徒A

「言えば食えなくなるじゃないですか。」


生徒B

「やっぱ馬鹿だよ、おばさんもよー!」


先生

「大体、どう説明すりゃ理解すんだあのばばあは!」



タタタタタタタタタタタタタタタッ、ガラガラガラ



シェフ

「シェフと呼べ---------いッ!」


3人

「なぁ-------------ッ!!」


( ̄□ ̄)( ̄□ ̄)( ̄

( ̄□ ̄)( ̄□

( ̄□ ̄)( ̄

( ̄□ ̄


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