学校ノ怪談-購買部小町と弟子-
この物語はフィクションです。
この学校には「購買部」が存在する。
文具、教科書、辞書、体操着、絵の具、そしてパンや飲み物。
学業に必要とされるありとあらゆる物が売られている。
そしてここには何十年も「購買部」を一人で支えて来たおばさんが居る。
若い頃には「購買部の小町」と男女共に教師たちからも憧れの美人であった。
・・・・・・あの悲劇さえ起きなければ。
【-1階・職員室-】
岸里徹は朝から悩んでいたい。
昼休みはどうすべきか、教師になる前から彼はこの学校の卒業生であり、
購買部でその日の気分でパンを選んで食べるのが楽しみであった。
しかし、今は少子化の影響と政策ということで給食が一部復活していた。
一部というのは、毎日行われている訳ではなく、隔週ごとだったり、
数日置きとランダムであるが、給食が用意される。
それは給食室に現れた悪魔のシェフによって校長も保護者も誰も何も言えない実権を握り
半ば強制であり、作るか作らないかも“きまぐれシェフ”であり、
出た時には絶対の御残し禁止である。残した者は学校から帰宅出来るとは思わないことだ。
その給食があるのか、無いのか、とても憂鬱であった。
丸美恵
「また例のことで塞ぎこんでるんですか?」
岸里徹
「あっ、すいません。つい・・・」
丸美恵
「気持ちは分かりますが、生徒を不安にさせたら駄目ですよ?」
横長史晃
「こっちも陰気な空気に感化されるわ!やめい!」
知間美礼
「がんばれ徹ちゃん!」
岸里徹
「ありがとうございます。」
・
・
・
【-3階・端教室-】
生徒A
「先生!今日は給食はあるんですかぁ?」
岸里徹
「うーん、何も連絡は着てない。校長も行方不明だし困ったよ」
生徒B
「勉強に集中できないぜ!」
生徒C
「おまえいつも授業中は寝てるだけだろう!」
生徒B
「バカヤロウ!学生にとっての昼食がどれほど大事なものか、
そして夕方のシゴキに耐えれるか命がけなんだよ!」
岸里徹
「授業中に静かにしてる分には僕は怒らないからね」
生徒A
「先生甘いですよ!」
生徒B
「わかっていらっしゃる!英気を養わないと部活の特待生はイカンのですよ。」
岸里徹
「怒らないだけで成績と内申書にはきっちり繁栄されてるから
そろそろ頑張った方が良いぞ?」
生徒B
「なっ!?」
生徒C
「自業自得だろ?」
生徒達が笑う、教師も先程のまでの不安を他所に静かに微笑む。
目先の不安に左右されない生徒の若さには勇気付けられる教師であった。
しかし、こんな世界で些細な日常は突然と壊れる予兆にしか過ぎない。
事件は起きた。給食室のシェフが国際的に決議された法を犯したのである。
それは、他の者の敷地を事前連絡もなく入ることは、陸・海・空のすべて了解審判を
無視した形となる。少しでも破れば国際機関からの審判員と最終審判員による
現地調査並びに20日間の業務停止命令と凍結処分となる。
【-国際機関-日本官房支部】
審査委員
「現在、PM12:10に了解審判をブロックA・シェフが敷地隣接の購買部に侵入確認。」
了解審査長
「直ちに公的機関との連携を図り、民間人の非難を優先。
我が了解審判部隊は、現場待機!」
館内放送
「内閣は緊急対策本部設置、近隣諸国の連携を甲・乙を発令。
沖縄付近に不審船が複数発生、自衛隊イージス艦とF15戦闘機をスクランブル要請。
了解、国際機関からの世界伝達を完了しました。」
【-リアルタイム購買部-】
購買部小町
「ここはアンタが来て良い場所じゃないんだよ?」
給食室のシェフ
「ちょっと通りがかったからファイルでも買おうと思ってね。
最近はレシピが湯水の如く溢れ出すもんだからさぁ!」
購買部小町
「わざわざ了解審判を破ってまで来る事じゃないだろ!
さっさと出てくれるかい?学校が乱れる!」
給食室のシェフ
「おお、怖い!客に向かってなんて事を・・・
そんなんだから生徒達が横柄な態度を取るんだねぇ
大人が見本を見せなきゃ駄目だよ?今は年老いた小町ちゃんは!」
購買部小町
「これはご丁寧に喧嘩を売りに来たとは・・・
物を売るのが商売だけど、今回ばかりは世のため、人のためにも買わせて頂くよ!」
給食室のシェフ
「購買部なんて要らないんだよッ!健康を考えた給食を食べれなくしてんだろッ!」
購買部小町
「それはアンタの給食が普通に不味いだけだよッ!」
給食室のシェフはその場で左ターンをすると、首元に白いナプキンを装着。
左手にフォーク、右手にはナイフを持ち構えながら購買部小町に振り下ろす!
購買部小町はその場で右ターンをすると、レジ後ろの棚に置いてあった
右手で教材用の大きなコンパスを取り左手でチョークを装填、
左足を床に叩きつけると同時に大きな分度器が垂直に上がり右手で掴み構える!
給食室のシェフのフォークは購買部小町のチョークを弾き粉が飛ぶ。
購買部小町の分度器で給食室のシェフのナイフを刺さらせ止めるが、
まだ給食室のシェフのフォークが生きている!
多少の勢いを失ったとは言え、フォークは異様な輝きを出しながら購買部小町へ襲い掛かる!
だがそれも計算の内だった購買部小町は、チョークを失ったコンパスの反対側の針で応戦。
給食室のシェフのフォークの2つ又の間に収まり動きを止めた!
給食室のシェフ
「やるじゃないか!・・・・・・でもこれはメイン用のフォークだが、
まだデザート用もあるよッ!」
給食室のシェフは右手のナイフを手放し、懐にギラつく色を見せ抜いたと同時に、
購買部小町は後ろに体重を反らせて思いっきり左足で床の文具を押し出す。
前方によろめいた給食室のシェフは右のスネに激痛が走る。
給食室のシェフ
「ぎゃあああぁ!・・・・・・そろばんかッ!」
購買部小町
「おっと、失礼!左手でナイフはマナー違反だよ?」
給食室のシェフの左足は痛みを伴いながら後ろに浮いている。
脂汗を垂らしながら、もう一度だけ上半身に勢いをつけて右手を繰り出す!
購買部小町も左手の分度器を盾に出す!
「そこまでですッ!」
給食室のシェフのデザート用ナイフは、購買部小町の分度器を粉砕して貫き、
左眼前数センチで止まり、購買部小町の右足から繰り出された大きな三角定規は、
給食室のシェフの首元に数センチで止まっている。
両方の一打を割って入り、互いの先端近くを指で掴んで止めたのは一人の少女であった。
給食室のシェフ
「こんなギリギリで止めるなんて野暮だね!」
購買部小町
「今更なにをしに戻った?」
チャイナ服少女
「師匠の元で働くために修行から帰ってきましたッ!」