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Ⅰ 町の少女

 惑星の名は、黄原球こうげんきゅう


 黄原球暦768年。夏季。


 ゴルド・グランド・ポイント055(ひとまるごご)。


 地名は『スオムセ』。カメレオンそっくり且つ等身大の人間よりデカイ図体のソレを家畜とし、運搬車を牽引する動物が生息している。


 ヘウロー。それがカメレオン型動物名称。


 一番に可愛がっているティノという少女のお気に入りの家族であった。そのヘウローは牝でペット名を『ルーソル』。


 付けたのは主のティノなのは当然のこと。


 このスオムセの町は、事件性のない実に穏やかな世界であった。



 ある日、ポイント079(ひとまるななく)『スデム』の 方からティノくらいの年代の子供たちが群を束ねるヘウロー騎乗隊が、スオムセに到着した。


 ゲートガーディアンたちが、騎乗隊の団体を引き止めた。



「通行許可証はどうしたのだ?」


「その証明ですが、ヤグフス様の目とガーディアンに言えば判るみたいです」



 先頭の少年がガーディアンに奇妙な応対をした。


 首をかしげるガーディアンの一人。



「ヤグフス様? おい皆、この名前知ってるか?」


「確か、南南東の島にヤグフスというヘウロー駆りがいると、風の噂で聞いたことあるぞ」


「お前ら子供だけで南南東に進むのか?」


「助力を受けるように伝言にしたがったのです」


「ならば、国の進入を許可しよう」


「ありがとうございます」



 ヘウローの頭数が多いのか、隊の行進は国民たちの注目を浴びた。


 そうでなくても頭はカメレオン、背中は亀の甲羅、胴体と四肢ししは象なので、注目の的になるのは当然のことだった。



『グィー……グゥーフー!!』



 牝のヘウローであるルーソルが町中まちなかで乱れた。



「おとなしくなさい、ルーソル!!」



 実祖父と共にルーソルを牽いたティノ。町中で大量の買い物をするためにルーソルを連れてきたらしい。



『グィー!! ガッガー、ギヒヒェー』


「どう、どうっ!! 待て!! どうした、レイフリー」


『グゥフー!!』


「ルーソル!! 他のヘウローと出会って騒がないの!!」



 と、ティノはルーソルに鞭討った。


 やっとおとなしくなった二頭。



「一時はどうなるかと思った……そこのお嬢さん、本当にありがとうございました」


「いいえ、とんでもございません」


「おい、ティノや」


「なあに? お爺ちゃん」


「簡単に他国の民と会話しちゃあかん、あかんぞ!!」


「……でも」



 ヘウロー隊の一行は、一列に保って再び進行しだした。



「それじゃ、お嬢さん失礼した。……では」



 先頭の少年にお辞儀をし、見送ったティノ。


 そんな態度の孫を気にかかる祖父。見ていられず両のまぶたを閉じた。


 ティノは、何を思ったのか、呟いた。



「あの先頭の人……名前聞いておきたかったなぁ」

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