家族の言い訳
メグミ16歳 ⑥
おかげで私も家出することになった。
まあ家出は家出らしくやらねば、あの二人に効果はないだろう。
淫乱ママとボンボンパパ・・・
しかも、おばあちゃんの遺産に目がくらんでいる悪魔たち。
私は、北海道のある町に向かった。
そこは、無人駅で・・・降りても閑散としている。
「メグミ・・さんだね」
シワシワのおじいさんが、待っていた。
この人が、おばあちゃんと駆け落ちしたジュンジじい。
ボロイ軽トラで、田んぼの中を進む。
すると、結構モダンな建物が見えてきた。
二階建ての病院。
そこに、おばあちゃんはいるらしい。
「着いたよ」
ジュンジじいは、寡黙で、あまりしゃべってくれない。
彼についていき、203号と言う病室に入った。
すると、低い音で、ジャズをかけながら、本を読んでいる老婆が・・・
「幸子ばあちゃん??」
「誰かね」
ジュンジじいが言う。
「ああ・・・メグミちゃんだよ」
「・・・・どうして」
「孫だから」
「・・・・そう」
おばあちゃんは、やさしい目をこちらに向けた。
「はじめまして、メグミさん」
この人のDNAの1/4が私の中にある。
でも、この人の上品な感じは、私にはゼロな気がした。
DNAより育ちってやつだな。
その雰囲気、オーラに、私はリスペクトを感じていた。
「おばあちゃん・・・」
目から涙が、止まらない。
メグミのパパ ③
脅迫状が届いた。
郵便物に交じってるからわかりにくいものだ。
あけると、古典的に新聞の切り抜きで文字が・・
「おばあちゃんは誘拐した」
消印は北海道・札幌。
あのジャズじじいは、ただ愛の逃避行ってわけじゃなかったのだ。
「1週間後までに5億用意しろ」
ほぼおばあちゃんの遺産の額だ。
どうすればいい。警察?かな?でも脅迫は、警察にはひみつは原則だし。
それで母親が殺されたりしたら???
いや、遺産がはいるぞ!
いかんいかん、何を考えてるんだ、俺は!
どちらにしろ、警察だ。
こういう場合テレビでは、犯人の監視でわからないように
何とかしてくれるものだ。
なので、この前電話で担当してくれた船越警部にコンタクトした。
すぐに宅配便のコスチュームを着た警部が来た・・・
その時驚いた。
船越警部は、その名の通り、船越英一郎そっくりだったのだ。
おかげで、犯罪現場と言うより、二時間サスペンスの雰囲気。
2時間ほど相談し、結果、北海道に飛ぶことになった。
まあいいや・・どうせリストラで家族に言えてない身分・・・堂々と生きられる
「じゃあ、お願いね」
なんと、妻は最初から、来ないつもり、いや行く気など微塵もない感じだった。
まあ仕方ないので、1人翌日一番早い便で、札幌に向かった。