表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ウィッチ☆プリンセス 過去編

第7話「大好きの思い出」

作者: 園 詩音

その後隼人はおじさんと、おばさんに連絡をしてくれて、電話越しにおばさんに怒られちゃったけど凄く心配してくれてたみたいで泣いていたんだ…。


私もおねいもパジャマを汚しちゃったから着替えを取りに一渡私達の家に戻る事にしたの。


たった数日戻らなかっただけなのに何だか凄く懐かしくて…こっそり泣いちゃったのは内緒。


だけどふと目に入ってきたのはリビングのテーブルの上に置かれたままのおねいが作った沢山のご馳走…。そっか、ママが帰って来なくてバタバタしてたから、ずっとあのままだったんだ…。


食べたかったなぁ…。せっかくおねいが沢山作ったのに。


おねいが作ったご馳走を見つめて、涙を浮かべる私に気付いたおねいはにこりと微笑む。


「あのお料理は仕方ないよ。またママが帰って来たら、沢山作るから皆で一緒に食べよ?ね?」


おねいはまるで自分に言い聞かせるようにそう言うと、ご馳走の後片付けをしようと、ハンバーグのお皿に手を伸ばそうとして…隼人がそのおねいの手を掴んだ。


「あ、あの、隼人さん…?」


「待て。今腹が減ってんだ。俺が食う」


「で、でも数日前のですし、お腹壊しちゃいます…」


「腹を下した時は薬飲んで寝てりゃ一日で治る」


おろおろするおねいを無視して、隼人はそそくさと冷えたおかずをレンジで温めて、凄い勢いで食べ始めたの。


驚いた私とおねいはそんな隼人をぼんやりと見つめる事しか出来なかったんだ。

沢山あったご馳走をあっという間に平らげた隼人は少しだけ…ほんの少しだけ優しく笑って言ったんだ。


「旨かった。また飯、作ってくれるか?」


「っ…はいっ!」


おねいは目にいっぱい大きな涙を浮かべて、すっごく嬉しそうな顔で頷いたんだ。


これがね、私達と隼人の今でも忘れられない大事な思い出なの。



結局ママは見付からず月日だけが過ぎていって、3年間ずっとおばさん達のお家にいたの。

でもね、隼人が高校を卒業した後に私達の面倒は俺が見るって言ってくれて…隼人は高校を卒業してすぐに働きはじめたんだ。


それから少しして小さいアパートのお部屋を借りて、3人で住む事になって…今にいたります!


だけどどうして森に迷い込んだ時、動物さん達とお話出来たんだろう?隼人に聞いてみたら、私を見付けた時は私一人しかいなくて、切り株の上で毛皮を被って寝ていたらしいの。


あれ以来おばさんやおじさんからはもうあの森には行っちゃダメだって言われてたから、動物さんとは会えてなくて…。


だけど今も満月の夜になると、皆、集まってパーティーをしている気がするんだ。


それにね、あの時うさぎさんが言っていたのはもしかして隼人の事なのかなぁ…なんて、えへへ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ