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悪魔倶楽部  作者: ぴらみっど
激動編
176/359

暴く者



「見事。よくぞ我々(・・)のイカサマを暴いた」

 フルカスが樹流徒に向かって拍手を送る。それを見たゴグマゴグも取って付けたように手を叩き始めた。

 特殊ポーカー・裏道化師は、フルカスの反則負けという形で、いま決着したのである。


 ささやかな拍手が鳴り止むと、樹流徒は瞳だけを動かして悪魔たちの顔をさっと見た。

「我々……ということは、やっぱりゴグマゴグも反則行為に絡んでいたのか?」

「まあね」

 ゴグは答えてから、人差し指でカードの一枚をトントンと叩く。

「フルカスは裏道化師専用のカードを持ってる。別のトランプを出したときは“イカサマをする”って合図なんだよ。今回オレたちが使ったカードも、もちろんイカサマ用だ」

 と、裏を明かした。


「それにしても、キルトがこれほど早くゲェムを攻略するとは予想外だった。イカサマを暴くにしても、もう少し時間がかかると予想していたのだが」

 フルカスはそう言って、眼下に置かれたカードを一枚拾い上げる。

 樹流徒が何気なくそちらへ視線を移すと、彼の目の前で奇妙な現象が起こった。フルカスが掴んだカードの表面が動き出したのだ。そこに描かれていたダイヤの10が、コーヒーの中で溶けるミルクのようにぐにゃりと歪んで、スペードの8、ハートのAと、次々と図柄を変えてゆく。


「これがイカサマの正体か」

 樹流徒はカードに目を落としたまま言う。

「そう。キルトの推理どおり、私は手に触れたカードを別のカードに変化させられる。今回使用したトランプは、私が現世の品に手を加えて作った改造トランプでな……私の魔力に反応して自在に図柄を変えるようになっているのだ」

「やっぱり、そういう仕掛けだったんだな」

 樹流徒は自分の憶測が当たっていたことに若干の満足を覚えつつ

「でも、変えた図柄はどうやって元に戻るんだ?」

 まだ解決していない謎について尋ねる。

「カードに込めた私の魔力は時間の経過とともに薄れる。それによりカードの変化も解除される。要するに、時間が経てばカードは勝手に元の図柄に戻るのだ」

 その説明で、樹流徒は全てを納得した。


「それより、キルトこそ一体どういうトリックを使ったんだ? このままじゃ気になってしょうがないよ」

 ゴグが興味深々といった様子で尋ねる。

「ああ、それは……」

 樹流徒はゴグの期待に応えて、自分が仕掛けた罠について洗いざらい喋った。


「まさかニンゲンが念動力を使うとは思わなかったな。オレたち悪魔ですら使い手は少ないのに」

 説明を聞き終えたゴグは疑問が解けてすっきりしたように言って、ジュース缶の蓋を開ける。

「我々が甘かった、としか言えぬな。キルトはこの地下の暗闇でも目が利く能力を持っている。ほかにも能力があるかも知れない、と警戒すべきだった」

 フルカスは指先で髭をつまんで撫で下ろした。

「でも、靴の下に隠したカードを囮にしたり、念動力を使うために落ち込む演技をしたり、あの状況で良く考えたよ。それは特殊能力とは関係ないからな」

 言い終えて、ゴグはジュースを一気に飲み干した。


「やっぱり罠を仕掛けたあとはドキドキしてたの?」

 マゴグが当時の樹流徒の心境を尋ねる。

「もちろん」

 樹流徒は首肯した。罠を仕掛けてから勝負が決まるまでの十数分は、とても心臓に悪い時間だった。本命の罠が見付からないか、ずっと不安だった。


 思い返せば、今回仕掛けた罠が上手くいったのは、フルカスの優れた判断力に助けられた部分もあった。

 樹流徒が床から拾ったカードをほかのカードと混ぜようとしたとき、それをフルカスが制止した。拾ったカードに細工が施されていないかどうか、シャッフルの前に確認するためだ。

 結果的に、あの素早い判断が、樹流徒にとって都合良く働いてくれた。もしシャッフルを終えたあと、フルカスがトランプの束を調査していたら危なかった。カードが一枚足りないことに気付かれる恐れがあるからだ。ガントレットに隠したカードの存在を知られたら万事休すだった。フルカスが早く疑ってくれて、逆に樹流徒は救われたのだ。


 しかし、そのあとも樹流徒がやきもきする時間は続いた。別のプレーヤーがトランプの束に触れるたび、カードが一枚欠けていることがバレないかと神経をすり減らされた。マゴグの言葉を借りればドキドキしていた。

 だから最後のゲームでクラブの2が自分の手に舞い込んだときは、思わず安堵の吐息を漏らしたのだった。


「そっか。トランプの束を調べれば、カードが全部揃ってるかどうかなんて、すぐに分かるよな。なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろ」

 ゴグが心なしか悔しそうに言う。ただ、それ以上に嬉しそうだった。まるで手品の種明かしを聞かせて貰った子供のように、大きな瞳を輝かせる。


「キルトが突然シャッフルを失敗した直後だったせいだろう。あの慌ただしい展開の中で、ゴグが通常の判断力を発揮できなかったのは仕方ない。それに私のせいでもある。キルトが床に落としたカードだけを疑って、ほかのカードを調べなかった。あの行為が、私だけでなく、ゴグの樹流徒に対する疑いも一緒に払拭してしまったのだろう」

 フルカスはそのように分析した。

「ふうん。みんな色々考えてたんだね。ボクなんてただぼーっと見てただけなのに」

 マゴグが他の三名に感心する。


 これで、互いの手の内と心境が大体明らかになった。

 頃合を見計らったように、フルカスが少し真剣な顔つきになる。

「さて……キルトよ。良くゲェムに集中したな。おぬしの死相はもう消えたから安心しても良いぞ」

 と、告げた。


 樹流徒は「そういえば」と呟く。

 フルカスが今回のゲームを始めた目的は、樹流徒の死相を消すためという話だった。しかし、それを当の樹流徒自身がすっかり失念していた。相手のイカサマを暴こうと必死になっているうち、いつの間にか忘れてしまったようだ。

 その事実を素直に伝えると、フルカスはボロ布の下に隠れた瞳をやや細めた。

「それでいい。目の前の出来事に集中するのは大切だ。ゲェムを始める前、おぬしはほかの何かに気を奪われ、非常に危うい状態だった。あのまま戦地に臨めば、命は長く持たなかっただろう」

「正直、僕にはそういう話は良く分からない。でも今は少しだけ気持ちがすっきりしたような感じがする」

「うむ。おぬしはゲェムを通してかなり冷静さを取り戻した。今ならば、キルト本来の実力が出せるはずだ」

「ああ」

 樹流徒は相手の言葉が信じられた。例え根拠が無くても信じられたと思うが、フルカスやゴグマゴグがベルゼブブの手先でないと分かったから、余計に疑念が湧いてこなかった。


 そう。今この場にいる三体の悪魔は、ベルゼブブの一味ではない。それはゲームの中で十分明らかになった。

 仮にフルカスたちがベルゼブブの仲間だとしたら、少しでも長い時間樹流徒を足止めしようとする。そのために、なんとしてもイカサマを隠そうとしたはずだ。しかし、フルカスたちはイカサマを隠すどころか、樹流徒にいくつものヒントを与えていた。


 例えば、フルカスの手札五枚交換がそうだ。樹流徒が三連勝するためには、ゴグが親のゲームから勝ち続けるパターンしかなかった。それ以外の場合はフルカスが親のときに連勝を止められてしまう。

 となれば、ゴグが親のゲームで樹流徒以外のプレーヤーが勝った場合、再びゴグに親が回ってくるまで、フルカスは無理に勝つ必要はない。手札の五枚換えをする必要がないのだ。

 にもかかわらず、フルカスは自分が親のとき以外は全て五枚換えをした。「ゲームにイカサマが潜んでいる」と樹流徒に伝え続けていた。


 また、反則行為を悟られないためには、自然なゲーム展開を作らなければいけない。それなのに、フルカスが親のときは毎回派手な逆転劇が起きた。あれも「イカサマを疑ってくれ」と言っているようなものだった。


 他にもある。マゴグがジュースをこぼしたカードは裏側からでも判別できるようになっていた。なのに、フルカスは第九ゲームで、ジュースの跡がついたハートの7をクラブの3に変えた。樹流徒にイカサマの決定的証拠を与えたのだ。もしかするとマゴグがジュースをこぼしたのも(あらかじ)め決められていたことなのかも知れない。


 ベルゼブブの仲間がそんなことをするはずがなかった。フルカスの目的は、決して樹流徒の足止めなどではなかったのだ。


「実を言えば、キルトが五枚交換の秘密を見破った時点でこのゲェムは終わりにするつもりだった。しかし、おぬしがどのような方法で我々のイカサマを暴こうとするか興味があった。だからゲェムを続けさせてもらったのだ。済まぬな」

 最後、フルカスがその事実を明言した。


 そろそろ語るべき言葉は出尽くしたかも知れない。また、樹流徒は先を急ぐ身だ。

「じゃあ、僕は行くよ」

 彼は椅子から立ち上がった。道の先を見ると、行く手を阻んでいた黒い壁はもう無い。フルカスの魔空間はいつの間にか消滅していた。


「結構良い暇つぶしになったよ。また、どこかで会えるといいな」

 ゴグが片手をさっと上げる。

「ボクも楽しかったよ。今度はイカサマなしで遊ぼうね」

 マゴグは両手を大きく振った。

「裏道化師というゲェムには本来のルールがある。今回は毎ゲェム必ず裏ジョーカー表示カードを確認したが、通常ルールでは親が表示カードをめくるか否かを決められるのだ。それにより駆け引きは一層面白くなる。また縁があったら、今度は本物の裏道化師で勝負しよう。無論、チップを賭けて」

 最後、フルカスが髭の下で隠微な笑みを浮かべた。


「ありがとう。約束だ」

 ベルゼブブを倒して、魔都生誕の秘密を全て暴いたら、またこの悪魔たちに会いに行こう。

 樹流徒はそう決めて、走り出した。心に渦巻く焦りや不安が全て消えたわけではないが、今は目の前の景色が鮮明に広がって見えた。



 樹流徒がいなくなってしばらく経つと、テーブルの上にはまだトランプが散らばっていた。

 三体の悪魔たちは引き続きギャンブルに興じている。


 その最中、ふと思い出したようにマゴグが口を開いた。

「ねえ、キルトに本当のこと教えてあげなくて良かったの?」

「本当のこと?」

 ゴグが小首をかしげる。

「だって、このトランプ、本当はなんの仕掛けもない普通のカードだよね」

「ふむ、そのことか」

 フルカスが答えた。


「そう。おぬしの言うとおり、このトランプは今日現世で手に入れたものだ。私が改造したカードというのは嘘。私の魔力に反応して図柄を変えるというのも全くの嘘だ」

「だって、イカサマの正体はフルカスの魔空間だもんな」

 とゴグ。

「うむ。今さらお前たちに説明する必要はないかも知れぬが……私の魔空間には“簡単な幻覚を生み出す効果”がある。私はその能力を使い、カードの図柄を操った。変化したカードの図柄は全て、魔空間が生み出した幻に過ぎないのだ」

「その気になれば、フルカスは親以外のときもゲームを支配できたってわけだな。本当は離れたカードの図柄だって自由に変更できるんだから」

 言いながら、ゴグはカードをシャッフルする。

「それを黙ってたボクが言うのもなんだけど……どうしてキルトに嘘ついたの?」

「いずれキルトと再会したときにタネ明かしをして驚かせたいのだ。私は何事もあとの楽しみに取っておくのが好きなのでな」

「なるほどね。フルカスも良い性格してるよなぁ」

 ゴグがからかうように笑った。

 フルカスは笑みを返して

「ところで、おぬし……。なぜ第十二ゲェムでシャッフルに失敗したのだ?」

 話題の矛先をマゴグに移す。

「ん?」

 黒猫の悪魔は少々間の抜けた声を発した。


「とぼけても無駄だぞ。第八ゲェムでおぬしがジュースをこぼしたのは予定通り(・・・・)だった。しかし、第十二ゲェムのシャッフル失敗は本来の筋書きとは違う。あれはおぬしが自分の意思で取った行動だ。恐らく、キルトにゲェム攻略のヒントを与えるために」

「そうそう。オレもソイツを聞きたかったんだ。マゴグがいきなりシャッフル失敗するから、思わず笑っちゃったよ。明らかにワザとやったって分かったからな」

 ゴグの興味もマゴグに移った。

「そっか。だからあのとき、ゴグもフルカスもニヤニヤしてたんだ」

 マゴグは眠たそうに頭を揺らす。


「で? なんであんなことしたんだ?」

「うーん。なんでかなあ?」

 マゴグは頭の後ろを掻いた。

「自分でも良くわかんないんだけど……ボク、キルトをちょっとだけ助けてあげたくなったんだ」

「だから、わざとシャッフルを失敗したってのか?」

「うん。イカサマを暴く何かのヒントになるかも知れないと思ったからね」

 マゴグは首肯する。

「確かに、あのニンゲンにはどこか肩入れしたくなる不思議な雰囲気があった。我々悪魔を惹きつける魅力を持っているかも知れんな」

 と、フルカス。

「オレは別にそこまでは感じなかったけどな。ま、ちょっとイイヤツだと思ったけどね」

 ゴグが半分同調する。


 ここで、マゴグが「あ、そうだ」と顔を上げた。

「ねえ、フルカスって占い得意だよね? キルトの未来とか占えないの?」

 妙案を思いついたように言う。

「おいおい。よほどあのニンゲンが気に入ったみたいだな」

「そうじゃないけど、単に興味があるんだよ」

 と、マゴグ。

 フルカスは「うむ」と小さく頷き

「では、ひとつ占ってみようか。私も多少は興味がある」

 と言って懐に手を忍ばせた。


 ゴグマゴグの注目を受けながら、フルカスは懐から何かを取り出す。それはトランプのケースをひと回り大きくしたような、長方形の箱だった。


「あ。それ、タロットカードだよな?」

 トランプの束をテーブルの隅においやって、ゴグが尋ねる。

「ご名答。ニンゲンが使う占いの道具だ」

 フルカスは答えて、ケースの中から二十枚くらいのカードを取り出した。通常、タロットカードは全部で七十八枚のカードがあり、二十二枚の大アルカナと、五十六枚の小アルカナに分かれている。恐らく、フルカスが取り出したのは大アルカナのカードだった。それだけでも十分に占いが可能である。


「そのカードでキルトの未来を占うの?」

「うむ。このタロットこそ私が改造したものだ。占いの的中率は保障しよう」

「へえ。じゃあ、キルトの次はオレも占ってくれよ」

「構わんが、占いは一日一回までと決めている。ゴグは明日占ってしんぜよう」

「残念だけど明日は無理だな。ガルダと会うんでね」

「ほう、ガルダと?」

「うん。アムリタを数滴分けてくれるらしい。それをバーバ・ヤーガに買ってもらうんだ」

「なるほど。良い値で売れそうだ」

 フルカスは得心したように頷いた。


「では、これからキルトの未来を視る。占いには高い集中力が必要だ。ゴグマゴグは少しのあいだ黙っているようにな」

 フルカスはそう言って、タロットカードの束の上に手を添えた。続いてそっと瞼を閉じる。

 ゴグマゴグはフルカスの言いつけを守って、無言でテーブル上を見つめた。


 程なくして、フルカスの瞳が静かに見開かれる。

 老騎士はカードの頭上に添えた手の人差し指をピンと弾いた。それに押し出されたかのようにカードの束から数枚が飛び出して、ひとりでに宙を滑る。


 六枚のカードが三角形と逆三角形の頂点に位置し、六芒星の形を作った。最後に、六芒星の中心で七枚目のカードがぴたりと静止した。


 それを見届けたあと、フルカスはカードの頭上に添えていた掌をゆっくりと裏返す。

 動きを合わせるように七枚のカードが一斉にひっくり返った。それぞれのカードに描かれた図柄が(あらわ)になる。


 三角形の頂点には世界と、審判と、刑死者のカード。

 逆三角形には悪魔と、塔と、皇帝のカード。

 そして六芒星の中心には月のカードが、現れた。


「で、どうなの?」

 ゴグが占いの結果を尋ねる。

「おお、これは……」

 フルカスの細い瞳がかッと見開かれた。前のめりに大きく曲がった背中が、些か大げさに思えるほど反り返る。

「どうしたの? そんなにビックリして」

 マゴグの赤い瞳がフルカスの顔とタロットカードの中心を往復した。

「まさかキルトが死ぬとか言い出さないだろうな? せっかく死相が消えたのに」

 ゴグが不吉なことを言う。


 フルカスは後ろへ反った背中を再び前屈みに戻す。

「ゴグマゴグよ。もしかすると我々とキルトの出会いは、世界の運命を変えたかも知れぬぞ」

 と、今までになく興奮気味な口調で言った。

「え。なにそれ?」

「我々と出会う前のキルトには、近い将来死が訪れる運命がまとわりついていた。しかしゲェムを通してキルトは冷静さを取り戻した。それにより彼の運命が変わったのだ」

「それは分かってるよ。でも、キルトの運命と世界の運命になんの関係があるのさ?」

「真ん中に“月”のカードがあるだろう? これは“見抜く者”のカードだ。また、それらを囲むカードの数々……。キルトはいずれ、我々悪魔と天使、そして世界の、隠された真実を掴むことになるかも知れぬ」

「うーん……。いくらなんでも、占いの結果を大げさに解釈し過ぎじゃないか?」

「本音を言えば私も同感だ。しかし、占いは確かにキルトを“世界の秘密を暴く者”と告げている」

「ボクは信じるけどなあ。そっちのほうが夢があって良いもん」

 マゴグは言って、新しいジュースの缶を開けた。


「さっきも言ったが、占いの的中率は保障しよう。ただ……」

「ただ?」

「今回の占いでひとつだけ分からないことがある」

「なにが?」

「実は、このカードだけ、どうしても意味がつかめないのだ。今まで数え切れないくらい占いをしてきたが、こんなことは初めてかも知れない」

 そう言って、フルカスはカードの一枚を指差す。


 彼が指し示したのは“塔”のカードだった。そびえ立つ塔に雷が降り注ぎ、人間が落下している絵が描かれている。見るからに不吉そうなカードだった。


「私には、この塔のカードが非常に大きな鍵を握っている気がしてならない。この一枚からは、何か嫌な予感を覚える。キルトだけではなく、もっと多くの者の未来を左右するような、巨大な気配を感じるのだ……」

 フルカスはそう言って、何かに取り憑かれたかのように、しばらくのあいだ塔のカードを見つめていた。




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