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悪魔倶楽部  作者: ぴらみっど
激動編
163/359

翼の鎧



 黒い砂が爆発的な勢いで広がり、柝雷(さくいかずち)を中心に半径十数メートルの空間を覆い尽くす。その範囲内にいた樹流徒もまた例外なく闇の中に飲み込まれた。


 いかに魔人の体が特殊とはいえ、毒の海に溺れれば無事では済まなかっただろう。樹流徒は即座に魔法壁を展開し、かろうじて最悪の事態を免れていた。七色に光り輝く防壁が黒い砂を完全に遮断する。

 樹流徒は闇の中心に向かって鋭い視線を投げた。命拾いをしたからといって安堵している暇はない。敵を倒したわけではないのだ。


 柝雷の体から溢れ出した黒い砂は大地に降り積もり、芝生を枯らし、最後はまるで雨水のように土の底に染み込んで跡形も無く消え去る。

 樹流徒の全身を守る魔法壁が消滅した。それと動きを合わせるように、黒く色づいた巨人の肌が本来の土気色を取り戻す。毒を散布したことで肉体の変化がリセットされたのだろうか。


 樹流徒の心に緊張が走る。柝雷が再び毒を撒けば、魔法壁を連続使用できない樹流徒に逃れる術は無い。殺到する黒い砂は今度こそ彼の全身を蝕み、命を奪うだろう。


 しかし柝雷はそれを実行しなかった。しなかったというより、できなかったのだろう。柝雷は好戦的な性格をしているが、わざわざ勝機を見送ってまで戦いを長引かせるようなタイプではない。殺気が込められた巨人の攻撃を何度も受けた樹流徒にはそれが分かっていた。柝雷はこの場で勝負を決められるならば躊躇(ちゅうちょ)なく実行していた。毒を散布できるものならばしていたはずだ。それをしなかったということは、できなかったのと同義である。


 土気色に戻った巨人は、手に持った異形の剣を振り回す。樹流徒が後ろへ跳ねて攻撃範囲から逃れると

「チョロチョロ逃げ回るンじゃねえ。かかってこい」

 怒号を放ち、苛立ちを(あらわ)にした。


 言われるまでもなく、樹流徒は攻撃を仕掛けるつもりだった。いつもながら時間が惜しい。できればすぐにでも敵の懐へ飛び込みたかった。


 ただ、柝雷の肉体には“傷を受けるたびに皮膚が変色して硬くなる”という厄介な特性が備わっている。それを考えると、下手な攻撃はできなかった。

 幸いにも現在柝雷の肉体は外見で判断する限り初期の状態に戻っている。今ならば樹流徒の攻撃も通じるだろう。故に、彼は何とか次の一撃で確実に勝負を決めたかった。その機を狙うためには多少慎重にならざるを得ない。


 異形の剣が力強く打ち下ろされる。樹流徒は後方へステップを踏んでかわした。その後を追った柝雷は標的を攻撃範囲に収めた瞬間に凶刃を横になぎ払う。

 樹流徒は前方に跳躍して巨人の頭上を軽々と飛び越えた。続いて柝雷が振り向きざまに放った剣閃を素早いバック転で回避する。そのままバック転を連続で繰り出して相手から距離を取った。


 柝雷は歯軋りを鳴らして地面を蹴る。高く宙を舞い、樹流徒の頭頂部めがけて剣を振り下ろした。この荒荒しい一撃を、樹流徒は横に転がって難なく回避する。標的を逃した巨大な剣は、樹流徒の頭蓋を砕く代わりに芝を押しつぶして土にめり込んだ。


 柝雷は刃を引き抜くと、すぐに駆け出す。剣を横に振り払った。

 樹流徒は余裕を持って後方へ飛ぶ。これならば確実に回避できる、と瞬時に直覚した。


 が、その認識はとんだ誤りだった。柝雷の口元が不敵な笑みを浮かべる。それに樹流徒が気付いた時、巨人の手中から剣の柄がするりと抜けた。手が滑ったのではない。剣を振ると見せかけて投げたのだ。


 柝雷の手元から離れた武器が樹流徒めがけて飛ぶ。樹流徒は不意を突かれたが、体を捻って何とか回避に成功した。異形の剣は彼の腕をかすめて通り過ぎる。

 ただ、柝雷の攻撃はまだ終わっていない。体勢を崩した樹流徒に向かって土気色の巨躯が凄まじい勢いで突っ込んだ。最初からこれが本命だったのかも知れない。


 大岩のような拳が樹流徒の顔面めがけて振り抜かれた。回避は不可能。樹流徒は苦しい体勢からつま先で地面を軽く押して後方へ下がりながら、肩を上げて顔を守るのが精一杯だった。


 柝雷のパンチが相手をガードごと吹き飛ばす。樹流徒の体は芝の上を跳ねて、転がる。後ろに跳んでいた分だけ衝撃を軽減することができたが、それでもかなりのダメージを受けた。肩から腕に向かって痺れが走り、ガードを突き抜けて伝わった衝撃が口内を切った。舌の上に血の味が広がる。


 柝雷は得意そうな顔をすると、投擲した剣の元に歩み寄り、拾い上げた。その間に樹流徒は体勢を立て直す。彼が息つく間もなく、巨人が走り出した。狂ったように剣を振り回し始める。


 樹流徒は敵の激しい攻撃を何とかやりすごしながら、引き続き反撃の機を窺う。柝雷に攻撃できるのはたったの一度だけ。敵に接近してからトドメを刺すまでのイメージを頭の中で何度も繰り返しながら、それを実行に移す時を待つ。覚悟はとっくに決まっていた。最悪、肉を斬らせて骨を断つ戦法になっても構わない。あとはただ実行あるのみ。


 そして異形の巨剣が空を切るのも次で何度目かという時――

 戦いの流れが変化を失い、にわかに弛緩した空気が漂い始めたその隙を、樹流徒は突く。彼は意を決して勝負に出た。横へ飛ぶフェイントを一回入れたあと、脚の瞬発力を爆発させて敵めがけて駆け出す。


 しばらくのあいだ一方的に攻めていた柝雷は驚いた顔をして、異形の剣を斜めに振り払い樹流徒の接近を妨害した。防衛本能が働いて反射的に行動したのだろう。


 樹流徒は足にブレーキをかけて急停止した。敢えて紙一重で敵の攻撃を避けようとしたが、目測を誤って刃の先端を眉間に受ける。まだ巨剣のリーチに慣れていなかったことが災いした。

 しかし樹流徒は構わず、相手の剣が振り切られた瞬間に神速の足技で柝雷の懐一歩手前まで入り込む。同時に腕を引いた。


 この一撃で勝負を決める。樹流徒の覚悟に応えるように、彼の全身に走る電気回路のような細い線が赤く点滅する。体内に力が(みなぎ)った。

 渾身の一撃が放たれる。樹流徒の腕が、爪が、稲妻の如く空を裂いた。フラウロスの長い爪なら敵の喉にまで十分攻撃が届く。

 柝雷の血走った瞳がいっぱいに開かれた。樹流徒の指先に、相手の皮と肉を貫く強烈な感触が伝わる。風穴が開いた巨人の体から鮮血が滲んだ。


 柝雷の顔面が苦痛に歪む。ただ、絶望したのは樹流徒のほうだった。彼の攻撃は間違いなく正確に敵の喉を貫こうとしていたが、柝雷の腕が素早く間に割り込んで攻撃を受け止めたのだ。

 樹流徒が放った覚悟の一撃は、巨人の太い腕を易々と貫通していた。もし相手の急所に決まっていれば致命傷になっていただろう。それをさせなかった柝雷が一枚上手だったと言うしかない。


 樹流徒は素早く爪を解除して相手から離れる。が、初動が遅れた。もともと勝負を決する覚悟で飛び込んだのだ。その後の離脱など考えていなかったから、逃げ遅れるのは当然だった。


 視界が激しく揺れる。柝雷の肘が樹流徒の顔を横から殴りつけていた。

 樹流徒は首がもぎとれそうな衝撃を感じながら吹き飛ぶ。硬いボールのように地面を低く跳ねたあと、体を捻って芝生に手を付き、何とか足から着地した。微かにぼやけた視界の中で柝雷の笑顔が見える。してやったりという台詞が聞こえてきそうな顔つきをしていた。


 やられた。樹流徒は心の中で苦い声を発して、奥歯を噛む。どうやら、相打ちを覚悟していたのは樹流徒だけではなかったようだ。柝雷もまた同じ覚悟していたらしい。いや、柝雷の場合は覚悟というよりも狙っていたのだろう。彼は敢えて攻撃を食らい傷を負うことで肉体を強化できる。相打ちといっても致命傷さえ受けなければ樹流徒よりも断然有利になるのだ。


 柝雷の思惑通り、土気色の肌が黒ずんだ色に変わる。受けた傷が深かったせいか、変色の度合いも大きい。巨人の全身は一気に沈んだ色になった。当然、その分だけ柝雷の肉体は硬化しているはず。こうなると樹流徒が相手にダメージを与えるためにはよほど高威力な攻撃を放つしかない。下手な攻撃は柝雷の肉体を(いたずら)に強化してしまうだけだ。それだけならばまだしも、柝雷の全身が漆黒に染まれば毒を放出する恐れがある。そうなれば樹流徒は忽ち窮地に陥る。


 また、樹流徒にとって恐ろしいのは毒だけではなかった。真に恐怖なのは、むしろ柝雷が黒い砂を放出しない(・・・)という展開である。

 柝雷は毒を散布することで肉体の変化がリセットされると思われる。しかし、もしリセットをしなかったらどうなるだろうか。樹流徒が毒を食らう心配は無くなるが、代わりに柝雷の肉体はひたすら強化のみを繰り返し、やがて樹流徒の攻撃は一切通じなくなる。当然、彼の勝ち目も無くなる。それこそが最悪のシナリオだった。


 柝雷はじりじりと獲物を追い詰めるように剣を連続で突き出す。樹流徒は相手を中心に円を描くように横へ走って逃れた。そして再度反撃の機を窺う。


 冷静になって考えれば、樹流徒が次に取るべき行動は、再び魔法壁が使えるようになるまで時間を稼ぐことだろう。その前に柝雷を攻撃してしまうと毒の砂を受ける恐れがある。攻撃を仕掛けるならば魔法壁を使用可能になってからの方が安全と言える。

 しかし、間断なく繰り出される柝雷の猛攻が、樹流徒から通常の思考を奪った。全力で回避に専念している樹流徒に冷静な判断を下している余裕は無い。今、彼の脳内を支配しているのは己の身を守ることではなく、あくまで一刻も早く敵を倒すこと、ただそれのみだった。


 樹流徒は既に決断している。次、敵に僅かでも隙が生じたら飛び込もうと考えていた。魔人の赤い瞳は柝雷の動きを見逃すまいと瞬きを忘れる。


 柝雷が剣を前へ突き出した。樹流徒は武器の投擲を警戒しつつ後ろへ大きく飛ぶ。巨人の腕がまっすぐ伸びきって刃が虚空を突いた。この状態から剣が飛んでくることは考えられない。

 ただし、それは敵の所持している武器が普通の剣であればの話だった。柝雷が体内から取り出した異形の剣は一見しただけで尋常ではなかったが、見えない部分にも普通ではない仕掛けが施されていたのである。


 柝雷は表情を変えず、剣を握る手の人差し指に力を込める。剣の柄がカチッと小さな音を鳴らした。良く見れば柄の一部に謎の切れ目があり、その部分がスイッチのように押し込めるようになっていた。

 柝雷がスイッチを押すと、柄の内部で火薬が爆ぜるような音がする。次の刹那、刃が柄から分離して煙を吐き出しながら勢い良く射出された。異形の剣が刃のみを銃弾のように撃ち出したのだ。それは柝雷が剣を投擲したときよりもずっと速く宙を疾走し、樹流徒の心臓を狙う。


 樹流徒はまたも不意を突かれた。通常であれば、多分攻撃を受けていた。

 しかし、樹流徒は今、反撃のタイミングを掴むために相手の一挙手一投足に注目している。それが思わぬ形で功を奏した。集中力を極限まで高めていた樹流徒は、敵の手元から発射された刃に逸早(いちはや)く反応し、寸でのところで避けたのである。


 隠し玉を見切られるとは思っていなかったのだろう、柝雷はぎょっとしたような顔をした。

 敵の動揺に樹流徒は好機を見出す。今こそ、勝負を仕掛ける時。彼は迷わず巨人に向かって駆け出した。


 柝雷は手に持った剣の柄を捨てると、両手を横に広げて身構える。樹流徒は真っ直ぐ相手に突っ込んだ。両者の駆け引きが始まる。

 巨人は拳を正面に突き出して迎撃するフェイントを見せてから、視線と腕をやや高く持ち上げた。恐らく、樹流徒が頭上から攻撃を仕掛けてくると先読みしたのだろう。

 が、彼の目線の延長に樹流徒の姿は無かった。樹流徒は巨人の正面からも姿を消す。柝雷の目には相手の姿が忽然と消えたように映ったはずだ。

 

 巨人の足下を樹流徒の影が通り抜けてゆく。彼はスライディングで芝生の上を滑り、敵の股下をくぐり抜けていた。

 敵の裏に回りこんだ樹流徒は素早く振り返る。僅かに遅れて柝雷が身を翻したとき、既に樹流徒の口内から攻撃が放たれていた。

 彼が選んだ攻撃はレビヤタンの炎。飛距離こそないものの、砂原の分身体を消滅させた強力な攻撃である。変色した柝雷に対して悪魔の爪は殆ど効果がない、致命傷を与えるのは不可能だ。もっと高威力の一撃を与えなければいけない。そう考えたとき、レビヤタンの炎しか選択肢が無かった。


 巨大な炎が無防備な柝雷の顔面に着火し、黒ずんだ肌を伝ってあっという間に全身を包む。火達磨になった柝雷はこの世のものとは思えぬおぞましい咆哮を上げながら激しく地の上を転がった。攻撃が効いたかどうか、確認するまでもない。


 柝雷の咆哮はすぐに悲鳴へと変わる。樹流徒は成り行きを見守った。このまま柝雷が立ち上がってこないよう、ただ祈るしかない。

 ちなみに、レビヤタンの炎で追撃を撃ち込むのは不可能だった。魔法壁と同様に連発できないからである。実際に試したことはないが、樹流徒には分かった。体が「不可能だ」と言っていた。


 柝雷の悲鳴がぴたりと止み、体の動きも静止する。炎はまだ勢い衰えずに燃え続けていた。

 果たして巨人は力尽きたのか、それともまだ生きているのか、樹流徒には判断できなかった。


 すると焼け焦げた芝の中から巨大な炎の塊がむくりと起き上がる。派手に燃え上がっていた赤い光が徐々に輝きを失っていった。大量の白煙が霧散し、その中から現れたのは、全身が漆黒に黒く染まり皮膚のところどころが焼け(ただ)れた柝雷だった。


 炎の地獄から生還した巨人は言葉こそ発さなかったが、極限まで剥き出しになった瞳と、わなわなと震える両の拳が彼の心中を如実に物語っていた。

 樹流徒は身構える。一旦敵から距離を取らなければいけない。漆黒に染まった柝雷は今にも黒い砂を飛ばしそうだが、樹流徒はまだ魔法壁が使えない。彼はたった今それに気が付いた。


「逃げても無駄だ」

 樹流徒の考えを読んだかのように、柝雷が言う。巨人の大岩のような体が沸騰した湯のようにボコボコと音を立てて膨れ上がった。毒を撒く予備動作か。しかし先刻とは少しだけ様子が違う。一度目よりも肉体の膨張が激しい。


 樹流徒に離脱の時間は無かった。巨人の全身から黒い波が吐き出される。爆発的に広がる闇が、今度は柝雷を中心に半径数十メートルを飲み込む。彼の言葉通り、例え樹流徒が逃げていたとしても無意味だった。


 地上に生まれた暗黒のドームが樹流徒を包む。闇の中心では柝雷の豪快な笑い声が轟いていた。勝利を確信しての笑い声だろうか。

 巨大な闇が雨となって地上に降り注ぐ。今、柝雷の頭に去来しているものは、毒に苦しみもがく魔人の姿か、それとも彼の死体か。どちらにせよ柝雷にとっては至極愉悦な光景に違いなかった。


 ところが、黒い砂が消えたあとに残されていたものは、毒に侵された樹流徒の姿でもなければ、彼の死体でもなかった。


 闇の中に佇んでいたのは、赤い(さなぎ)だった。その正体は、かつて樹流徒が倒した悪魔マルコシアスの背中に生えていた一対の翼である。樹流徒はその翼で体を覆って毒の砂を防いだのだ。無論、二枚の翼だけでは全身をカバーしきれない。樹流徒は赤い翼の下にバフォメットの羽や、何枚ものガーゴイルとインキュバスの羽を折り重ねて防御を固めたのだ。言わば翼の鎧である。


 咄嗟の思い付きだった。毒の砂から逃げられないならば防御を固めるしかない。そう判断した樹流徒に突として閃光が走った。彼の脳裏に浮かび上がったのは、龍城寺タワーで激闘を繰り広げた砂原の姿だった。六枚の翼で黄金の蛹に変化し無敵の状態になった男の姿を、樹流徒は瞬間的に思い出した。そして気付けば砂原と同じ方法でガードを固めていたのである。


 といっても、毒を完全に防げたわけではない、翼の僅かな隙間から少量の砂が入りこんでいた。それが致死量であれば樹流徒は死んでいただろう。どうやら、黒い砂は一度にある程度の量を浴なければ体に害はないらしい。それが幸いした。

 樹流徒にとって運が良かったのはそれだけではない。仮に翼の鎧が砂の侵入を完璧に防いだとしても、毒が翼を侵食して樹流徒の体内にまで伝わった恐れは十分にあったのだ。樹流徒の機転を利かせた行動は、たまたま上手くいったというだけで、一か八かもいいところだった。


 それでも樹流徒は九死に一生を得た。あとは反撃に移り、敵を倒すだけである。

 毒を放出した柝雷の肌は元の土気色に戻っている。やはり毒を散布すると肉体の強化がリセットされると見て間違いなさそうだ。


 樹流徒は拳を強く握り締めた。三度目の正直ではないが、今度こそ勝負を決めたかった。初期状態の柝雷に対しては悪魔の爪が通じる。それは今までの戦闘で証明されていた。敵の急所さえ貫けば勝てる。


 心を(はや)らせているのは柝雷も同じだった。怒りの形相とも笑顔ともつかぬ表情がそう訴えている。

 どちらが勝利するにせよ、決着の瞬間はすぐ間近に迫っていた。




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