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婚約破棄? ご自由に。条約違反の責任は国家でどうぞ ~婚約破棄された令嬢、契約で世界を制圧する〜  作者: 白石アリア


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第98話 対話

 ――国家連合 緊急会議招集。


 その通知は、拒否できない。


 私は、単身で向かった。


 クロイツ王都。


 巨大な石造りの議場。


 その扉を開けた瞬間、空気が変わる。


 重い。


 視線が、突き刺さる。


 並ぶのは各国の代表。


 財務顧問。

 大臣。

 そして。


 王族。


「……来たか」


 誰かが呟く。


 歓迎ではない。


 確認だ。


 私は歩く。


 止まらない。


 中央の席に立つ。


「港湾管理者、アリア・レイシアです」


 沈黙。


 すぐに、声が飛ぶ。


「今回の混乱について、説明を求める」


 ベルド代表。


「保証枠の多重化が、国家資金を巻き込んだ」


「事実か」


「はい」


 即答。


 ざわめき。


「否定しないのか」


「事実は事実です」


 さらに声。


「では責任は誰にある」


 私は答える。


「市場と、構造です」


「曖昧だ」


 クロイツ財務顧問が言う。


「設計したのは港だ」


「履歴網がなければ、この事態は起きなかった」


 私は静かに言う。


「履歴網がなければ、見えなかっただけです」


 空気が変わる。


「何だと」


「国家資金は、既に市場と接続されていました」


「保証枠はその一部を拡張したに過ぎません」


 私は画面を展開する。


 履歴網の記録。


 過去の契約。

 資金の流れ。


 そして。


 履歴網導入前から存在していた、依存構造。


「……これは」


 誰かが息を呑む。


「隠れていただけです」


 私は言う。


「信用は、既に膨張していた」


「履歴網は、それを可視化した」


 沈黙。


 長い沈黙。


 やがて。


「……だから何だ」


 クロイツ顧問が言う。


「可視化した結果、混乱が起きた」


「ならば排除すべきだ」


 来た。


「履歴網の即時停止を提案する」


 ざわめきが広がる。


「国家契約の安全を優先する」


「市場の混乱は、国家が管理する」


 当然の結論。


 国家の論理。


 私は一歩も動かない。


「拒否します」


 空気が凍る。


「……何だと」


「履歴網は停止しません」


 視線が鋭くなる。


「このままでは国家が崩れるぞ」


「崩れるなら」


 私は言う。


「それは既に脆弱です」


 怒号が飛ぶ。


「無責任だ!」


「国家を軽視するな!」


 私は声を強める。


「信用は命令で守れません!」


 一瞬、静まる。


「隠せば歪む!」


「歪めば崩れる!」


 私ははっきりと言う。


「履歴網は、崩れ方を早めただけです」


 沈黙。


 そして。


 低い声。


「……ならば責任を取れ」


 クロイツ顧問。


「履歴網を維持するなら」


「国家は介入する」


 空気が凍る。


「具体的には」


「履歴網への強制監査権」


「場合によっては、接続停止措置」


 事実上の圧力。


 いや。


 宣戦布告だ。


 私は、静かに息を吐く。


 ここだ。


 引けば、終わる。


 進めば、戦いになる。


 私は、はっきりと言った。


「受けません」


 完全な沈黙。


「港は独立しています」


「履歴網は国家のものではありません」


 誰も動かない。


 その時。


 別の声が響く。


「……面白い」


 振り返る。


 レオン。


 そして。


 ヴィクター。


「国家と市場の対立か」


 レオンが笑う。


「ようやく本題だな」


 ヴィクターが静かに言う。


「信用は誰のものか」


 空気が、変わる。


 市場。

 国家。

 港。


 三つの思想が、同じ場に揃う。


 クロイツ顧問が低く言う。


「ならば決めよう」


「どの構造が、この世界を支えるか」


 沈黙。


 私は、ゆっくりと答える。


「証明します」


 短い言葉。


 だが重い。


 その瞬間。


《速報》


《ベルド国家契約 第二遅延発生》


 空気が、凍りつく。


 私は理解する。


 もう議論ではない。


 時間がない。


 戦いは、始まった。

ついに「国家 vs 港 vs 自由圏」が同じ舞台に揃いました。


ここからは思想ではなく“証明”の戦いになります。

誰の信用が世界を支えるのか――


次話、いよいよ決戦フェーズへ。


続きが気になる方は、ぜひブックマークと評価をお願いします!

ここから一気にクライマックスです。

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