表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄? ご自由に。条約違反の責任は国家でどうぞ ~婚約破棄された令嬢、契約で世界を制圧する〜  作者: 白石アリア


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/101

第88話 独立宣言

 港の評議会は、夜通し続いた。


 国家共同管理を受け入れれば安定。

 拒否すれば孤立。


「国家契約が外れれば、履歴網の影響力は半減します」


 カイルの声は現実的だ。


「資金も、保護も失う」


「だが共同管理は、理念の死です」


 ノアが強く言う。


「履歴は誰のものか」


 セリーナが静かに問いかける。


「国家のものか」


「市場のものか」


 沈黙。


 私はゆっくりと立ち上がる。


「履歴は、主体のものです」


 会議室が静まる。


「国家でもない」


「港でもない」


「契約を結んだ者のもの」


 カイルが目を閉じる。


「それを貫けば、国家は敵になります」


「敵ではありません」


「だが味方でもない」


 私は頷く。


「それでいい」


 翌朝。


 港湾広場に人が集まる。


 国家の使節も来ている。


 クロイツ監査官ハインリヒの姿もある。


 私は演壇に立つ。


「国家共同管理の提案を受けました」


 ざわめき。


「港は感謝しています」


「だが――」


 深く息を吸う。


「履歴網は、国家の制度ではありません」


 空気が凍る。


「履歴は主体のものです」


「国家契約も例外ではない」


 特使の表情が硬くなる。


「港は、共同管理を辞退します」


 広場に衝撃が走る。


「国家契約が停止されるなら、受け入れます」


 ざわめきが怒号に変わる。


「正気か」


「孤立するぞ」


 私は声を強める。


「信用は命令で守れない」


「隠せば歪む」


「歪んだ信用は、いつか崩れる」


 沈黙。


「港は国家から独立します」


 その言葉は重い。


 ハインリヒが静かに前へ出る。


「覚悟はあるのか」


「あります」


「国家は支援を停止する」


「承知しています」


 彼はしばらく私を見つめ、


 小さく頷いた。


「ならば市場で証明しろ」


 国家使節は去る。


 広場は混乱に包まれる。


 だが一部の商会が拍手を始める。


 小さな音。


 だが確かな意思。


 夜。


 レオンから通信。


《やったな》


《ええ》


《孤独だぞ》


《覚悟しています》


 少しの沈黙。


《面白い》


 通信が切れる。


 窓の外。


 国家の旗が一つ、港から降ろされる。


 履歴網は国家の保護を失った。


 だが理念を守った。


 これで港は、


 真に市場と向き合う。


 保証もなく。

 国家もなく。


 残るのは――


 信用だけだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ